16:第二回アイテム整理
ダンジョンで潮干狩りを
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マツさんのゲル
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ダンジョンで潮干狩りを
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こちらもよろしくお願いします。
「というわけで、第二回アイテムボックス整理を始める。要らないものは捨てて、捨てられないものの中で物騒なものは封印、こっちでも使えそうなものは保留。食物の類は残念ながら破棄だ。一つ一つ確実にやっていこう」
「はい、トモアキ様」
「ポテチがあったらよこしなさいよね! 」
今日もうるさいのが一人うろついてるが、昨日取っておいたポテチのおかげで邪魔をする様子はない。そのまま大人しく大袋のポテチをかじっていてくれると嬉しい。
「流石に野営セットはもう要りませんよね? 一通りそろってますが」
「そうだな、毛布なんかも向こうにはあったけどこっちにはなかった病気の元みたいなものがあるかもしれないし、そのまま捨てよう。煮炊き用の道具もこっちの方が便利だし、家で使うのもちょっと難しいから燃えないゴミの日に処分だな」
「このポーション類はどうしますか? 」
「緊急時に必要になるかもしれないが基本的に封印。こっちでポーションが必要になりそうな条件が揃わない限りは使うことはないだろう」
「このレッドベアさんのぬいぐるみはどうしましょうか」
「それフィリスが気に入ってた奴だろ。洗濯して乾燥させて綺麗にして持ってるといい」
「ありがとうございます! 」
ふむ……結構色々詰め込んでいたものだな。ポーションやエリクサーも入っているのは当たり前として、道中の街で小さな女の子から受け取ったキャンディなんかも詰め込まれている。きっとあの女の子も元気でやっていることだろう。捨ててしまおう、流石に賞味期限が怪しい。
後は装備一式か……火蜥蜴のマントなんかはよく役に立ってくれたが、それがないと生存できないような環境ではないしこれも封印だな。最後に使ってた装備一式は絶対に封印。うっかり外に出してまた魔王の破片とかが付いてても困る。カルミナが少し反応を見せたようにも見えたが、気のせいだろう。
「ねーねー、何か面白いものはいってないの? 私にも見せてよ」
「面白いものなんてないぞ。基本的にお前を倒すための物しか入ってないから逆に困るんじゃないか? たとえばこれとか」
フィリスとお揃いの破魔のネックレス……実際には勇者パーティー四人のお揃いになるわけだが、それをカルミナに近づけると、カルミナが嫌がり、そして破魔のネックレスが光り出す。
「そういうのは要らない! 仕舞って! 」
ほれほれ~と見せびらかしながらも、こっちで使うことはないだろうということでこれも封印。フィリスは封印せずに普段使いのネックレスとして使うようだ。多分カルミナ牽制にも使えるんじゃないかという判断からだろう。
「あんまりいじめてやるなよ。悪さをしなければ基本的には無害なんだから」
「そうよ、昨日のすき焼きとポテチの分は私が稼いだんだから居候の聖女は分をわきまえたほうが良いわね! 」
「それを言われると……やっぱり封印しましょうかこの小悪魔」
日曜日の昼間から喧嘩してるんじゃないよこの二人は。喧嘩するほど仲がいいとはまだ言い難いこの関係性はいつか変化するんだろうか。俺は心配になってきたぞ。
◇◆◇◆◇◆◇
あーでもないこーでもないと言いつつも、アイテムボックスの中身は無事にほぼ全部が整理し終わった。次のゴミ出しの日には盛大な量のゴミが出ることになるな。ちょっとコンビニ行ってゴミ袋買い足してくるか。
「ちょっとコンビニ行ってくる。ゴミ袋が足りそうにないから買い足しておかないと」
「でしたら一緒に出掛けましょう。一区切りついて体を動かしたい気分です」
「私も付いていくわ! 透明なら問題ないでしょ! 」
