表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親指スマイル  作者: コウ
1/16

目覚めの歌-1

 ♪♪

 ラッキー・スマイル

 ラッキー・スマイル

 みんなの笑顔はラッキー・スマイル

 しあわせ運ぶよラッキー・スマイル

 どんなにつらく、どんなにくやしく

 どんなにかなしいときだって

 みんながスマイルふりまけば

 世界はにっこり、ハッピー・スマイル

 ラッキー・スマイル

 ラッキー・スマイル

 元気になれるよラッキー・スマイル

 ♪♪


 いつもは耳をつんざくほどにうるさい目覚まし時計のアラーム音が、今朝に限っては可愛らしい歌声に取って代わっていた。

 不審に思って、頭までかぶった布団の隙間から声の聞こえる方をこっそり覗くと、娘の『ゆきな』がにこにこ顔で俺の傍らに座っていた。

 眠気まなこでその姿を見つめていると、ゆっくりと頭が起動し始める。

 真っ黒の画面から鮮やかな青色に変わり、中央に文字が現れる。パソコンでいうなら『パスワード入力』と出るところだが、俺の脳内では別の言葉が表示された。

『今はいったい何時でしょう?』

 がばりと布団をめくり上げて飛び起きた。傍らに座ったゆきなは、そんな俺を見てぽかんと口を開けている。

 しかし、すぐさま大きな声をあげて笑い出した。

「パパ! 髪の毛ぼさぼさだぁ~」

 俺は苦笑いしつつ髪を撫でつけると、ゆきなと同じ目線になるよう屈み込んで訊ねる。

「……ゆきなさん? 今朝は、早起きですねぇ?」

「いいえ、パパさん。ゆきなはいつもどおりに起きました」

「では、目覚まし時計は鳴っておりましたか?」

 俺の質問に、ゆきなは大きく縦に頷く。「はい、それでゆきなは目がさめました」

 次の瞬間には、俺は部屋から飛び出していた。

「頼むから起こしてくれっ!」

 今日は早朝会議がある。

 俺は時計を見るのが恐ろしくて、ひとまず朝の支度を超特急で済ましていった。


「もう支度は済んでるのか?」

 聞きながら、靴下だけを持って下りるのを忘れたことに気がついた。また二階へ取りに上がる時間はない。仕方なく、昨日脱衣所に脱ぎ捨てたままの靴下を拾い上げて臭いを嗅いだ。

 うん、まだいけるだろう。

「ゆきなはもう出られるよ!」

 玄関の前に立って両手を上げるゆきな。逆光になってはいたが、彼女が満面の笑みを浮かべているのは手に取るようにわかる。

「あ、ゆきな! 飯食ったのか?」

「サー! イエッサー!!」

「よし、って何食ったんだおまえ」

「食パンやいて食べました! サー!」

 最近は俺よりしっかりしてきたな、こいつ。

 と感心していた俺だったが、いやいや待て待て。

「歯磨きやったのか? はい、口あーん」

 言いながら口を開ける俺に対して、『口を閉じたまま』にっこり笑って頷くゆきな。何ともわかりやすい。

 俺はさっさとゆきなを摘み上げて洗面台まで連れて行った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