22話「初めての魔法で攻撃からの~」
夕方から出発したのは夜に紛れての移動とのこともあり、問題無いことをリリア姫に伝えたことでこの時間になった。こちらの装備で街道を照らさなくとも暗視機能が付いているから、迷子になることなく進行することが出来るからね。
「馬の休憩は必要なので、状況をみて休憩します。」
「構わないわ。お任せします。」
リリア姫に承諾し、馬の休憩を入れても次の日の夕刻に奪還作戦の予定場所に到着することができた。実際の奪還作戦は翌日の早朝に行うとの事でした。明け方ならゾンビとかスケルトンとかが弱体化するので定石とのことでした。
「魔王国の防衛規模は確認できますか?」
「以前にお伝えした通りの数から増員されたとの報告は来ていないわ。」
事前確認で敵の数は300体程の軍隊で、こちらは正規軍175名+揺動部隊19名+勇者1名となっている。数で負けているので、揺動でどれだけの数をトレインできるのかが今回のネックになると思われる。本来の作戦では正規軍+勇者のみで正面からの戦闘だったとの事でどれだけ無謀な作戦なのかがうかがえる。本当に今回参加しなかったら、下手したら全滅の可能性もあったと考えられるが、宰相のごり押しで決定していたとの事でした。あまりの無謀なことでリリア姫は周辺の貴族に声を掛けていたが、宰相に邪魔をされて、いい返事はもらえていなかった。
「キグリの下手な企みを抜けれなかったのが悔しいわ。」
「相手は魔道具を使用していたので致し方ない部分もあると思います。」
「それでも悔しいわ…。」
色々話をしながらで移動中しており、こちらの移動は6人乗り馬車が1台で10人乗りの荷馬車が1台で移動している。馬車には勿論リリア姫と九条さん私とソフィアで御者台にフローラとソフィで移動した。荷馬車はグレンが御者台で操作している。馬車のサスペンションは当然振動を抑える仕組みを採用しているがこちらも隠ぺい済みである。実際にはステルス機能で上陸艦と機動戦車2両が追尾してきている。物資はリリア姫たちが持っているマジックポーチに入っていることで、馬に負担が少ない状態で移動することができたのが大きく。予定場所に早く着くことができた。
「野営地を設置します。食事は保存食となります。」
「問題ないわ。」
夜通しでの移動で疲れていると思うが我慢してもらうこととした。ここから正規軍の場所を確認することが出来るが、そこはそれドローンがあるので、正確な情報がリアルタイムで表示されておりますよ。そういえば道中の移動時にも魔物に遭遇しましたが、交代で護衛しているメンバーがボウガンで瞬殺しておりました。ボウガンといっても隠ぺいされたアサルトライフルですが何か?野営地を準備しているときに馬車が寝台になっていくのをリリア姫たちは驚いていた。夕食は簡易的なクッキーのような保存食を全員に配り火は使わないことでこちらは済ませたが、正規軍側の野営地では火を使っており魔王軍に感知されていた。
「阿保ですね。今更忠告にも行けないですけど、どうしますか?」
「どうしようもないわ。あちらに勇者がいなくて良かったわ。兵士には申し訳ないですけど…。」
『…。状況によっては手助けが必要だな。』
私は一人用のテントで過ごすことにした。別に寂しくないよ。が夜半過ぎにソフィアが着て王国軍の野営地でゾンビやスケルトンの襲撃を受けていることの報告であった。あれだけ火を使っていればそうなることぐらいわかるよね普通。なので上陸艦の上空から、それとなく援護しできる限りと被害を押さえるように指示を出しておいた。
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朝起きたらイベントは流石にありませんでした。昨晩の正規軍の被害を確認したところ死者は出ておらず、怪我人は多数出ていたが作戦に問題無いことが解ったが、早朝での奪還作戦が水の泡であった。後早朝にリリア姫が馬車に感動し喜んでおり是非譲ってほしいと言われたが丁寧にお断りをした。
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揺動作戦が開始されて全員騎乗し以前決めていた鋒矢陣形での移動を開始した。こちらは街にある程度近づきなるべく多くの魔王軍のヘイトを向けさせる必要がありかなりの前線まで突っ込む必要がある。街の門前には大型の魔物もおり目視確認できるだけでトロールが10体にトレントも10体いる上空にはワイバーンが8匹飛んでおりハーピーは20羽くらい確認できた。
「まずは門前まで突っ込むぞ!」
「「「「「了解!!」」」」」
街に近づくにつれ、まず最初にウルフが襲ってきたが前衛のソフィア、レイシア、ケイトがボウガンに見えるアサルトライフルで仕留めていた。私は真ん中ので大型種への長距離攻撃を開始した。
ピッ ピッ ピッ ピー バシュッ
ショートスピアに見えるアサルトライフルでゴーグルサイトの照準でトロールの頭を狙い撃ちし見事眉間に命中したが、流石大型種だけあって倒れることなくこちらに向かって岩石を投げつけてきた。
ドッシューン ドッシューン
ドガッ!!
