デスゲーム:地下闘技場
「レーディス&ジェントルマン!! 今宵の『デスゲーム』はコロッセオ(地下闘技場)で1対1の相手を殺しあう「R15デスモード」でタイマンバトルを行います!!」
今、喋っている男はラメ入りの派手なタキシードを着ていた。
真面目そうな顔で細身瘦躯。
「青コーナー!!! 庇護欲をそそる顔で、数多のスポンサーを誑し込んだ色男ー!!
しかし、それとは別に様々なクエストを踏破するパイオニア(開拓者)!!
ジョーーーン・ドゥーーー!!!!」
白髪の童顔の男が入場して来た。
「赤コーナー!! 初心者大会優勝!!期待の新人!!
ヤーーーラレ・ヤーーークーーー!!!」
茶髪の釣り目の男が入場して来た。
ラメ入りの派手なタキシードを着ていた男がジョン・ドゥとヤラレ・ヤクの口上を述べた。
「今回の『デスゲーム』は実況のミノル・キョウと解説で元『デスゲームプレイヤー』のカイ・セツ
二人でお送りします」
「よろしくお願いいたします」
ラメ入りの派手なタキシードを着ていた男が屈強な男と実況席で座っていた。
「カイ・セツさん、今回の見どころは?」
「ジョン・ドゥにヤラレ・ヤクがどこまで食い下がれるか、ですね」
「その心は?」
「ジョン・ドゥは庇護欲をそそる色男に見えても、『デスゲーム』の古参の猛者。
ヤラレ・ヤクは大会優勝者といえども、『デスゲーム』の初心者。
結果は一目瞭然です」
「ヤラレ・ヤクの善戦を期待したいと思います。
では『デスゲーム』を始めます」
「『ジョブ&ブレイク』ワークスタート(カードゲームを始めます)」
『デスゲーム』の開始のゴングがなる。
ヤラレは体カードの頭部ゾーン、胴体部ゾーン、手足部ゾーンにNカードの「消防ヘルメット」、「消防耐熱服」、「消防手袋&ブーツ」を出した。
消防ヘルメット:N以上のレアリティのあるカードじゃないと破壊されない。
消防耐熱服: NとCの体カード、技カードでは破壊されない。
消防手袋&ブーツ: デッキからN以下のレアリティの『消防』の技カードを1枚選んで引くことができる。
ジョン=ドゥは体カードの頭部ゾーン、胴体部ゾーン、手足部ゾーンにCカードの「国松工務店の鉢巻」、「立川リサイクルショップの鎧」、「如月刃物店の包丁」を出して、カードテキストを読み上げた。
国松工務店の鉢巻:(能力はありません。能力ではなく宣伝です)リホームの信頼と実績ナンバーワン!! リホームの事なら国松工務店で tel.○○○○ー××ー□□□□
立川リサイクルショップの鎧:(能力はありません。能力ではなく宣伝です)コップから鎧まで何でもそろう、立川リサイクルショップ、季節ものを高価買取実施中!! tel.○○○○ー××ー□□□□
如月刃物店の包丁:(能力はありません。能力ではなく宣伝です)刃物職人の業物を数多く取り揃えております。お近くにお越しの際は是非ともお立ち寄り下さい。如月刃物店 tel.○○○○ー××ー□□□□
「何だ、そのふざけたデッキは」
「ふざけてはいないですよ。至って真面目ですよ、私は」
「何の能力ないだけでなく、ふざけたテキストしか載ってないカードを出しおって。
俺を舐めているのか!!」
「戦えば、わかりますよ。ふざけたデッキじゃないことを証明しますよ」
「やってやろうじゃないか」
ヤラレの先攻から始まった。
「俺のターン、サーチドロー」
ヤラレは「サーチドロー」を選択。
「オラオラ、いくぜ!!」
デッキからNカードで技カードの「二連撃」を選んで引いた。
「二連撃」:相手の体ゾーンのフィールドゾーンのカードを二枚まで破壊する。
技カードの「二連撃」を発動。
「それは見切りましたよ」
よそれに対して、ジョンは手札からNカードで心カードの「見よう見まねの見切り」を発動。
「見よう見まねの見切り」:自分・相手のターンに1度、N以下のレアリティのカードの発動を無効する。
「やらせるかよ」
ヤラレは「消防手袋&ブーツ」の効果発動。
ヤラレはデッキからNカードで技カードの「消防ホース」を手札に加えた。
