6.会議の結論
国王は、青い目を見開いた。
「話し合い…」
外務大臣が呆然と呟いた。
「いや、しかし」と、内務大臣が驚きながら不安を口にする。「あちらは兵を出せと言っているのだぞ?」
シドウェルは冷静に内務大臣を見た。
「ですが、手段は問わないとも言っています。当事者でもないエランドルクが、血を流してまで総督府を取り返す必要は有りません」
内務大臣は反論しなかった。
国王は、会議の結論が出たと見なし、外務大臣を見た。
「返書の中で、後で文句を言われないように、あらかじめ念押ししておこう」
「はい」
シドウェルはソファから立ち上がって、国王に方針を伝える。
「反乱が起きる理由は限られています。オリビスと話をし、望みを聞き出し、総督府に繋ぎます」
「仲立ちの役割を果たすということか」
「はい。総督は失敗を取り返す為、事態を早期に解決したいと考えている筈です。妥協させることは可能と考えます。説得には時間が掛かるでしょうが、戦闘状態で長引くよりずっとマシです」
「うん」
国王は頷いた。顔に血の気が戻っていた。
シドウェルは少し表情を和らげると、外務大臣を見た。
「地均しは私がします。ある程度の段階まで来たら、外務大臣にも出て来て頂けますか?」
「勿論」
「私も」と、国王が入って来る。「出来ることがあれば、何でも言ってくれ」
シドウェルは微笑んだ。
「では、そういう時にはお願いします」
「うん」
シドウェルはニクロスを見る。
「ニクロス、オリビスには私と部下の4人で行く。ひと月分の食糧を用意してもらえるか?明日の早朝には出発する」
「分かりました。それで足りますか?」
「足りなければ現地で調達する」
「分かりました」ニクロスはやっと安堵の表情を見せた。
シドウェルは国王を見た。
「上手くいった時だけ、全ては皇帝陛下のお導き、と言い触らしましょう。あちらの顔が立てば、万事丸く収まります」
「分かった」
と言って、国王は満足げに微笑んだ。
「宜しいのですか?」内務大臣が言った。丸投げしてきた皇帝に手柄を全て差し出して良いのか、と心配しているのだ。
国王は分かっているのか、いないのか、いともあっさり
「うん」
と、穏やかに答えた。