後方のフローラとグレンがロングスピアに見える重レーザーで岩石を破壊して進路が塞がれること無く移動できた。破壊された岩石の破片で周りにいた魔物も巻沿いでつぶれていた。後方部隊はトロールが岩石を持ち上げた瞬間を利用し腕を狙って岩石を利用した副次効果で敵を倒している。
タッ タッ タッ タッ
バタッ バタッバタッバタ
上空からはハーピーが急降下で攻撃してきたが、エディスとシャノンがボウガンで撃ち落としている。自分のゴーグルに次のターゲットを確認したところ上空の大型種のワイバーンを撃ち落とす指示が入った。
ピッ ピッ ピッ ピー バシュッ
ボン!
カウントされたタイミグでトリガーを引いたところステルス上陸艦からの同時攻撃でワイバーンは頭が吹き飛んでいた。上陸艦からの攻撃は違和感なくできていた。おそらく機動戦車の援護も違和感なく行動していると思われる。そんな光景を見ていたリリア姫が隣でつぶやいていた。
「本当に商団なの?正規軍以上の戦闘力だわ…。信じられない光景…。」
その気持ち解ります。艦隊戦メインのゲームだったのがFPS状態なので、私も困惑しております。ただしゴーグル越しの光景なので現実感が薄れて見えているから対応できているのだと思う。
「目標ポイントに到着し、迂回を開始します。」
「「「「「了解!!」」」」」
敵陣の深いところまで来たのか前衛も武器を持ち替えての対応をしており、ショットガンにて接敵されない距離を保ちながらの次の移動ポイントに迂回する指示が入った。
ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ
ドバーーーン!! ドバーーーン!!
「上級魔法を放ったの?凄い!!」
リリア姫が驚いていたが、自重しません。機動戦車からの援護でナパーム弾が敵陣に打ち込まれていた。木のモンスタートレントは10体程いたのだけど半数が炎で倒されていた。揺動部隊はその隙をついて迂回を開始した。
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迂回している間ターゲット指示が無かったので、その間に王国の正規軍の状況をゴーグルモニターで確認した。こちらが現在引き付けている敵の割合では60%で残り40%と対面戦闘をしているが、押しきれていなく被害が相当出ている。上空の魔物に手こずっておりワイバーンが2匹と飛び回っている。今もワイバーンの急降下から口に銜えられた弓兵が上空から叩き落されていた。魔法での反撃も行っているがワイバーンに当たっても物ともしていない。こちらも引き連れている魔物を少しでも削って再度突っ込む必要があると判断した。
「ソフィア、ある程度引き連れて距離が離れたら再度突っ込むぞ!」
「団長、危険です。予定通り正規軍に合流してから協力戦闘を薦めます。」
予定では合流しリリア姫たちのキグリ捕縛の準備に回す作戦だったが、現状では奪還が成功しても街の防衛が不可能になる被害が出る可能性があった。
「いや、それでは正規軍が奪還後の防衛に手が回らなくなる。」
「…承知しました。再突入のタイミングはこちらで判断します。」
「宜しく頼む。」
リリア姫たちにも再突入する旨を伝えて了承をもらった。再突入先は正規軍と戦闘している敵の横ずらを通り抜けるコースとなった。モニター越しにトレインしている敵の光点がすごい勢いで消灯しているが、後衛の人たち前を向きながらでも後ろに銃口を向けて攻撃しているが…。カッコいい!でも私がやったら味方に当ててしまいそうなので真似しません。ソフィアから再突入の合図がきた。
「再突入を開始します。準備してください。」
「「「「「了解!!」」」」」
先頭のケイトが大きく迂回し反転進路を取り出したのでこちらも追随する形に馬を操作した。前方に見える正規軍は何とか戦線を維持しているがじりじりと交代している。キグリが指揮しているが自分の周りに防御魔法を張っているだけで全体へのカバーをしていないのがよく解る。そろそろ逃げる準備が伺えた。更にこちらが対面している魔物の群れに突入するのが解ったのに、魔法師団と弓兵に指示しあわよくばのフレンドリーファイヤってのを狙いだしてきた。ソフィアもそれに気づき警告を発した。
「友軍からの攻撃に巻き込まれないよう各自シールド展開!!」
「「「「「了解!!」」」」」
リリア姫たちも防御魔法を展開し突入に備えていた。九条さんはソフィさんから借りた予備の装備で参加したが、乗馬が苦手らしく付いてくるのに必死でソフィさんに守られていた。私にも先ほどと同じように大型種の魔物へのターゲット指示が来たので攻撃を開始したが、前方のターゲットがやたらと強そうだ。赤い肌をしたオーガといわれる種族らしいが、どうやらこいつが防衛を任された大将らしい。カウント開始されトリガーを引いたがオーガはこちらの攻撃を躱した。
『外しただと!』
同時に機動戦車の攻撃もあったがそちらも躱されていた。そのまま移動しオーガの横をすり抜けて行くときに私の体に大きな振動が突然起こって落馬してしまった。その瞬間を見ていたソフィアから悲鳴なような叫び声があがった。
