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帰還勇者の内事六課異能録  作者: 大正


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96:異能力者集め

「というわけで本日は挨拶だけとさせていただきます。竜円寺竜彦とジャガーノートでした。チャンネル登録といいね、よろしくお願いします」


 空歩を見せただけで終わりだったのかどうかがわからないので、このあともう一度最初から見よう。今は内村課長の判断と各都道府県部署への連絡で忙しくなりそうだからな。どこまでの情報を流してどこまでの話をしたのか。後半から見た内容だけでは、ネットでマジックをする集団だとしか見られない。今はそう言うことにしておいて同じく異能力者を集めていくのか、それとももっと別の何かがあったのか。


「聞いての通り、向こうからようやくお出まししてくれた。今後各都道府県の我々相当の部署があわただしく動くことになるだろうし、また京都方面から誰か出張してきて連絡を入れに来るかもしれない。直接話すかネット会議で済ませるかもわからないが、こっちもそれなりの覚悟で向かっていかなければならないのは確実だ。第二弾の動画が出回って、その間に異能力者が各地で事件を起こす可能性もあるし、竜円寺の元に集って勢力を飛躍的に伸ばす可能性もある。何をする、という所に言及しなかったのでまだ同志を募集しておいて人材が豊富になったところで一気に行動を起こす可能性がある。それまでは迂闊に手を出すと逆に異能力者を監視する仕組みが日本の警察にはある、ということを広められかねない。我々が秘密組織である以上それは避けたい。あくまでこっそりとだが、あの動画がどこからアップロードされたのか、どこで撮影されたものなのか、という辺りからまずは探りを入れていくことになる。そっちに詳しい奴から順次調べて行ってくれ。現状では以上だ、後は思いつき次第何か行動を起こすことにする」


 ひとまずそこまでで話を区切ると、内村課長の話は終わったので肝心の動画の内容をもう一度見ることにする。流石に出来て間もないアカウントのため、チャンネル登録者数や再生数はほとんど回っていない。削除申請をする理由も見当たらないため、とりあえず動画をもう一度最初から見ることにした。


 幾人かの途中参加組と一緒に動画を見始める。どうやら自前のスマホか何かで撮影をしているらしく、撮影ボタンを押したところから動画は始まっている。


「初めまして。私は竜円寺竜彦と申します。このチャンネルは、日本どころか世界中に存在している、本来の人間が持ちえない能力、いわゆる超能力や異能力といった力を持つ人々を探し出すために開設いたしました。本日は軽い挨拶と今私の周りにはこんな異能力者がいますよ、というのをお教えするための動画としてみていただければ光栄です」


 竜円寺がしばらく一人で語りだす。本当に手作りで、編集や加工といったものはあえてしない姿勢をとることによって、この動画が無修正でそのままお出しされているものなんだぞ、ということをあえて強調するのにはピッタリのような気がしてきた。


「まずは私自身のことについて話しましょうか。私は異世界で勇者をやっていました。みんな大好きな異世界転移ものの主人公、という奴ですね。向こうで十年間戦って、戦いが終わったので約束通りこっちに帰ってきた、ということになります。流石に十年分の加齢は隠せませんが、帰ってきたら一日しか経ってないことになっていました。いわゆる異世界召喚儀式の際に起きる時間の捻転現象だという風に事前説明はされていましたが、十年間を一日で体験した、という点では中々に面白い話ではあったと思います。実際に帰ってきてから友人とご飯をご一緒したのですが、なんか急に老けてないか? と質問されて隠すのに精一杯でした。彼は一般人でしたので、出来るだけ話を合わせて巻き込みたくなかったのですよ。とりあえず仕事が忙しすぎて最近ゆっくりできてなかったという風に誤魔化しましたね」


