18話「帝国の目論みが崩れてからの~」
宰相の部屋にて暗殺部隊が全滅した知らせを受けていた。
「何だと、全滅しただと…。」
「はい、奴属首輪の反応が全て無くなりました。」
「相手に情報が漏れた可能性は?」
「情報を漏らした状態で生きてはいないですね。尋問にあった形跡も無いのでおそらく襲撃中で死亡したと思われます。」
「相手の力量を誤ったと考えられるが、それにしても暗殺もできない役立たずとは!」
本人の計画の甘さが招いたことは棚に上げて、暗殺部隊の無能を卑下するあたりが逆に本人の無能さを現しているのにと報告をしている者は思うのであった。このままだと残り全員の部隊を無駄に送り込んでしまう可能性があり、手を引くことを提案と思っていたところ、
「勇者を使って村を襲わせその隙に"光の剣"を奪うしかないか…。」
「それは他の貴族も黙ってはいないのでは?」
「フンッ、私が帝国に行けば理由などいくらでもでっち上げられる。」
「はぁ…。」
本人は帝国からの安易な誘いに乗りスパイとしての行動をしていたが、目先のことに目が眩んでいる。貴族をまるめ込んで勇者召喚までは計画通りであったが、リリア姫の暗殺もままならなくなり、その矢先に"光の剣"を見てしまったことにより路線がずれていることにも気が付いていない。
「勇者の成長具合はどうだ。」
「現在、ダンジョンで急成長をしており人間での成長限界に間もなく到達すると思われます。」
「さすがに異世界人の成長は早いな、魔剣での浸食も進んでおり順調ではないか。」
「そうですね。限界成長を迎えるころには浸食も終わっていると思います。」
フフッ ハハハハハハハッ
「計画通りで、これで帝国での地位も安泰だな!」
帝国に来たらトカゲの尻尾として殺されることも知らずに、無謀な計画に乗ってしまったこととは気が付くことなく、皇帝の手のひらで踊らされている宰相であった。
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リリア姫の執務室にてソフィア姫はソフィからの報告を聞いていた。
「トーシオー殿の村が暗殺部隊に襲撃されましたが、返討にあったようです。」
「そう…。無謀な手段に出てきたわね。」
「相手の力量を踏まえていない行動と思われます。」
「まぁ、予想できる行動でしたわ。」
リリア姫も"光の剣"の件で遅からずこうなることを予想していたが、行動が早いことに宰相の裏切り行動も時間の問題と考察するのであった。
「それにしても、彼はこのこの状態になることを踏まえて"光の剣"を出したのでしょう。こちらに目先が向かないように考慮して頂いたことには感謝ですわ。」
「そうですね。先々のことを考えての行動で、思慮深い考えの持ち主です。」
「こちらも、うかうかしていたら足元をすくわれるわね。」
「全くです。」
端的な行動をしていたが、リリア姫たちの株が知らず知らずに上がっていることに本人は気が付いていないのであった。
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拠点では、大広間から執務室に移動しドレス姿のソフィアと2人掛けのソファーで横並びで、部屋に隠ぺいされていた大画面モニターで今後の行動を打ち合わせしていた。モニターは普段風景画が描かれているが、今は情報端末とリンクしており乗員情報や拠点活動報告等が映し出されていた。
「ところで、ソフィアさん密着し過ぎでは?」
「いえ、この距離でないと伝わらないことがありますので、最適距離です。」
「わかりました…。」
隣に座っているソフィアさんから甘い香りが動くたびにしているのと、こちらを向くときに唇の動きがとっても気になって、報告内容を聞いていない時がある。現状の母艦スパルビエロも問題はなく、拠点ではフリゲート艦の整備も可能な状態に建築が進んでいることは解った。拠点に縫製工場を建てているらしい…?服かな?大きさ的には1軒家程度なので問題ないでしょう。また大陸で販売されているポーション類を分析しているとの事で、効果を調査するのに暗殺部隊っ子たちが役立つらしい。えっポーション作っているの?また現在ミスリルの分析も進めておりファンタジー鋼材なので難航しているとの事です。その他機動戦車の格納庫も建てられており整備もそこでできるそうです。段々と村ではなく町になってきているのだけど、この大陸の基準では敷地の周りを柵から壁になった時に町になるらしい…。人口とか関係ないのかな?また現状外堀を壁にしているとの事、舗装も同時に進めているので町を飛び越えて街になる可能性がでてきている。
「ところで、リリア姫から連絡はまだ来ていないのかな?」
「そうですね。準備でき次第こちらに赴くとの事でしたので、まだ未定です。」
「まぁ、基本的に魔王国に奪われた街を奪還する事らしいけど、詳しくはこちらに来てからの説明だったからね。」
「そうですね。現状の部隊で対応は可能ですが、内容によってはステルスにて上陸艦を使用するかもしれないので、準備は進めております。」
「そこまでの戦闘になるのかね~」
「内容次第ですね。」
実際、リリア姫からは規模的なこととかは確認していない。こちらの役割的には揺動がメインとなるので、敵を多く引き付けるが目的ともいえる。あまり殲滅してもラサが悲しむ可能性があるので、程々にしなくてはならないからね。
「艦長、城の動きとして近々勇者がこちらに来るそうです。」
「訪問ですか?」
「目的としは襲撃との事ですが…。」
「あほちゃう?」
宰相もなりふり構わず行動するようになってきているみたいだけど、暗殺部隊が全滅したから、次は勇者だ!って普通考えないよね?そもそも表の目的は、領地奪還からの遠征でしょう?あわよくば領土拡大、隣国へのアピールが目的であって、宰相はおそらく傀儡にした勇者をつかって帝国に寝返るつもりらしいが、ほぼバレバレなので重要な情報は渡されていないだろうし、王国と魔王国のいざこざに紛れての逃亡計画だと思うが何やってるんだろうね~。
「で、勇者こっち向かっているの?」
「明後日の夕刻には到着すると思われます。」
テトナ辺境都市から2日必要な道のりを随分お急ぎで向かってくるものだ。聞いたところ馬車よりも走った方が早との事で…。洗脳って怖いね~自我は多少残っているとの事なので何とかしてあげたいけど、対応策は見つかってないとの事です。同郷?のよしみで助けたいけどね。美少女だし…。ゲフン。一瞬ソフィアさんが睨んできた!何故?
