34:昨晩はお楽しみでしたね
ダンジョンで潮干狩りを
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「昨晩はお楽しみだったわね! 」
朝、そう言いながら部屋の空気を入れ替えに来たカルミナに起こされる。まだ俺もフィリスも裸のままだ。布団は乾燥が面倒くさいしまだ被ってないと風邪をひくという時期でもないので早々に部屋の隅っこに退避していてもらっていた。
フィリスはまだ寝ている。昨日はあの封印騒ぎと飲み会と、それからなんやかんやで体力を使い果たしてしまったらしい。もう少し寝かせておこう。
「おはようカルミナ、愛の巣に不法侵入とはいい度胸だな」
「どうせ起こしに来なかったらそのまま寝てるだろうから起こしに来てやった……わ……もう起きてるわね」
「こっちはいつでも起きてるぞ。元気そのものだ」
「ちょっとは隠しなさいよ。見てるこっちが照れるわ」
「魔王が照れるなよ。そんなお年頃でもなかろうに」
さて、スッキリしたところで朝ご飯前に二人ともシャワーを浴びないとな。フィリスも起こしてやるか。
「フィリス、そろそろ起きないとシャワーを浴びて仕事に行く時間がなくなるぞ」
「……ふにゅう」
大分寝ぼけているな。そのままほっぺたをむにむにし、痛くない程度に引っ張る。結構伸びるな、弾力があって伸びて……目を覚ますまでもうしばらくこうして居ようか、それとも先にシャワーを浴びておいて改めて起こしにかかるか。
考えてる間に徐々に覚醒してきたらしく、眠たい顔からいつものピリッとした顔に戻ってきた。そしてフィリスは昨夜のことを思い出したのか、また赤く顔が染まっていく。
「……おはようございます、トモアキ様。昨夜は、その」
「昨夜はとても素敵な夜だったな」
「……はい! 」
そしてしばらくカルミナのいる方向に目が向くと、服も着ないままカルミナのほうへ近寄っていき、そのままカルミナにアイアンクローをかけ始めた。
「いだいいだいいだい! なんでこんなことするのぉ!? 」
「昨夜、内緒にしておいてくださいと言ったことをよりにもよってあんなタイミングでトモアキ様に伝えてくれましたね! このまま浄化します! 」
「まっで、まっでぇ! あやまるがらあ! 」
力関係はこの時点でフィリスのほうがはるかに強くなっている。聖女として、それとも女性として一皮むけたのかはわからないが全力でカルミナを浄化しようとしている。そしてカルミナが徐々に縮んでいくのがわかる。
「その辺で勘弁してやれ。カルミナは悪気があっただろうがそれ以上やると本当に消滅しそうだ」
「そうですね、元に戻ったみたいですし今日のところはこのぐらいで勘弁してあげましょう。私の願望も達成されたことですしね」
そういえばこれで一緒に寝てても問題ないということになったのだから、少し広いベッドが必要だな。次の休みにはダブルベッドを買いに行って、今使ってるベッドはそのままカルミナ用として使いまわそう。そうしよう。カルミナにはポテチ一週間禁止に合わせてお古を与えてやるとしよう。
「あー、顔がゆがむかと思った……って、体が元に戻ってる! せっかく大きくなれたのに! 」
「これからも定期的に浄化して大きくなってた場合は小さくしていきますからね。しっかり見張りますから覚悟しておいてください」
フィリスがカルミナを教育(物理)している間に先にシャワーを浴びてきて朝食の用意をしておくか。流石にご飯抜きはかわいそうだからカルミナの分もちゃんと用意する。どうやらカルミナは食事をしなくても問題なく活動できるらしいが、だからと言ってこちらが食事をしている間何もさせずに放置するのは人道的な面でも俺の心としても問題があるからな。
シャワーを浴び終わると、フィリスがタオル一枚で脱衣所で待っていた。やはり、汗をかいてシャワーを浴びるタイミングを待っていたらしい。一緒に入ってきても良かったのに、そのへんはまだいじらしさが残っていて非常に可愛い。