「消防ホース」:自分のターン終了まで、相手の心カードの発動を無効にする。
「根性だ、根性!!」
ヤラレは手札からNカードで心カードの「火事場のクソ力」を発動。
「火事場のクソ力」:自分が1回目の攻撃する時、相手のフィールドゾーンのカードを二枚まで破壊する。
「俺のターンは終わりだ」
「私のターン、ダブルサーチドロー」
ジョンは「ダブルサーチドロー」を選択。
サイドデッキからCカードで作戦カードの「ゴールデンタイムのCM」を手札に加える。
「このカードが来れば、このデッキの本領発揮しますよ」
「ゴールデンタイムのCM」:能力の無いCカード の体カード、技カード、心カードを各3回以上を場に出たことがあれば自分は勝利する。
ジョンは「ゴールデンタイムのCM」を発動。
ジョンは手札からCカード で心カードの「防虫線香の真心」を発動し、カードテキストを読み上げた。
「防虫線香の真心」:(能力はありません。能力ではなく宣伝です)蚊や虻などの害虫から身を守る!メーカーが真心こめて作りました。「防虫線香の真心」 野外活動のお供に。
「ドローを増やします」
ジョンは手札からNカードの心カードの「能無しの援軍」を発動。
「能無しの援軍」:通常ドローに加えて、1ターンに1度、能力の無いCカードをデッキから選んで1枚を手札に加える。
手札を1枚、技カードのフィールドゾーンに伏せた。
「ターンエンド」
「俺のターン、サーチドロー」
ヤラレは「サーチドロー」を選択。
デッキからNカードで技カードの「二連撃」を選んで引いた。
「オラオラ、もう1度だ」
「二連撃」を発動。
「それは見切ってるって言ってるですよ」
それに対して、ジョンはフィールドゾーンの「見よう見まねの見切り」を発動。
「同じ手を喰らうかよ」
それに対して、ヤラレは手札から技カードの「消防ホース」を発動。
ジョンの「見よう見まねの見切り」の発動は「消防ホース」によって無効化された。
「もう1度だ、根性!!」
それによって「二連撃」を発動は継続され、続けて「火事場のクソ力」が発動。
「二連撃」で相手の体ゾーンのフィールドゾーンのカードを二枚まで破壊し、さらに「火事場のクソ力」で自分が1回目の攻撃する時、相手のフィールドゾーンのカードを二枚まで破壊する。
ヤラレは「火事場のクソ力」破壊するカードは体カード二枚を選択。
「甘いですよ」
それに対して、ジョンはフィールドゾーンの伏せたカードを発動。
伏せたカードは「変わり身の術」だった。
「変わり身の術」:ターン終了まで、相手のNカードの体カード、技カード、心カードの発動は無効にされる。
ヤラレの「二連撃」を発動と「火事場のクソ力」の発動は「変わり身の術」によって無効化された。
「俺のターンは終わりだ」
「私のターン、サーチドロー」
ジョンは「サーチドロー」を選択。
「私の勝利条件が整った」
デッキからNカードで技カードの「凡庸な交換」を選んで引いた。
「凡庸な交換」:手札・フィールドゾーンのカードを任意の枚数を墓地に送り、任意の枚数分の能力の無いCカードをデッキから選び、場に出て、発動する。
ジョンはフィールドゾーンからNカードの心カードの「能無しの援軍」を発動。
「能無しの援軍」:通常ドローに加えて、1ターンに1度、能力の無いCカードをデッキから選んで1枚、手札に加える。
デッキからCカード で心カードの「(株)柳電気の理念」を手札に加えた。
手札からCカード で心カードの「(株)柳電気の理念」を発動し、カードテキストを読み上げた。「(株)柳電気の理念」:(能力はありません。能力ではなく宣伝です)自分、客、世間、環境の四方良しが(株)柳電気の理念です。主に四方良しの節電できる電化製品を置いてあるので、ご来店をお待ちしております。
「とどめだ!!!」
「凡庸な交換」を発動。
フィールドゾーンの「能無しの援軍」、「国松工務店の鉢巻」、「立川リサイクルショップの鎧」、「如月刃物店の包丁」の4枚を墓地に送り、能力の無いCカードの で心カードの「西野養豚場の気遣い」、能力の無いCカード で技カードの「佐々木鉄工所の製鉄技術」、「渡辺漁業の漁師の勘」、「丸井中華料理店のシェフの舌」の4枚が場に出て、4枚とも発動し、ジョンはカードテキストを読み上げた。
