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平和ボケ、自己顕示欲モンスター

作者: セクシーの神

闇の大陸の果て、宙に浮かぶ魔王城。年に一度の狂騒――「自己顕示欲祭り」が始まった。

ここでは力も魔法も名誉も関係ない。あるのは、ただ派手に目立つ才能だけだ。

まず登場、赤羽根の若き魔術師ジンライ。

「見よ、この光の巻物!私の派手さを世界に知らしめる!」

巻物には、無秩序にCGの火花、巨大花火、謎の動物のパレードまで映し出される。

観客の一人が呆れて言う。

「おい…派手だけど、何の意味があるんだ?」

次は銀髪の老魔導師モギル。頭には三つの王冠を乗せて得意げだ。

「私の知識と威厳こそ、真の派手さ!」

だが王冠の重さでバランスを崩し、ドテッと転倒。観客は爆笑。

「威厳で首折る気か!」

黒鎧の女戦士ハヤリは、背中にドラムセットを背負い、炎の魔法と同時に叩きまくる。

「誰にも負けぬ鉄の派手さよ!」

観客は火花を避けながら拍手。

「演奏か魔法か、どっちだ!」

青ローブの青年コイズミンは肩に幻獣、手にサーフボード型魔導書。

「私の魅力と冒険譚で国を動かす!」

背景には無秩序に子供時代の写真や奇妙な冒険記録が流れ、観客は吹き出す。

「勝手に自己PR大河作るな!」

豪商ギルド長コバルクは金銀宝石を撒き散らすも、滑って転倒。皮肉の神も巻き込まれ転げ回る。観客は涙を流して笑った。

幻獣通信で人気投票が行われるが、宣伝合戦と操作で誰も結果を覚えていない。

結局、勝者は「全員」、敗者も「全員」。魔王城の夜空には、花火ではなく名刺と魔導巻物が舞った。

祭りの終わり、魔王はため息をつく。

「…毎年、何をやっておるのか。しかし、全員が自分を神だと思っているのは、ある意味、平和かもしれぬな」

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