ドカッ
「艦長!」
後続のシャノンからの手が伸びてきたので掴まろうと思い手を伸ばしたが、腕に衝撃が走り掴むことができなかった。ここで全員が止まるのは不味いと判断し、
「俺に構わず行け!」
艦長指示権限を使用し命令したことにより部隊はそのまま走り去っていくのであった。残された私は行き投げられた槍が心臓を貫通し息絶えた馬を確認し、状況整理したところ、オーガの一撃で馬を狙われ手を取ろうとしたときにこちらも投げられた斧でビットバリアを貫通し腕が弾かれたことが確認できた。バリアが無ければ腕が無くなっていたことにゾッとする。
「やってくれたな!」
「グワァーーーーーーー!」
相手はやる気満々です。そりゃそうですね。馬の側に落としてしまったカイトシールドを拾いバイブレーションソードを抜いたところ色んな方向から攻撃が開始された。回避と反撃はモニターに映る指示をトレースすることで、スケルトンナイトとゴブリンは仕留めることができたが、オークは流石に分厚い油で致命的な傷を負わせることができなかった。その間にオーガに接近され上段からの大きな斧で攻撃されバイブレーションソードで受け流そうとしたらソードを破壊されてしまった。その剣先が届きそうになった時お腹から湧き上がる力が発生し、その力をオーガに向かって放つのだった。放たれた力はオーガの後ろにいた魔物を数体倒して破裂し、更に破裂した力に巻き込まれて魔物を多数倒せてしまった。
「何だ?この力は?」
疑問に思う間もなく頭に何か響くものがあったが、モニターに何も映っていなかったので、特にその時は気にすることなく状況を立て直す動き出した。そんなとき後ろから声を掛けられたのだった。
「旦那様、面白い状況になっていますね。手助けしましょうか?」
ニコニコ笑顔のラサであった。どうしてここにと思う前に彼女は魔王なのだから戦闘に引き寄せられる性質があるのか?若しくはオーガが持っている怪しげな斧が原因かもしれないね。とりあえず後ろを守っていただきましょうかね。
「どうしてとは聞かないが後ろをお願いして宜しいかな?」
「良いわよ~後でたっぷりお礼を頂きますからね。」
「おっお手柔らかに…。」
そんな2人の会話が気に入らなかったのか、オーガはすごい勢いでこちらに突っ込んできた。折れてしまったバイブレーションソードを鞘に納めてビームブレードを展開した。オーガはその武器を見て一瞬止まったが、それよりも倒す相手が増えたことに焦りを感じたのか荒い攻撃をしてきた。
グワーッ
オーガの斜め上からの振り下ろしをトレースに従いサイドステップでかわし、ビームブレードをオーガの体に付き込む形で突っ込んでいった。オーガは斧で攻撃を防ごうとしたが、そこはパワードアーマーで強化されたビームブレードを防ぎ切れることなく斧毎オーガの体を貫通するのであった。
ジュッ ジッ ジッ
貫通した状態から頭に向かって斬り上げた。オーガも斧で防げれなかったことで斧を手放し右腕の腕力だけで攻撃をしてきた。左腕に装着していたカイトシールドでガードをしたが、流石に大将だけあって威力は防ぎきれず吹き飛ばされてしまった。
「ぐはっ!」
オーガの胸から左肩までを切り裂くことができたがまだ向こうは動けるのか、手放した斧を拾い、転がっている私に止めとばかりジャンプして襲い掛かて来た。こちらはモニターが吹き飛ばされた衝撃でノイズが走っているが、トレース機能は生きておりカイトシールドの構えとビームブレードの角度が表示されてそれに従い動いたのであった。
ドンッ ガキン ジュッ ジッ ジッ
トレースの指示通りに動けて、オーガの一撃はカイトシールドで防ぐことに成功したが元の形を維持していない。ビームブレードはオーガの顔面に突き刺さっておりどうやらオーガに止めを刺したのであった。
「やるではないか。旦那様。」
ラサは後ろを守り切りこちらが倒したオーガが私に圧し掛かる前に蹴り飛ばして押し潰されないように処置してくれた。そんな中また頭に響き音が聞こえた気がしてモニターを確認したところ…。モニター映像ではなく直接目に見える文字が目に入ってきた。
"LVが上がりました。"、"条件を満たしました。"、"現在LV60"
えっ?LVアップしたの?なんですと~!と驚いていて起き上がり邪魔になった原型をとどめていないカイトシールドを外してみたところ、例の家紋が塗装のはがれた下から確認することができた。"♂、♀♀♀♀♀♀♀♀♀"…。
「何じゃ!これわぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
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主人公のファンタジー世界にようこそも書きたかったので、色濃くしていきました。魔法は使えるがやっぱりLVがあった方がいいと思ったのでどこで入れるか悩んだ結果ボス的な敵を倒すタイミングにしてみました。宜しくお願いします。
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