「西野養豚場の気遣い」:(能力はありません。能力ではなく宣伝です)西野養豚場の豚は西野さんの気遣いが行き届いていて、近隣のスーパーに肉をおろすとおいしいと評判です。是非ともご賞味ください。
「佐々木鉄工所の製鉄技術」:(能力はありません。能力ではなく宣伝です) 佐々木鉄工所の製鉄技術は町一番で、他の製鉄所に引けを取らないです。製鉄技術は鉄道や自動車などに使われているので、興味ある方はお電話を。
「渡辺漁業の漁師の勘」:(能力はありません。能力ではなく宣伝です)長年、大海原で鍛えた漁師の勘で探し当てたおいしい魚を食卓に提供しております。お魚に興味ある方はお電話を。
「丸井中華料理店のシェフの舌」:(能力はありません。能力ではなく宣伝です)中国全土を修行し、中華料理の真髄を極めたシェフの絶品料理の数々。北京料理が特におススメです。団体、個人のテイクアウトを随時承っております。
今、Cカード の体カード、技カード、心カードを各3回以上を場に出たことがあったので、ジョンは「ゴールデンタイムのCM」を発動。
「ゴールデンタイムのCM」:能力の無いCカード の体カード、技カード、心カードを各3回以上を場に出たことがあれば自分は勝利する。
実況席で座っていたラメ入りの派手なタキシードを着ていた男が興奮気味に喋る。
「多少は苦戦しましたが、下馬評通りにジョン・ドゥの勝利です。圧倒的な勝利です。この男に勝てる奴は居るのか?!ジョン・ドゥの時代の幕開けか!!」
屈強な男が言う。
「こんなことは(初心者に勝つことは)古参の『デスゲームプレイヤー』なら当然の事ですよ。
対戦相手が弱いだけ。もっと、白熱した見ごたえのある殺し合いが見たかったですね」
「そうですね。今後に期待しましょう。以上、今回の『デスゲーム』は実況のミノル・キョウと解説
で元『デスゲームプレイヤー』のカイ・セツの二人でお送りしました」
「勝利者インタビューです。ジョン・ドゥ選手、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「対戦選手のヤラレは弱かったですか?」
「彼なりに頑張った方じゃないですかね」
「そうですか。ヤラレ選手は負けたので、多分死ぬかも知れませんけど。
でも、恒例の(アレ)をやるんですよね。観客がガッカリして、ブーイングしますよ」
「それが私の信念ですから。早く(アレ)をしたいので敗者の処理をして下さい」
「わかりました。ジョン・ドゥ選手、賞金100万円とヤラレ選手のデッキをあなたに進呈します。
早速、敗者の処理を行います」
「ヤラレ選手、敗者であるあなたはここですぐ死ぬのと死ぬことを免除するお金、100万円を
(デスゲーム運営委員会)に寄付するという二つの選択があります。どちらを選びますか?」
「今回の勝負の為に有り金全部をデッキに使った。さっさと殺せ」
「ちょっといいですか?」
「恒例の(アレ)ですか?」
「はい」
「良かったですねえ。恒例の(アレ)をあなたにすると言ってるんですよ、ヤラレ選手。
要はジョン・ドゥ選手があなたの死ぬことを免除するお金、100万円を出してくれると
言ってますがどうしますか?因みに、断った場合の死に方はモンスターで実演しますので
見ていて下さい」
コロッセオに1匹のゴブリンが連れて来られ、ゴブリンの全身に重油を浴びせて、火を着ける。
すると、ゴブリンは火達磨になり、悶え苦しんで消し墨になった。
「ということですけど。ヤラレ選手、断りますか?」
「わ、わかった。ジョン・ドゥの申し入れを受け入れる」
「ジョン・ドゥ選手に拍手ーーーー」
しかし、誰1人拍手はしなかった。勝利者インタビューの間に流れた観客の「死ね」コールは
ブーイングに変わった。
「だから、ジョン・ドゥ選手の勝利者インタビューは嫌なんだよな」
「以上、勝利者インタビューでした!!!!!」