 竜円寺竜彦……さらに別の世界で勇者やってたってことか。内村課長がこっちを見て、知ってたか? という視線を送ってくるので、首を振って否定しておいた。


「こっちへ帰ってきて便利さと、そして不便さを同時に味わうことになりましたね。異世界には魔法があり、魔方陣があり、魔道具があり……現代文明とは少しずれたところで便利な所がありましたが、やはりトイレの清潔さでは現代文明にかなうものはそうそうないでしょうね。あっちでも温水洗浄機付き便座を開発しようと考えたことがありましたが、かなりの高コストになってしまって市販するまでには至りませんでした。もしこれから異世界転移をされる予定がある方で、その先の王城や貴族のトイレに温水洗浄機付き便座があった場合、私が存在していた異世界だったかもしれませんね」


 竜円寺……凄い奴だな。俺には自主開発をする余裕も時間も与えられなかったし、自力で作ろうと考える暇もなかった。それをやってのけて、市販するまでには至らなくても完成させるまでにはこぎつけたのか。この時点で異世界人としての格は竜円寺のほうが上だと感じる。


 そんな商売の才覚まである竜円寺に勝てる要素は果たしてあるのだろうか。勇者というからには俺と同じような戦闘能力や様々な魔法の知識、それから固有の能力についても考えなければならない。あいつの一番得意なことは何なんだろうか。俺で対抗できるのか。


「私語りはこの辺までにいたしましょう。そこで、こちらに帰ってきて思ったのです。私が帰還した勇者なら、同様に異世界へ行って帰ってきた者も少なからずいるはず、そんな人たちと出会って会話して、そして共に新しい異能力を伴った現代生活を過ごしやすくする自助組織を作ろうではないかと考えました。我々の名前はジャガーノート、ヒンドゥー教のヴィシュヌ神の化身であるクリシュナの異名をお借りします。それだけ巨大な組織に出来るように努力したいという考えからこの名前を採用いたしました。我々の活動目的の第一弾として、異能力者探しから始めていきたいと思います。既にこちらには十数名の賛同者を得られています。画面の端っこにちょこっと映ってるかもしれませんが、彼もその仲間の一人です」


 カメラを動かして後ろに映っている人にフォーカスを当てる。フォーカスを当てられた人はダブルピースでカメラ目線を返していた。緊張感が台無しである。


「彼もそうですが、我々の目標は異能力者を集めるだけではなく、可能なら全ての人々を異能力者として覚醒させ、新しい人類の一歩を踏み出すことです。今の所はそこまでの目標は達成できそうにありませんが、まずは足元から地道に固めていきたいと考えています。つまり、我々ジャガーノートは同志を募集しています……」


 ああ、ここからは俺も聞いた内容だな。このあと後ろの彼が空歩を見せて動画は終了、ということになる。動画を見ている間に300再生ぐらいは回っているようだ。動画のタイトルは「来たれ、異能力者」となっている。さて、これを見て、一般人はどういう反応をするのかが気になるところだ。


 そのリアクションは数日経たないと見られないだろうが、動画についているコメントを見る限り「新しいマジックグループかな、設定としては悪くないんじゃないか」とか「とりあえず見世物としては面白い」や「他の能力者の能力も気になるな。本当にいればだけど」等、比較的ウケはいいらしい。


 だが、これを異能力者の視点から見ると全く違う物として見えてくる。なにせそれらの能力は自分でも使える可能性があるということと、自分自身も異能力を扱えるが、仲間がいた、という風にイメージを好転させることができる。出来れば竜円寺自身の能力も見たかったところだが、それは次の動画に期待するしかないだろうな。


 やはり、この動画一本だけでは世間を揺るがずような話にはなり辛いのではないか、というのが俺の率直な感想である。なにせ、空中をわざわざ歩かなくてもカルミナは飛べるしな。消失マジックもできる。そういう意味での真新しさというのはまだない、というところか。


作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
まさかの向こうも異世界帰りの勇者でしたかあ 犯罪者予備軍に異能力を与えたりしてなければ異世界帰りトークなんかもできる友人になれたかもなあ
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