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episode.『12月10日(火)』
嘘に嘘を重ね、息苦しさから自分を守る毎日。
本音を吐くのは楽だけど、周りを傷つけてしまうから。
怒ることはしない。
場を和ませることに徹し、笑顔でその場を乗り切る。
誰も傷つかないで済む。
家族にさえ機を使うのは疲れるけど。
周りが幸せであれるなら。
私だけが辛くて済むなら安いもんさ。
※
一人で頑張って、抱え込んで生きている。
それが当たり前の日常。
頼ることも、救われることもない。
自分を支えるのは自分だ。
幸せを手に報われることを夢見て。
心を殺し、感情を秘め、息苦しさに耐え。
それでも笑っていたいから。
周りには何も言わないで。
いつ消えてもいいように今にいるんだ。
※
友達を友達だと思っているのは、私だけ。
好きな人を好きだと思っているのは、私だけ。
そんな切ない片想いばかり繰り返している。
両思いになれていた時があったのかもしれない。
知らぬ間に両思いの瞬間があったのかもしれない。
想像するだけで、嬉し過ぎて涙が出そう。
私だけではなかったのだと。
――妄想に明け暮れ、
私は消える日を待ちわびている――




