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36:仮申請

ダンジョンで潮干狩りを

Renta!等いろいろなサイトで発売中です。是非とも続刊のためにもご購入のほうよろしくお願いします。


ダンジョンで潮干狩りを

https://ncode.syosetu.com/n9657hs/

こちらもよろしくお願いします。


 数日して仕事にも慣れ、カルミナのポテチ禁止令が解除された。早速職場でポテチを開けて一週間ぶりのポテチを内村課長から下賜されるカルミナ。


「ああ、この時を待ってたわ。またポテチが食べられるなんて……」

「約束は約束だからな。一週間と決めた以上一週間経ったのだから解禁するのは仕方ないこと。お前を将門塚へ連れていった近藤は半年減給なんだから、それに比べれば軽い罰則だと思っておけよ」

「美味ぢい、美味ぢい……」


 話の途中にもかかわらず久しぶりのポテチの味に涙を流して喜ぶカルミナの姿を見て、内村課長も他のメンバーも毒気を抜かれたようにしょうがないなあ……という空気が立ち込め始めている。


「はい、これ」


 カルミナがポテチを一枚近藤さんに渡す。


「私のせいで迷惑かけたのだからお詫びよ、受け取って頂戴」


 減給半年分に比べればはるかに安いポテチの一枚だが、仲直りの印としては悪くない、しかしカルミナとしては一日一袋の中からひねり出したかろうじての一枚である。近藤さんは素直に受け取ると、パリッと齧り、その場を少し和ませた。


「さて、仕事に戻るが進藤君とフィリス君とカルミナ君には特別任務というか浄化の仕事を手伝ってほしい」

「三人ともということはそれなりに大掛かりなものですか」

「普段はもっと多い人数でまとめてやるんだが、今回は君らの強さに頼って、鈴木君の引率で行ってきて欲しい。場所は奥多摩の霊園だ。最近そっちで超常現象の類が発生し始めようとしているという報告を受けたものでね。実際に被害が出る前に浄化してしまって綺麗にしておきたいんだ。よろしく頼むよ、ブリーフィングが終わり次第出発ということでいいかな」

「解りました、行ってきます」


 フィリスとカルミナも頷いて任務に取り掛かることになった。鈴木さんの出発前ブリーフィングが始まる。個室に入り、仕事の内容を説明される。


「とりあえず、場所については現地まで私が運転していくから問題ないわ。発生している現象については人魂や幻視、幻聴の類が見え始めているってところね。それほど大きな現象が起きている、というわけではないわ。ただし、霊園の面積が広いので密度が足りないだけで、中々の量の瘴気が溜まっている可能性もあるわ。そこで、先日将門塚の件で使用した魔方陣による大規模浄化で薄く広げて浄化を行ってほしい、というのがこちらの要望よ」

「薄く広くですか。範囲と使わせてもらえる時間にも依りますね。どのぐらいの広さなのですか」

「東京ドーム二十七個分……と言ってもフィリスさんには解らないか。一キロ四方ぐらいって言えば通じるかしら? 」

「かなり広いですが、私の浄化魔法を存分に使わせてもらえるなら四回、トモアキ様の許可が下りれば一回、というところでしょうか」


 俺のほうをちらりと見ながらフィリスが正直に答える。


「進藤君の許可……って何? 」

「鈴木さんなら話してもいいかな。こっちへ来る際、いくらかの荷物も一緒に持ってきているんですよ。その中に……先日もこっそり使った、浄化の威力を増加させるアイテムがありまして、それを使えば二キロ四方ぐらいの範囲で浄化を行使することができるようになります。ただ、アイテムボックス内にはそれなりに危険なものもありますし……そもそもカルミナがこっちで現出する原因にもなったのがこのアイテムボックスなんです。だからうかつに中の物を使用してカルミナ以外にも何か異変が発生するとまずいので、使用を躊躇させているのですが……急ぎではないなら大人しく四回行使するか、面倒なのでまとめて一発で浄化してしまうか、今回はどっちでもいいことになります」

