第八章 避難
レムス王国（Kingdom of Remus）の軍隊は陸軍の規模が最も大きく、さらに世界最大規模の空挺部隊を有している──そう俺は思った。
俺とミハイル（Mikhail）が乗るハンヴィー（HMMWV）と、ミハイルの父親を搬送していた救急車は、市街地で前進できなくなった。すぐ数メートル先に、レムス王国軍のBMD-4歩兵戦闘車と随伴部隊がいたのだ。
俺たち三台の車両は敵を発見するとすぐに方向転換を図ったが、相手は砲撃してきた。俺たちは角を曲がり別の通りに逃げ込み、直撃は免れたものの、砲弾がビルを直撃して、瓦礫や鉄骨が大量に降ってきた。
救急車は破片を踏み、タイヤが破裂して走行不能になった。
医療スタッフは急いでミハイルの父親を担架ごと俺たちのハンヴィーへ運び込んだ。もう一台のハンヴィーは周囲を警戒していたが、レムス兵が接近するや否や機関銃で応戦し、前進を阻止した。
全員が乗り込んだ後、俺たちはハンヴィー二台で脱出を試みたが、敵のBMD-4が追跡してきて、もう一台のハンヴィーを砲撃して破壊した。爆発による破片が飛び散る中、俺はミハイルと自分の頭を押さえ、負傷を防いだ。
俺たちのハンヴィーはさらに角を曲がり、路地に入り込んだ。だが路地は狭く、ハンヴィーはすぐに街灯に衝突した。
車はまだ動けたが、前進できず、後退すればレムス兵の射線に入る恐れがあった。
俺はミハイルを引っ張り降車し、運転していた兵士と、担架を運ぶ医療スタッフと共に近くのビルに避難した。
俺たちは入口を突破し、そこがデパートだと知った。大きなロビーを抜け、併設されたカフェに駆け込んだ。すでに何人かの避難民が集まっていた。
俺たちはカフェに身を潜めた。だが、レムス軍は建物内を一層ずつ捜索してくるだろう──そうなれば、また俺は人を殺さねばならなくなるかもしれない。
ミハイルの父親はまだ昏睡状態だった。ミハイルは必死に医療スタッフに父親の容態を尋ねていたが、医療スタッフは彼を励ましながらも、誰もが手術の必要性を理解していた。
「すみません、私は外科医です。もしかしたら彼を救えるかもしれません」
避難民の一人がそう名乗り出た。
「ただ、器具が必要です。上の階の薬局にあります」と彼は続けた。
この国では、薬局で手術器具や麻酔薬さえ販売されている。ただし、医師資格を提示しなければ購入できない。
「俺も一緒に行く」と俺は言った。
この時、積極的に動かなければミハイルの父親を救えない。
避難民たちの強い要望で、俺は店員から包丁を受け取り、外科医と兵士と共に薬局へ向かった。
俺たちは階段を上り、二階の薬局へ入った。薬局内には誰もいなかった。
外科医は必要な器材が収められた施錠棚を発見した。
俺がカウンターで鍵を探そうとしたその時、兵士がAK-74Mを取り出し、棚の錠前に銃撃を加えて破壊し、中の器材を取り出せるようにした。
俺は理解していた──これで敵にこのビル内にいることを知られたのだ。
「すまない、でも時間がない」と兵士は言った。
外科医は一瞬固まったが、すぐに我に返り、必要な器材を手早く取り出した。
俺は器材の一部を持ち、兵士の援護を受けながら急いでカフェへ戻った。
カフェの奥で、医師と医療スタッフが手術を開始した。
俺はミハイルと他の避難民たちと一緒にカフェの中で待った。
「大丈夫だ、もう手術は始まってる。しかも同じ血液型の人が献血してくれるってさ。俺たちは運が良かった。きっと君の父さんは助かる」
俺はミハイルを励ました。
ミハイルはすすり泣きながら何度も頷いた。無理もない。突然の攻撃で父親が重傷を負ったのだ。普通の学生がこの状況で冷静でいられるわけがない。
カフェの入口では兵士が警備していたが、突如として外に向かって発砲した。
直後、反撃の銃弾が彼の頭を撃ち抜いた。
ある女性が悲鳴を押し殺すように口を塞いだ。
緊急事態だった。
俺は慎重に敵の射線に出ないように注意しながら、兵士のAK-74Mを回収した。
敵の足音がどんどん近づいてきた。
俺は銃を手に、刺突装備された銃剣を確認した。敵がカフェに入る直前、俺は壁に隠れながら飛び出し、発砲した。
レムス王国のウルフキン兵三名を射殺した。
俺は銃を構えたまま周囲を警戒したが、追加の敵影はなかった。
そこで、殺したレムス兵のAKMと、彼のベストから予備マガジン数個を回収し、カフェに戻った。
俺は手に入れた武器を検査した。俺はやはりAKMの方が扱い慣れている。
ミハイルは俺の後ろで驚いた様子で俺を見ていた。
無理もない、彼にとっては俺がこんなに銃の扱いに慣れているのは意外だっただろう。
できることなら、さっきの兵士が頭を撃ち抜かれた場面が彼の心に傷を残さないことを祈るばかりだ。
カフェの中の人々の視線は俺に集まったが、俺はそれを気にせず、銃を手にカフェの入口を守り続けた。
前の章と同様に、本章も繁体字中国語で執筆され、その後ChatGPTによって日本語に翻訳されました。読者の皆さまに楽しんでいただければ幸いです。
