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「姉さん。今日は仕事しないの?」

 朝食を食べ終わった後からテレビに釘付けの姉さんに僕は聞いてみた。姉さんの仕事は文筆業である。姉さんは高校の時にある出版社の文学賞に受賞し、それからそこの出版社専属の物書きをやっているので、雑誌の担当の人が仕事の依頼をしてくる以外は暇つぶし程度に小説を書いているのだが、今日はずっとテレビを見ている。

「んー?今日はお休みー」

 姉さんはテレビに視線を向けてままそう答えた。

 姉さんはマイペース人間だ。仕事の依頼を期日までに出すところはしっかりしているのだが、それ以外は全て自分の都合に合わせてしまう。その時の気分しだいで何もかもが決まってしまう。

「ねぇ、優也は今日何か予定ある?」

 姉さんは突然こっちを向いてそう言い出した。

「いや、特に何もないけれど……。何で?」

 ぶっちゃけ、予定とかあったら最初っから姉さんの家に来ないし。

「あれ観に行こうよ。あれ」

 そう言って、姉さんはテレビ画面を指差す。

『観る人全てが泣いた。超感動作!!』などと言っているテレビ画面を見ると、どうやら新作映画の紹介をやっていたようだ。

姉さんは映画が好きなのである。よく僕に頼んでレンタルビデオ屋でビデオを借りてきてと頼んでくるときがある。そのせいで、そのレンタルビデオ屋に顔を覚えられたり、会員カードのポイントが結構な桁数になってたりもしている。だが、姉さんは映画館へ観に行ったりはあまりしない。もちろん、外に出たがらないからである。昔はよく映画館まで脚を運んでいたようだが、僕がここに通うようになる少し前からは外に出たがらなくなり、映画館どころかレンタルビデオ屋にすら行かなくなったようである。

そんな姉さんが、率先して外出しようというのだからこれは行かなくてはいけない。

「うん、いいよ。じゃ、ちょっとその映画の時間調べるね」

 そう言って僕は自分の携帯を使って映画の時間を調べた。

 ちなみに、その映画は最近監督になったばかりの新人さんの作品である。結構話題を呼んでいるらしいが、僕は特に映画の事に詳しいわけではないので分からない。

 時間を調べると、ちょうど今から行って余裕がある時間帯から始まる回があったので、すぐに支度をすると僕と姉さんは映画館に向かった。


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