表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

7 break time1-1

量子コンピューターを教団本部に持ち帰り、私達はマザーと会合する。


彼女は穏やかな笑顔で迎えてくれた。

「滞りなく、よく帰ってきましたね。」

「レイチェルには期待できそうよ。」

「そうみたいね。たった一回の出動で顔つきがもう別人だもの。」


私は真っ直ぐ彼女を見て問う。


「ここがカルト組織というか秘密結社で、ダンジョンが本物なのも分かりました。太古の超技術の遺物だというのも。」

「えぇ。」

「ここにいる皆知ってるんですか?」

「勿論。挑めば嫌でもデータベースが頭の中に入るもの。」

「目的は?一体なぜ、こんなことを。」


私の問いに、彼女は微笑む。


「嬉しいわ~。よくぞ聴いてくれて。」

「え?」

私はシスナ達を見るが、皆興味なさそうだ。誰も聴いたことがなさそうという顔をしている。

「ちょっと待って、皆聴いた事なかったの?」


「ろくでもなさそうだし。」

リラは爪の垢を放り捨てて言う。

「お前は知り過ぎた~とかなりそうだから、ちょっとね…」

ミランダは愛想笑いして敬遠している。


「失敗して摘発されたら司法取引でアンタを切り捨てる気でいるわ。」


ハッキリとマザーに向けてシスナは言い放った。

「え~ん、ちょっと酷いわ~シスナ~。」

「密輸に窃盗、クラッキングと死体のすり替え、散々犯罪の実行役を担わせてよく言う。親密な関係になんてなりたいと思わないのが当然のはず。」

彼女は強い足音で踵を返した。

「聴く気はないから私は失礼させて貰う。金と仕事さえあれば、私はそれでいい。」

「隊長かっこい~、っつーわけでウチも。」

リラも彼女に続いて行くと、モモとメリッサもアクビをして出て行ってしまった。


おどおどしているミランダと、呆気にとられた私だけが残される。


「まぁシスナはああいう子だから。ドライだけど仕事はきっちりするいい子よ?」

「いいんですか?アレで……」

「いいわ別に。名前の時点で、プライベートな関係には期待はしてないもの。」

「名前って……人となりと名前は別では?」

「そうでもないわよ。特にレイチェル、アナタに関してはね。来なさい。」


マザーが振り返ると、私は彼女についていく。ミランダも続いた。


「ミランダ、アナタまで聴かなくてもいいのよ?」

「いや~気になってたからちょっと……」

「そう……。ふふ。」

彼女は私とミランダを見て、何故か微笑ましそうに笑む。

「じゃあちょっと、ショッキングな話かも知れないけど。」


物置らしい頑健な鉄のドアを3人で開ける。


目前に現れたのは、オレンジ色の巨大な水晶の中に閉じ込められた人間だった。


長い真紅の髪。気が強そうな顔つきだが、穏やかで優しい表情で目を閉じ、両手を合わせ祈る様に眠っている。


そしてケーブルで結晶に繋がれているのが、今まで回収してきただろう量子コンピューターだ。


「これは……!」「人間……?!」


私とミランダは息を飲む。


「そう。私の大事な人。」


そっと水晶に手を振れた。


「娘さん……とかですか?」

ミランダが聴くが、マザーは昔を懐かしみ、そして悲しげな顔をして顔を横に振った。


「私の娘ではないわ。遠い昔、私がもっと仲良くなりたかった人の娘。」

「名前は?」



「クレア。母の名をミランダ。父をアナトリー。」



「……私と……同じ名前。」

「リラがアナタがを連れて来た時、あの人とは似ても似つかないのに、なんだか運命を感じてしまってね。放っておけなかったの。そしてレイチェル……。」

マザーは私の手を握る。


「この子の母親のミランダには、血は繋がりこそないけど、強い絆で結ばれていた義理の妹がいるの。」

このクレアと言う人の親は恐らく同じ赤髪だ。

マザーは変貌した私の金髪を見て、『あの人にそっくり』と言った。


『シトリン……』


「そうよ。アナタの名前を聴いて、私は運命を感じてしまったわ。」

手を強く握って彼女は跪いて涙する。

「シトリンには師匠がいた。レイチェル・テューリン、あるいはラケル・トリーノ……」

合衆国の読みではレイチェル。ラケルの読みは別の国の名前だ。それは西方の教会の本国の名前。


「私が……殺した。大聖堂の18階で……シスナとリラと、もうひとりと共に……」


「マザー……」

「……ごめんなさい。別人とは分かっていても、どうしても……」

涙を拭い、彼女は立ち上がった。



「取り乱してごめんなさいね。しっかり説明するから。」

マザーは立ち上がり、シスターのヴェールを取った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