空のインク
昔々、ずっと昔。
神様が天地創造にいそしんでいた頃の話。
「ふむ、ここの色はどうしようかの」
神様は真っ白な空を見ながら考えました。
世界を覆うこの大空にふさわしい色は何か。
白いままでは味気ない。
赤は何か物騒だ。
茶色は無理だ。
黄色……まあまあ悪くない。
「……塗りながら考えるか」
神様は、天使達に絵の具をいろいろ持ってこさせました。
天使達は小さな体に似つかわしくない大きな缶を持って神様の下へ急ぎます。
「あっ」
一人の天使が急ぐあまりバランスを崩して、持っていた缶を放り投げてしまいました。
「うわっ」
放り投げられた拍子に缶の中身があたりにぶちまけられ、神様や天使や空が青く染まります。
「こらっ、なにをしとるか」
神様が天使をしかります。天使は小さな体をさらに小さくしながら何度も頭を下げて謝りました。やれやれといった表情で神様は天使を見たあと、青く染まった周りを見渡します。
「しかし……よく見るとこれはこれでいい物じゃの」
一面の青の中、神様や天使がいた場所が所々白いままの空を見て、神様が呟きました。
「よし、空はこれで行こう。怪我の功名という奴じゃな」
謝っていた天使の顔がぱあっと明るくなりました。
「しかし、皆に迷惑をかけた事は確かじゃ……わかっておるな?」
神様の言葉に、天使はかわいい顔を赤く染めると、ふわっとした服のすそを掴んで、ゆっくりと上に持ち上げました。
「ほう、この淫乱め、もう
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