「お待たせ。シャワー浴びてる間に朝食作っておくよ」
「お願いします。ちょっと時間がかかると思いますので先に食べていても結構ですよ」
さすがに先に食べている気はないので、フィリスのシャワーの時間を考えつつ、インスタント味噌汁とご飯、そして漬物と残り物の惣菜でちゃちゃっと作ってしまう。
ご飯が出来上がったところでちょうどフィリスがシャワーから出てくる。服装は私服に着替えられていた。流石に昨日の今日でバスタオル一枚で出てくるほどの大胆さはなかったらしい。
「それじゃ、いただきます」
「「いただきます」」
カルミナも揃ってご飯を食べる。朝の食事の時間は大切にしたいところ。空腹で一日中あちこちをうろつくはめになるのは勘弁してほしいところだからな。
「そういえば私もカルミナもお給料をもらって生活することになるんですよね」
「まあ、所属する以上そういう形になるだろうな……振込口座どうするんだろう」
「ふりこみこうざ……とは? 」
「この国では給料を手渡しする仕組みじゃなくて、銀行……金の管理をしてくれる組織に個人用の金の倉庫を用意してくれて、そこに入れますよーという形でお給料が入れてもらえるんだ。俺はともかくとしてフィリスとカルミナの分はどうするんだろうな。内村課長の手が空いてたら聞いておくか」
「お給料が出たら、この部屋の家賃も私が一部分担できるようになりますから、トモアキ様に完全にお世話になるという生活からも脱却できますね! 」
「俺としてはこっちの世界の金の使い方を覚えるためにもフィリスには自由にできるお金がある程度あってもいいとは思ってるからな。今後は家計簿をつけて、毎月何にいくらずつぐらい使ってるかを計算して、それを等分してそれぞれの給料から出す、という形でどうだろう。そうすればフィリスも自分の小遣いでつまみ食いしたり服を買ったり色々出来るようになるぞ」
全額俺が出して残った分は俺の小遣い……でも良いんだが、実質三馬力で生活していく以上色々と出費は重なるし、カルミナのポテチ代は自分で稼いでもらうとしてもやはりそれなりに自由に使えるお金、というのは大事だ。お互いの折り合いのつけられるところを探っていって家族モデルの一つとして作り上げていこう。
食事を終わり片付けをして、それぞれの恰好で出勤する。カルミナも身分を得た、ということで今後は透明化して公共交通機関を使うことはなく、ちゃんと成人価格で電車を使って通勤することになった。
「トモアキ様は毎日こんな混んだ電車に詰め込まれて出勤して辛くはないのですか? 」
限界ギリギリまで乗り込んだ混雑した電車内でかろうじて会話するだけの距離に近づけれたフィリスと会話をする。
「転移魔法なんてものが使えたら出勤が楽になるなあと思ったことはある。だが、ないものねだりだからな。大人しく揺られて、気合で降りる駅でまで我慢だ」
「これも人口が凄いおかげですね。頑張ります」
「荷物棚に行きたい……」
この混みようでは小さいカルミナも押し潰されており、もはや叫び声すら聞こえないありさまだ。慣れてがんばれ。後、朝の素晴らしい時間を台無しにしてくれたお礼だ、ざまあみろ。
なんとか降車駅で降りてへとへとになった二人を元気づけつつ警視庁の建物へ向かう。仕事前にこれだけ疲れていると、この後の仕事の効率が落ちそうだな。どこまで元気でいられるかわからないが、この通勤ラッシュにも慣れてもらわないとな。
そう考えていると、フィリスが深呼吸をした後顔を軽くはたき、気合を入れている。
「さあ、今日もお仕事頑張りましょう。昨日のような事件はそうそう起こらないという話ですし、そんな危ないところを回らされることもないはずです。安心して仕事に取り掛かれますね! 」
フィリスの前向きさにありがとうと考えつつ、エレベーターに乗りいつもの隠しコマンドを打ちこむ。地下六階に向けてエレベーターを動かすと、勤務開始だ。
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