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俺の物語には主人公だけがいない  作者: モコ
第三章 日常時々非日常
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唯志からの指示

唯志からの連絡があったのは火曜日だった。


[家庭裁判所に突撃しよう。明後日辺りどうかな?]


渡りに船だった。

ちょうど予定がなかったし、余計な誘いも来ていた。

断る口実が出来たことも嬉しいし、唯志から連絡が来たのも嬉しかった。


光は連絡を貰ってすぐに返事をした。


[私は大丈夫。平日だけど、唯志君大丈夫かな?]

冷静に考えたら明後日は木曜日。

唯志は『普通のサラリーマン』だと言っている。

仕事じゃないんだろうか。


[休み取るから気にしなくて良いよ。有休腐ってるし。]


多分気にしない様に言ってくれているんだろう。

そもそもサラリーマンが有休を使うのは結構神経を使うと聞いたことがある。

(言っていたのは拓哉だが。)

上司や周りなど、色んな目があるから使いづらいと。


だが唯志と行動をすることは安心できるので嬉しかった。

気にしなくて良いと言ってくれているので、こちらも精一杯気にしない様にしよう。


--それに唯志に相談したいこともあるし。


[良かった。じゃあよろしくお願いします。それと、少し相談したいことがあるんだけど、当日話だけでも聞いてくれないかな?]


相談したいことは『もちろん』宮田のことだった。

これ以上唯志に迷惑はかけたくなかった。

だけど自分でもどうすることも出来ない。

苦渋の選択だった。


唯志に相談すれば、莉緒にも伝わるだろう。

現状考え得る一番信頼できる組み合わせだ。

この二人には足を向けて眠れないな。


--拓哉に相談することも考えた。

だが、結局それは止めることにした。

要らぬ心配と不安を与えるだろうし、傷つけることになるかもしれない。

その上『解決しないかもしれない』。

無駄・・・とまでは言わないが、一番素直に終わりそうな形を選んだ。

唯志に更に負担をかけることになるのは心苦しいことではあるが。


[良いけど、明後日は莉緒はいないぞ?それでも良いなら。]

どうやら明後日は莉緒抜きで唯志と二人行動になる様だ。


[莉緒ちゃんにも話したいけど・・・とりあえず唯志君だけでも聞いてくれて、莉緒ちゃんにも話してくれれば良いよー。]

[OK。了解した。じゃあ当日は--]


唯志から当日の待ち合わせ時間、場所などが告げられ、光も了承した。

何か必要なものがあるのかと思ったが、唯志の方で用意してあるから問題ないとのこと。

ただ、先日御子たちと相談した光の『設定』だけは再確認しておくように念押しされた。


御子たちと相談して決定した光の設定は、その後細かくまとめられて唯志からメールで資料が配られた。

主に光と西条家はよく読んでおくようにと。

確かにこの部分に綻びが出たら後々面倒そうだ。


唯志からの指示をしっかりと覚え、早速とばかりに光は指示に従って設定を見直していた。

明後日は唯志と二人で大阪に行く・・・


--あ。

これってデート?

いやいや、違うよね。

私の戸籍の為だし、仕事みたいなもんだから。

いや、ボランティアか。

そもそも唯志君には莉緒ちゃんもいるんだから。

私は何を考えているんだろうか。


光は自分自身の考えをすぐに消去して、明後日に備えるべく資料に目を落とした。


----


唯志は仕事をしながら光に連絡を入れていた。


--相談したいこと?

考えられるパターンは色々あるが・・・

朗報なら良いんだが、雰囲気的にあまり良さそうな話じゃないな。

わざわざ外で俺と莉緒にって事は、吉田は役に立たないか、知られたらまずい話なんだろう。

一応、可能性がありそうなものには備えておくか。


そんなことを考えながら唯志は淡々と仕事をこなしていた。


----


同じころ、こちらは拓哉。

拓哉は仕事をしながら、相変わらず野村とyarnをしていた。


拓哉は昨日の野村とのyarnで、現在の自分の状況に焦りを感じ始めていた。

このまま光を未来に帰す為の調査などを続けたところで、結局光に好かれることは無い。

そして結果として光が現代に残る事になったとしても、好かれていないのでは意味がない。


拓哉は光を未来に帰す為の全員での共同作戦とは別に、自分が光に好かれる為の独自作戦を展開することを決意していた。


[なぁノムさん。女の子にプレゼントって何が喜ぶかな?]

[なんだよ唐突にw女の子にってか光ちゃんにだろ?w]

[まぁそうなんだけどさ。ノムさんなら何プレゼントする?]

今日は拓哉の返事も早かった。

ぶっちゃけ仕事なんて手についてない。

仕事そっちのけでyarn三昧だ。


[てかそれ、どういうシチュエーション?wようやく告る気になったか?w]

[いや、普通に何かプレゼントしてみようかなって・・・。まずはそうやって好感度を稼ごうかと・・・]

[マジかwいや、なんでもない日にいきなりガチのプレゼントとか貰っても引くんじゃね?w]

[マジで?]

合間合間でPC上の資料をスクロールしたり消したり開いたり。

所謂仕事をしているフリをしながら野村とのyarnを続けていた。


[お前らの最近の親密度がわからんけど・・・。なんかプレゼントあげるようなきっかけでもあるの?誕生日とか、何かのお礼とか。]

[いや、まったく・・・。]

[じゃあお前客観的に見て光ちゃんに好かれてる?]

[わからんけど、嫌われてはいないと思う。]

[それでプレゼントねぇ。お前らの関係性次第だなぁ。]

[マジか。引かれたりするのは嫌だな。]


[なら無難に一緒に食べれるケーキとか買って帰るとかは?女子は軒並み喜ぶこと間違いなしだろ。]

軒並みと言うのは言い過ぎだと思うが、女性はスイーツ好きが多いのは事実であろう。


[おお、それ良いね!]

確かにそれなら難易度も低いし、光が喜ぶ可能性も高いだろう。

もし嫌いだったとしても自分で食べれるし。

安パイだ。


こうして拓哉の光に好かれるための計画も第一歩を踏み出そうとしていた。

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