「よし!現状の報告と確認は済んだので、お風呂でも行きますか~」
「ご一緒します。」
「へっご一緒なの?」
「何か問題がありましたか?」
「全くもって問題ありません!」
ということで、温泉でも行こうと思ったのだけど、寝室にお風呂が設置されているのでそちらで入ってみるのも良いかとソフィアと一緒に入るのだけど、何でガラス張りにしたのか?お風呂もジャグジーついている。先に入って頭を洗っていたら、背中に柔らかい感覚があり…。ソフィアさんに全部洗ってもらいました。細かい描写は規制さんが大変なので省きましたが、とっても良かったです。先に着替えて冷蔵庫のドリンクを覗いたら怪しげなマークの元気になるドリンクでしたのでお茶にしました。ふとお風呂を目線が行きソフィアの着替えているタイミングで…。ガラス張り最高!って思っていたら目が合って中から何かボタン押したらスモークで見えなくなってしまいました。普段積極的なのにこういうところが、男心を擽るポイントなのでしょう。着替え終わったソフィアに抱き着き熱いキスをしてしまいました。
「艦長、ずいぶん慣れてきましたね。」
「君たちがそうしたんだろう。」
フフッ
ソフィアに軽くあしらわれても気分が良く夕食に向かうのでした。夕食後の装備確認で傭兵に見える装備との事で、ケイトにモデルになってもらったのだけど、彼女お胸様が"E"カップなのとアンダーウエア―姿なのですごくドキドキしている。通常のボディースーツを装着後蒸着システムを背中にセットして、パワードアーマー(軽量級)をこちらの大陸に合わせたプレートアーマー仕様に隠ぺいしている。フルフェイスにできるので遠目では性別が…。女性用なのでお胸様の膨らみが…ゲフン。武器はハンドガンとバイブレーションソードで、バイブレーションナイフも装備している。後ボーガンに見立てたアサルトライフルと、こちらに武器でのショートボウを装備するのだけど弓って使えるのかな?今度練習してみよう。佐官以上のパワードアーマーはカラフルで各々の好みの色にしている。私のは淵に金のラインが入っており、とてもカッコいい!武器にビームブレードがぶら下がっている他、ちょっとゴッツイショートスピアに見立てたアサルトライフルが装備される。本来の装備に比べては軽量級だけど十分な重量があるのだが、半重力装置も組み込まれておりちょっと重い鎧ですで通りそうだ。
「ここまでの装備で挑むのだけど相手が可愛そうに思えるね。」
「実際は揺動ですので、現地の武装での対応になると思いますので、問題無いです。」
まぁ私は基本見ているだけになりそうだからね。前線でガシガシ暴れること無いから冷暖房完備のパワードアーマーの中で寝ていそうです。弓は撃ってみたいけどね。味方に当たったらとんでもないから、練習してからにしましょう。
「ところで移動はどうするの?」
「馬を用意します。現在準備も進んでおり騎馬の装備も揃えます。」
騎馬用の装備はスクリーンで確認したのだけど…。フィールドバリア装置に近接拡散ビーム…。長距離重レーザー砲…。いらんでしょ!フィールドバリアはビットバリアとレーザー砲は狙撃銃と拡散ビームはショットガンに変更!ソフィアをみたら問題ありませんとの事それでも十分過剰装備になるのだけど、フィールドバリアは部隊に数名装備させるそうです。
「ところで盾は必要ないのかな?」
「…。失念しておりました。」
おっとソフィアが珍しく忘れていることがあるとは、普段肉弾戦の作戦なんて考えないからね。騎士と言えばカイトシールドだよね!見た目が傭兵でなく正規軍になりつつあるけど、カッコいいから良しとしよう。
「こちらのデザインで宜しいでしょうか?」
「…。何で?」
一般的なカイトシールドは確かに家紋が付いている場合もあるけど、何でうちの家紋は「♂、♀♀♀♀♀♀♀」がくっ付いた家紋なの?しかも「♂」の周りに「♀」が一杯に描かれている。
「却下します。」
「問題ありません。」
「いや~問題あるよ~家紋なしでお願いします。」
「…。」
しょうがないなぁ~って目で見ないでください。普通が一番ですよ。普通が…。結果鎧に合わせた家紋なしの普通のカイトシールドとなりました。
「実際の隊列や動きは、情報端末でのトレースで問題無いかな?」
「そうですね。馬を使っておりますので若干の誤差は生じると思いますが、概ね問題無いと思われます。」
基本は鋒矢陣形での移動となり要は矢印で移動することですね。真ん中に私がいて、それを包囲しながら移動するとの事です。一騎当千なのでどんな陣形でも対応可能ですけどね。部隊は情報が入り次第編成するとの事でした。さて明後日の勇者訪問に向けての準備でもしておきましょう。
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徐々に戦闘する準備を整えてきたので、戦闘シーンをどう描くか勉強しておきます。状況が解りやすいように書きたいですが、日々勉強です。表現不足なことありましたら連絡下さい。宜しくお願いします。
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