結局三人で出かけることに。最寄りのコンビニまで歩いて十分、気楽な足取りと、時々後ろで聞こえる「いてっ」って音と共に人通りがそこそこ居る中を透明化したカルミナと、この間買った服を着こんでおしゃれになったフィリスと歩く。
横目で見ると、俺と並んで歩くフィリスを見て振り返る人が多い。やはり、こっちの世界で見てもフィリスが美人であることに間違いはないんだろう。外国人っぽくてそれでいて美人。スタイルこそボッキュッボンではないにせよ、スレンダーの極致とも言える身体的バランスは俺にとってもストライクゾーン。
もし五年前のあの時、フィリスが聖女としての務めとして俺のそばでお互いに頑張っていきましょうという声をかけなければ、勇者という大役を素直に受け入れることはなかっただろう。
こんな美少女と一緒に冒険の旅! マジで! という感じだったからな。そういえばフィリスもあの国王による地獄のブラック勤務を乗り越えてきたという実績があるんだからこっちでもうまく仕事を見つけることが出来れば共働き二馬力で生活……ってああ、カルミナはともかくフィリスにはまだ戸籍も外国人と認める証明書もないんだったな。
むむむ……この辺の無国籍者の難民問題なんかに詳しい弁護士か探偵あたりを雇って何とか解決するしか方法がないな。まさか異世界に召喚されて一緒に帰って来ちゃいました、なんて話をするわけにもいかないし、何かしら法の穴を見つけて解決する方向性でいこう。
コンビニに入ってゴミ袋を買い、ついでに明日の分のポテチどれがいい? と小声でカルミナに尋ねる。すると、棚の一部が揺れた。どうやらコンソメパンチで良いらしい。それを袋に入れてやると、フィリスが小声で「あの……これもいいですか……」と控えめにミックスナッツを持って来た。
可愛いから許す。可愛いはすべてに勝る。喜んで二袋買ってやると、ぱぁっと花が咲いたようにフィリスが笑顔になる。カルミナが小声で「ずるい、私も二袋」とささやいてきたが、容量が違いすぎる。値段は確かにフィリスのほうが高いが、フィリスは家の仕事も手伝ってくれているからな。
その辺を小声で軽く説明すると、納得したのかそれ以上の追及はしてこなかった。あくまで今日の買い物のメインはゴミ袋だ。明日の朝燃えるゴミとして出す用の袋と燃えないゴミ用の袋、そして……ポテチとミックスナッツ。明らかに買い物のラインナップがデートという感じではない。何かついでに買ってやるか?
「せっかくならお昼ごはんも買っていくか」
「何でもいいんですか? どれも美味しそうですが」
「食べに行くのは問題があるからな。好きなものを選ぶと良いよ」
たまには外食としゃれこみたいところだがカルミナが居る以上難しいので、こういうのでガス抜きはしないとな。
結局三人分の弁当も買うことになり、それなりの出費にはなったがこれでもまだ昨日の儲けのほうがまだ多い。カルミナのおかげではあるからもう一袋……と言いたいところだが、あまり調子に乗ると毎週競馬場に連れていかれるかもしれないからな。それはさすがに辞退したい。
確かに収入としては嬉しいことになるが、それに慣れてしまうことへの恐怖感もある。それにカルミナはともかくフィリスは何かしらの手段で自立させたいという希望がある。こっちに来てしまった以上追い返す方法もなければ追い返す気もない。毎晩悶々としながら隣で眠るフィリスの寝顔を堪能するのにも慣れてきた。
ちゃんと法的に個人として身分を与えさせた後で正式にお付き合いを……この場合結婚を前提にという話になるが、そういう道を進みたい。その為にはまだまだやらなければいけない課題がいくつもある。
まずは日本語検定あたりから攻めてみるのが良いかもしれないな。きちんと日本語でやり取りするだけの能力があると認められるなら、日本国籍を取れるかどうかはともかくとして話し合いに応じて理解できる、という確認が取れることになるし、無国籍者はフィリス以外にも普通に発生していることだろうし、それに対応する団体なんかに支援を求めることも難しくないだろう。
これからしばらく、調べものをする日々が続くかもしれないな。
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後毎度の誤字修正、感謝しております。