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帰還勇者の内事六課異能録  作者: 大正


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108/120

108:偽装? 本物?

 金貨が金貨であることには違いはなかった、という点については問題はない。後はこの金貨から得られる情報は何かあるだろうか。


「金を高純度で鋳つぶせるだけの文明レベルがある……ぐらいしか読み取れる情報はないか? 」

「そうですね、刻印で何か書いてあるのは確かですが、おそらく何年に作ってあるとか、この肖像画が誰であるとか、そう言う感じのものは伝わりますが、それ以外には……何処かに純度とか書いてあれば別なんでしょうがさすがに解読するのは難しそうですね」

「ただの金貨にみえるけどねー。まあ、持ってた人の魔力の流れみたいなものは感じ取れるけど、これが本物かどうかをハッキリさせるのは難しいんじゃないかしら」


 フィリスとカルミナも金貨を見つめながらあれこれ弄ってはいるが、これと言ってここから読み取れる情報もなさそうだった。


「ほのかに魔力のようなものを帯びてはいますが……それ以外で特に気になる所はありませんね。よその国の金貨と言われたらそれで納得してしまいそうです」

「しいて言えば魔力を帯びているのが気になるところよね。金貨に対して何らかの異能力を使った可能性はあるけど……たとえば金貨を嵩増ししたりとか、金貨を増やしたりとか」


 金貨が増やせる異能力か……金貨以外でも応用はききそうだからかなり重宝される異能力ではあるな。そんな仲間を見つけられた竜円寺の人を引き付ける力はそれなりのものであることは考えられるか?


「実際に増やされた金貨であるかどうかを確定するのは出来るのか? 」

「能力にもよると思います。それが幻影系統の異能力として、見えてるけど実際には違うものが見えているのか、それとも本当に増やしてしまえるのか。後者の場合術者に相当な負担がかかる異能力であることはあると思います。何もないところから物質を生み出している訳ですからね」


 フィリスが冷静に能力について考えついたことを話しているが、物理的に増殖させる能力があるとするなら、竜円寺の資金力はそれだけ大きいものになるだろう。早めに手を打つか、二度とこの間の新橋駅での乱暴騒ぎのようなことを起こさせないように注意しておかないといけない。そのためにも竜円寺が色々やらかす前に手立てを打ちたいところだ。


 しかし、直接的に関与していたという証拠すら挙げられていない現状、こういうところから詰めていくのはありかもしれないな。金で偽造通貨を製造してそれを市中に広めている……さっき内村課長が行ってた通貨偽造関連の罪として竜円寺を引っ張れるかどうか。実際の通貨を作ってるわけではないから証拠集めに苦労しそうだな。


「ふむ……例えばこの金貨を異能力で出来たものだと証明できれば、金の偽装流通とかそっちの罪でしょっぴけることにはなるか。しかし、その為には何が必要になるのだろう? 」

「異能力で出来たかどうかはともかくとして、現物がここにあるわけですしね。おまけに本物の金と遜色ない。いや、むしろ全く同じものだと言える出来栄えである限りこれが偽物であることを証明することはできない訳か」

「異能力を判別できる我々はまだしも、普通の鑑定でも偽物であることが証明が難しい、しかも本物も偽物も全く同じである……これって何かの罪に問えるんでしょうか? 」


 フィリスと俺が同じ疑問を口にし、内村課長が苦い顔をしている。本物として認定されてしまった以上、これは本物になってしまう。そっちの線で引っ張ることは難しい、ということだろう。


 四人がたった一枚の金貨を目の前にうーんと首をひねる有様。どうやらこっちの線で竜円寺に手を出すのは難しい、ということになった。もっと事件が大事になって、世の中に謎の金貨が流通している! みたいなニュースになってからじゃないと難しいのだろうな。


「とりあえず金貨は返しておこうか。取れるデータは取れたし、捜査二課にそういう物が出回りつつあるらしい、という話だけでも通しておけば十分だろう。わざわざ借りてきて弄繰り回した結果がこれでは残念だが、現状で手を付けられないのも確かだ。ご苦労だったな」


 収穫らしき収穫はなし、と。まあそんなこともあるか。今後竜円寺がどれだけ異能力者を抱えることになるかまでは解らないが、竜円寺につながる線をまずは一つずつ探してたどり着くのが大事だ。一本だめでも二本目三本目を探して竜円寺を参考人でもいいから聞きだすことができるようになればいいんだけどな。


 借りてきた金貨を古物商に返しに行き、返すついでに同じものが何枚あるかを確認した後、複数の店舗を辿り、同じ金貨が買い取りに出されていないかを調査することになった。それなりの件数を回ったところ、現状では四店舗で買い取りの申請があった事を確認できた。


 流石に個人情報は徹底管理されているようで、令状も持っていない俺が誰が売りに来たかまでを把握することはできなかったがこの金貨を持って来たのは竜円寺の一味であることは間違いはないので、この金貨が存在する店舗の位置を覚えてから帰ることになった。


 流石の竜円寺も、どこの店に交換に行ったから自分の居場所を特定されがちだ、ということまでは考えていないだろう。それを意識してまるで一部の範囲について絞り込めるように店舗を利用する、という可能性もあるが、とにかく金を必要としている竜円寺にとってはそこまでの知識を果たして使おうと考えているのか。それとも考えなしに近場から順番に回っているだけかもしれない。


 ともかく、ついでに複数の店舗を回って帰ってきて、リサイクルショップの存在地と金貨が持ち込まれた可能性のある店舗をそれぞれマーキングしていったが、現在のところ行動範囲を絞り込むことができるほど多い店の数で取り扱っている訳ではないらしかった。


 部署に帰ってその話を報告すると、内村課長はマーキングしたリサイクルショップを点々とマーキングしていき、地図に描く。


「わざわざ複数のリサイクルショップに持ち込んでいるということは、自分の居場所を知られないためか、もしくはいつか偽物が混じり込んでいることや怪しまれることを考えての行動のはずだ。バレてもいいし偽物でも買い取りさせる自信があるなら同じ店にひたすら通い続けるはずだからな。そうしないということは、 彼自身も自信がないということになる。そこに付け入るスキがあるかもしれない、ということだけ覚えておけ。今の所は……まだ待ちだな。向こうが暴発して何かしらの事件を起こすのを期待して、そこから竜円寺とのつながりを確認して本人に色々と意見を聞きに行く、という形になるだろう。その際に長時間話を聞けるように証拠固めを進めておくのが最善手だと考える。挑発して呼び出して……というのは現状の竜円寺人気を考えると難しい。向こうからしっぽを出してくれないことにはこちらからでは手を出せない、と考えておけ」


 内村課長から待ての命令。実際今の所何もしていないのだから手出しのしどころがない。


「それにしてももどかしいですね。ここのところずっと待ちの姿勢ってのも」

「まあ、平和なのはいいことだと考えておこう。待ってる間に巨大化しないことを祈ることにするさ。それに、今までお前たちが全力で対応するようなことは一回しかなかっただろう? こっちもしっかり戦力を整えてその間にしっかり鍛えてやってくれ。内勤組は仕事がなければ自己鍛錬に務めるようにしてもらおう」

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
カロリー以外のデメリットが無しで完璧な複製ができているのならいいんですが魔力を帯びているってのがなあ その魔力が消えたら複製物も消えたとかなったら事件になりそうですがそんな危ない橋渡ってるかねえ?
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