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共依存  作者: ラリックマ
九十九由貴
6/18

理不尽ばっかり

 あれは忘れもしない、中学二年生の夏休みに入る直前のこと。ある一人の男子が、私に告白してきたのだ。

 あまり面識のない男子に告白された私は、いつものように「ごめんなさい」の言葉を掛けようかと思っていた。


 けれど、当時は周りの友達もちょいちょい彼氏なんかを作り始めていて、割とうちの学校ではカップルが多かった。

 それに、告白してきた男子はサッカー部のエースとかなんとかで、そこそこスペックも高く、人気者でモテていた。

 当時の私の心境としては、別に付き合うぐらい普通だし、この人と付き合ったら友達に自慢できるかも。なんていう、とてつもなく浅はかで浅慮な考えをして、告白を受諾した。


 けど、この告白をきっかけに、私の人生の歯車は狂い出した。


 後々わかったことなんだけど、実はこの男子、二股をかけてました。

 どうやら私よりも先に付き合っていた女子がいたにも関わらず、この男子は私に告白してきたらしい。


 そのことを知った途端、その男子とお父さんのことが重なって一気に冷めたし、気持ち悪く思えてすぐに振った。

 けど、この話はそう単純に終わりはしなかった。

 この男子と先に付き合っていた女子生徒の雅さんという人が、何故だか私が恋人を奪ったと勘違いをして、一気に根も葉もない噂をばら撒き始めたのだ。


 当然私は否定するけど、雅さんの怒りは収まらず、最初は仲間内で私の悪口を言い合うだけだったのに、次第にいじめへと発展していった。 


 おかしくない? 

 どうして被害者である私に怒りの矛先が向けられるの?  

 怒るなら私に告白してきた、あの軽薄男の方でしょ! 


 でも、そんなことをいくら言っても聞く耳を持たれず、私に対する嫌がらせは日々エスカレートしていった。

 最初は陰口だったものが、次第に誰でも聞こえる声量の悪口となり、その次は上履きを隠したり、廊下でわざとぶつかってきたりと、悪質なものに移り変わった。


 でも、そんな辛い現状でも、笑って耐えてればいつかは治ると思ってた。

 けど、世の中そんなに甘くはなかった。私に対する嫌がらせ行為は、私が中学校を卒業する日まで続いた。

 ノイローゼになる程聞かされた私への誹謗中傷も、心がズタズタになる程見させられた教科書やノートの落書きも、体にあざができることもあった暴力も、卒業まで終わることはなかった。


 私が中学校を卒業するころには、すっかり心身ともに疲弊しきっており、他人と関わるのが心底嫌になっていた。

 私が悪いわけじゃないのにいじめてくる雅さんも、遠くから見て見ぬ振りをする元友達も、手を差し伸べてくれない教師たちも、みんな死んじゃえって、ずっと思ってた。

 

 結局高校生になっても対人恐怖症が治ることはなくて、高校二年生になった今でも、私の周りには友達と呼べる人間がいない。ずっと孤独で、なんのために生きてるのかわからなくなる。


 高校ではいじめや嫌がらせを受けることはないけど、同級生の笑い声や喋り声を聞くと、私に対する悪口を言われてるんじゃないかと思い込んでしまう。周りにいる人間全員が敵なんじゃないかと錯覚して、耳から入ってくる雑音があの頃の記憶をフラッシュバックさせる。

 家に帰ると母親から酷い言葉を浴びせられ、学校に行くと嫌な記憶を思い出す。私の人生って一体なんなんだろう。ずっとこのまま、あの頃の記憶に苛まれ続けて、一生苦しむ人生なのかな。


 なんで私、こんな人生を続けてるんだろう?


 私がそんな疑問を抱いたのは、ちょうど高校二年生の、最初の中間テストが終わったぐらいの頃。

 楽しいこともなく、ただただ辛いだけの毎日を送る日々。こんな人生だったら、もう終わらせてしまった方がいいんじゃないかな。

 中学生までは折れなかった柱が、何故かこの時いきなり折れてしまった。別に生きててもいいことないし、死んだ方がマシ。この考えに至ってから私が行動に移すまで、そう時間はかからなかった……。


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