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「家族がいないって……いったいどういうこと?」

 僕は尋ねた。

 だが、彼女は椅子に座ったままうつむいて喋らない。

「僕を呼んだ事、変な意味じゃあ……無いよね?」

 僕はとうとう聞いてしまった。

 すると、彼女はいきなりこっちを向いて喋った。

「それは無い。それは……無いの。そんなつもりじゃ……」

 彼女はだんだんうつむいてしまう。

「えっと、じゃあ、整理しよう。まず、家族がいないという意味は元々この家にいないのか、出かけていないのか、或いは……出て行っちゃったとか……」

 最後の言葉に、彼女はビクリと反応した。

「……出て行っちゃったの?」

 コクリと彼女は頷く。そして口を開く。

「……交通事故」

 そうつぶやいた。

「僕がこう聞くのは何だけれど、もしかして……亡くなったの?」

 彼女は頷いた。

「オーケーオーケー、じゃあ、次に行こう。何で僕をこの家に招いてくれたの?」

「……寂しかったの」

 彼女はゆっくりと僕のほうを向いて喋り始めた。

「あの人がいなくなって、お母さんとお父さんが死んじゃって、一人でこの家でいて寂しかったの……」

「それで、暇を持て余している僕を家に呼んだと」

「……うん。そういうこと」

「そういえば、なんで僕が暇人だって分かったの?」

「それは、私が散歩している時に見かけたから。制服のまま公衆トイレに入って私服で出てきた君を」

 彼女は思い出すように言う。

「それと、私服のままのんびり土手で寝転がってる君を何度も見かけたから」

「あぁ、それで」

 そりゃあ暇人に見えるわな……。

 僕は自分の事ながらそう思った。


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