002
「充電完了まであと二十パーセント」
「戦闘パターン記録回路挿入完了」
「敵機再来!」
「第一種戦闘配備!」
「コッペリアシリーズ順次出動せよ!」
あちこちで飛び交う怒号に悲鳴。本部に被弾したのか、強烈な爆撃音に耳を塞ぐ。
「ったく、エイリアンどもは容赦ねえな」
爆撃を受け騒然とした防衛本部内。凱はぼやきながら目的場所目指してつっ走る。世界の救世主たるべくコッペリアの待つ搭乗ゲート目指して。
「遅いぞ」
「うるせえ玲、これでも全力疾走だ」
閉じられた巨大ゲート前。まるで棺桶のように整然と無数に並ぶブースのうちのひとつに凱は飛び込む。息を整え、そこで待機していた白衣姿の男に訊く。
「彼女は?」
「整備は万全。充電もじきに完了。彼女が目覚めたらスタンバイOKだ」
「フル充電でどれくらいもつ?」
「まあ、ギリで三十分。登載する人間の意識が持ちこたえられる限界の時間だ」
「三十分か……その間で奴等をどのくらい殺れるか、だな」
スリムながら頑丈な身体に張り付く高密度・強靭な化学繊維で作られた戦闘スーツ。同じ素材でできた薄手のグローブをはめた手で、凱は間島から渡されたインカム内臓小型ヘルメットを装着する。
「一切の指示はそれで行う。彼女やおまえに異変があったらすぐ連絡してくれ」
不安を隠せない間島の表情。
「精神搭載型高性能人造人間コッペリア。試用もそこそこに実戦とか。無謀にもほどがある」
本当ならもっとテスト期間が欲しかったのだが。と間島はため息交じりにぼそりと呟く。
「仕方ないさ。奴等は正体不明の地球外生物。世界各国、並みの武器兵器じゃ通用せず。そうなれば必然的に我が国が誇る天才科学者間島博士が開発したこの最終兵器のご登場もやむなし、といったところさ」
爆撃音が炸裂する。
突如襲来した未知なる敵の攻撃により、既に世界の殆どの国々は殲滅され焦土と化し、残っているのは軍事力あるいは科学技術に特化した先進数カ国のみ。
そんな絶望的な状況下での一縷の望みが、我が国が開発した量産型最新鋭戦闘用ガイノイド。
本部のメインフレームと連動し、そこからの操縦指示には絶対の動作を行う。さらに緊急時・複数の敵に対する備えと、個別の機能レベルの向上及び、特に戦闘下での特別な機能として搭載されたのが、パイロットの「意識」である。
不撓不屈の戦闘精神と高い技術、鍛え上げられた体力を有した選抜されたエリートパイロット達の「意識」と「肉体」を切り離し、「意識」のみをコッペリアの体内に融合させる。ガイノイドの強靭なボディと高い戦闘技術に加え、人間の繊細な感情と判断をコラボすることによって兵器としての性能アップを実現したのだ。
その「コッペリアシリーズ」を研究・開発したのが若き天才科学者・間島玲。
第一号機が運用可能と判断されたことにより、来るべき有事に備えすぐさま進化改良型が量産された。一機につき登載するのは一人の意識。そのパイロットも併せて選抜された矢先、不慮の外敵の襲来と相成ったのだ。
「充電完了!」
そのコッペリアシリーズに全世界の存亡と命運が委ねられているのだ。




