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episode.『10月12日(土)』
何にも頼れない。
本当は、何にだって縋りたいのに。
自分の不甲斐なさを呪うばかりで。
諦めることを勧められているみたいで、嫌になる。
報われないとわかっていながら、抗おうとするのは愚かだ。
それでも私は、欲しいと思った。
届かなくても、掴めたはずのモノを見逃すのは嫌なんだ。
嫌なんだ。
※
自ら灯火を消そうとしている。
澄んだ青空に溶けるように。
淡く儚く、散ろうとしている。
生きていると、全てを奪われそうになるから。
失わないために。
手放さないために。
現実に傷つけられるくらいならと、大事に抱きしめて。
枯れた果て、死に切った心を胸に。
私は終わりばかり数えているんだ。
※
本当に怖いのは、人じゃない。
人が築き上げてきた社会。
即ち、現実だ。
飲み込まれ、押し潰されそうになりながら、息苦しく生きる。
自分がどうであれ、世界は回り続ける。
一人くらいいなくなっても何も変わらない。
荒んだ心はもう前を向けない。
私を○してくれたら、何か変わっていたのかな。
――自分だけは諦めまいと抗って、
いつしか死を切望していた――




