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work 1-5

《シトリン、聴こえる!?》

シスナの声で私は茫然としていた気を取り戻した。

「あ、うん。なんとか…」

周囲を見ると、仲間達も敵も消えている。

《いい、シトリン良く聞いて。アンタは今、臨死状態にあるわ。水晶の破片が喉から突き刺さって、頚椎に到達して即死してる。》

「……はい?」

自分の体は何ともない。装備も着たまま。喉に突き刺さった破片などもない。

無線機も通じているし、銃の重みも感じるが、確かに何かが変だ。


世界に温度感や匂いの類は無くなって現実感がない。バーチャルリアリティの世界の様な感覚だ。


《アンタは今、体と意識が分離した状態よ。簡単に言えば幽霊になってる。これだけは守って!絶対に教会の刃のペンダントは手放すな!》

首元に付いたネックレスがだけが、色彩反転の影響を受けずにオレンジ色に光り輝いている。


……暖かい光だ。誰かが見守っている様な気がする。


「アゲート、みんなはどこに?」

《まだ20秒と経ってない。すぐそばにいる。アンタが裏側の世界に飛んでるの。そっから脱出すれば戻ってこれるから、落ち着いて聴いて。》

「分かった。」

《そっちの世界には熱量がないわ。だから、機械式のモノは動きはするけど、"熱が発生しないから銃弾や爆発物は作動しない"。だから銃剣や格闘で何とかするしかない。》


私は銃剣が標準装備になっている理由が分かった。


「……経験あるの?!」

具体性の強い的確なアドバイスがある以上、先輩方は経験済みということになる。

《当然。でもソッチで死んだら…死ぬよりキツいことになるわ。絶対に負けないで。》

「何に気を付ければいい?」

《ノイズの様な足音や呻き声が聞こえたら、ライトを照らすか、ナイトビジョンを使って。黒い煙のようなヤツがいたら、全部が敵よ。刺すなり殴る蹴るなりしてブっ倒して。》

「分かった。どっちに向かえばいい?」

《影の暗い方に進んで。多分、最後に黒いモヤの塊があるから、それをぶっ壊せばいい。見えるヤツは全て敵よ。気を付けて。》

「わかった。」

《アンタが進む方向を伝えて。私達もそっちが正解だから。常に通信を絶やさないで。距離が離れたら無線も途切れる。こっちも戦いながらだから、足並み揃えて欲しい。》

「了解。」


私はライトをつけて銃剣を構えながら歩く。


目前には黒い煙の様な、ぼやけた幽霊の様な人影が歩いている。シルエットをよく観察すると、白衣を着た男の様な姿だ。


さっきのアゾフカとは全く違う、同じ人間に見える。考え耽ってうろついている、行き詰った研究員の様に見える。何かブツブツとボヤいているが、低周波のノイズで聞き取れない。

警戒しながら忍び寄る内に、体が反転して目が合った。


節穴の様な顔、生気のないゾンビめいた顔で、急に正気を失った様に私の方に向かってくる!

シスナの言った通り、言葉が通じそうな相手じゃない!


「やぁっ!」

胸を一突きして持ち上げ、膝蹴りをして突き飛ばす!


「意識がありそうななさそうな……一体なんなの……!」


先程のアゾフカと違って、丸腰で遥かに人間的だが、理性がある様にも見えない。

「全く訳が分からない……。」


倒れた男のゾンビの様な煙は霧散して消えた。光り輝くプラズマ球の様なものが、パチリと音を立てて一瞬だけ輝くと消えた。



歩みを進めると、動かない耳鳴りの低音の機械ノイズの様なものがある。


ライトを照らすと、膝丈ぐらいにまた黒い影だ。蹲っている人間の様に見えるが、よく見たら犬が融合してしまっているかのようなフォルムの謎の物体だ。

苦しそうにしている。攻撃してくるようにも思えないが、敵意を感じる嫌な視線でこちらを見ている。


そのことをシスナに伝えると、彼女はため息を少しついた後に、気が乗らない口調で答えた。

《何も考えず始末することよ。それが相手の為でもあるわ。》

「……それでいいのね?」

《でないと、アンタがそうなるわ。》

「……わかった。」


銃剣でトドメを刺す様に突き刺した。霧散すると、やはりまたプラズマボールの様なものが輝いて消える。


(私も幽霊になってるって言ってたわけだし…深く考えない方が良さそう。)


歩みを進めるうちに、黒いブラックホールの様な光を吸い込む物体を見つけた。

「アゲート、何かブラックホールみたいなのがある。」

《ぶち壊して。そっから元の世界に戻れるわ。》

「分かった。」


蹴ってみると、意外と脆く砕けやすい。銃剣で突き刺して、こじ開ける様にして砕いていく。

「…おかしい。なんか人工物みたいな…」

直角の立方体。小さいクローゼットかドレッサーの様なものが内側から出て来た。崩してみると、何か機械の様なものが入っている様だが…。


「なにこれ…サーバー…?」


手を触れてみる。触ると感電したのか、全身に電流の様な衝撃が走った!


「うぅぐ!?」

閉じた目の奥にジンジンと響き、掌に載せた写真を脳裏にはたきつける様な衝撃的な感覚で、景色が脳裏に焼き付いてくる!


痺れる全身に耐えるうち、体が急激に重たくなっていく!

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