006
「凱……! お前一体どうやって……」
同時に周囲を見回す。異変は他のパイロットにも同時に起こっているようだ。間島の耳に技術者達のどよめきが聞こえる。ヘルメットを外し、青ざめた凱の顔がまっすぐに間島を見る。
「コッペリアが……あのガイノイドが制御不能に……」
「なんだって?」
「正確には強制的に排出されたって言ったほうが正しいのか。いきなり意識の融合を遮断された」
「そんなばかな……コッペリア一体何をしようとしているんだ……?」
間島は慌てて端末を起動させ、コッペリアと連動しているメインフレームの状況を確認する。
「バグか? それとも設計上何か致命的な欠陥があったんじゃ……」
「いや、そんなことはあり得ない。事前のメンテは万全だった。メインフレームも異常なし。コッペリア、コッペリア! 応答してくれ! 一体どうしたんだ?」
「間島博士、コッペリア全機からパイロットが次々と強制排出されています! いったいこれは…」
「そんなバカな!」
騒然とする技術者達。その間にも敵襲は続き、総員退避を促す警報が鳴り響く。間島はそれに従うことなく端末のキーボードを叩き続ける。予備電源で通信系統が一時的に回復したのかゲート正面に備え付けられた巨大モニターがようやく間島の端末と連動して画像を映し出す。
そしてその場にいる全員がモニターに映し出させる映像に釘付けとなった。
コッペリア全機が集約し見事な編隊を組んで推進している。一糸乱れぬ整然とした列をなして飛ぶコッペリアシリーズはあたかも宇宙空間を舞う巨大な白い蝶のようだ。その白い巨大な蝶が今まさに烏合の衆たる敵機軍を突破すべく、速度を増して上昇してゆく。間島は端末のマウスを駆使して画像を拡大する。先陣を斬り先頭でコッペリア全機を誘導しているのは紛れもない一号機。ズームを最大にすると、自分が贈ったクリスタルクロスが胸元で煌めいているのを間島は見逃さなかった。
「はかせ」
聞き慣れた合成音がゲートに響き渡った。




