表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

1


 姉さんは、よく食べる。

 僕が作る料理を片っ端から食べていく。まるでブラックホールだ。

 姉さんは、本当によく食べる。

 なのに、体格は普通な感じだ。全く太るような気配は無い。

 姉さんは、僕よりもよく食べる。

 特に運動はしていない。週に一回散歩をしに外へ出る程度だ。基本的に外出しない。

 そんな姉さんの補助というか、お手伝いをしているのが僕である。

 買出しに行かない姉さんの為に買出しに行ったり、ろくに料理も出来ないのに大食漢な姉さんの為に朝昼晩の三食を作ってあげたり、外に出たがらないくせに寂しがり屋の姉さんの話し相手になってあげたりと、色々なお世話をしているのだ。ほとんど、家事なのだが。

 僕がここに通わなかったら、一体姉さんはどんな暮らしをしていたのだろうか。

「ん?ふゅうやふぁふぁべないふぉ?」

 姉さんは食べながら言った。たぶん、考え事をして食事に手を付けていない僕を心配しているのだろう。

「いや、食べるよ。それと姉さん。食べながら話さないでよ」

「……んぐ。……はぁ。ごめんごめん。気をつけるよ」

 結構おっちょこちょいなところもある姉さんと出会ってから、もう一年経つ。


 あの頃は、僕はまだ姉さんを姉さんと呼べる存在ではなく。

 姉さんも、僕を弟と思える存在でなかった。

 


 ――春が過ぎてそろそろ暑くなってくる季節に、僕は彼女に出会った。






 『君と出会ったこと、無かった事に。』  心の壁










     


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