「そうね……一回で済ませてすぐに帰ってくる方が仕事としてはスマートなんだろうけど、悩みどころではあるわね。そのアイテムを使う際に何か異変はあった? 」

「その辺はどうなんだ? 聖杖を取り出した際に異変はあったか? 」

「あの時は急いでいたので確認する暇はなかったですが、あの後将門塚で何も起きていないなら、もし何かがくっついてきていたとしてもまとめて浄化してしまった可能性は高いです。なので使用をするだけなら問題はないかと思います」


 ふむ、問題なしか。なら、フィリスの負担も考えて一回でまとめて浄化できるようにしてしまった方がいいかもしれないな。


「じゃあ、今回は鈴木さんに浄化範囲と浄化の機能を実地で確かめてもらうのも込みで、フルパワーでやってくれて構わないぞ。聖杖の使用も許可する。フィリスが浄化魔法陣を組み上げてる最中に何か外部からの干渉があっても俺とカルミナが居るから守ることは出来るはずだ」

「つまみ食いしてもいいってこと? 」

「多少は良いがお残しはするなよ? 」

「大丈夫そうね。なら、全力で取り掛かってもらうことにするわ。それとフィリスさん、カルミナさん。国籍の仮申請が終わりそうだから今のうちに伝えておくわ。二人ともイギリス国籍ということで向こうの外務省の裏ルートとコンタクトが取れてね。代わりに二人分の日本国籍を用意することになったけど、これで上手く申請が通れば二人とも、パスポートを渡すからそれが身分証になるわ」

「それは何よりの嬉しい情報ですね。これでトモアキ様と一緒になれるという夢に一歩近づけました」

「私もついででもらっても良いものなのかしら? まあ貰えるものはもらっておくわ! 」


 俺は、というとフィリスと結婚するという覚悟は決めていたものの、いざ目の前にお出しされることを考えると少しこっ恥ずかしくなり、鼻の頭をポリポリと掻くことになった。


「というわけで、いきなりで悪いけど今日は移動のほうが長い日だから覚悟しててね。一応寝ててもいいけど、トイレとかそういうのは出発前に済ませておいてね。後は……」


 ◇◆◇◆◇◆◇


 一時間後、仕事の準備を整えた俺達四人は鈴木さんの運転で現地へ向かった。一応電車でもいける距離ではあるんだが、荷物の都合があり、使うかどうかわからないが瘴気払いの結界を張るアイテムなんかを持ち込んだ結果、そこそこの重量になったため、これを持ち出してよっこらせと移動するよりは車でスムーズに現地まで到着するほうが早いと判断した。


 現地までは高速は使えないものの、いたって平穏な道のりであり、車の流れるスピードや、都市部が切れて田園風景に戻るさまを窓から見守るフィリスとカルミナの反応を楽しみながらの小旅行となった。


「のどかな風景ですね。今まで都会を走っているかと思ったら気が付けば人の少ないところへ来てしまいました」

「あっちじゃこのぐらいの自然は普通にあったからな。むしろ懐かしさみたいなものがあるんじゃないか? 」

「そうかもしれませんね。ですが、こんな都会から離れたところにお墓を作るのですか? もっと近いところのほうがお参りするのに便利なのではないのですか? 」

「都会は地面の値段が高いからな。ただ単に土地を買うだけでも俺たちの給料何十年分って話になってしまうし、そもそも墓を作るのにもまた違った許可が要るんだ。土地が余ってるからそこをお墓にする、とは気軽に出来なくなってるんだよ」

「なるほど、勉強になります」

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
これで子供ができても大丈夫
テレビとかでもよくあるドーム換算 異世界出身の2人もそうですけど馴染みのない建物のサイズを基準にされてもいまいち伝わらなそうですよねえアレ
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