第2話
今日は自己紹介とクラス内での役割を決めるということだけだった。あっという間に放課後。
「なぁ、隼人。今日友達なった証としてどっか遊びに行かないか?」
「別にいいぞ。どこ行く?」
忘れてしまっているだけかもしれないが、俺には友達と呼べる相手が少なかったので、あまり遊びの誘いはなかったのだが、こうして、友達の誘いをもらうとつい、表では冷静な対応をするが、内心とても嬉しい気持ちでいっぱいだった。
「んー、ならボーリングとかどうだ?」
「ボーリングか。和馬と競ったら楽しいだろうな。いいぞ!やろう」
「嬉しいこと言ってくれるじゃんか!でも絶対負けねぇからな」
「俺も負ける気ねぇーよ」
「なら早速行こ「隼人くん!」
和馬が俺にしゃべろうとした時、途中俺の名前を呼ぶ声に遮られた。その声にはなぜかみおぼえがあった。だが誰かは分からないのでとりあえず、声のする方向へと顔を向けた。そこには驚くことに桜ヶ丘3大美女がいた。
「隼人くんーー!!」
そう言いながら彼女は俺に抱きついてきた。「え?なんで?」と思ったが周りのみんなも同じことを思っているのかこちらを見て嫉妬心ぽいものを剥き出しにして睨んでくる男子生徒や、「え?隼人くんて綾香ちゃんとどういう関係なの?」と興味津々にみている女子生徒たちがいた。しかもちょっと柔らかい部分が俺の胸に当たっている。俺は恥ずかしくなり、咄嗟に彼女の肩を掴んで離した。
「ちょっとなんで俺に抱きついてくるんですか?」
「隼人くんひどいよ〜。無理矢理突き離すなんて。ひょっとして照れちゃった?」
「ちょっと何してんのよ綾香!」
「ほんとよ綾香。なに抜け駆けしてるの」
「隼人くんの姿見たの久しぶりすぎて衝動が抑えられなかったのよ」
俺の質問は軽く無視されてしまった。しかも周りの人からずっと見られてて恥ずかしい。なぜ俺が3大美女に名前を知られてるのかな。あれ?もしかして俺なにか知らないうちに何かしちゃったか?と考えていると
「ねぇ、久しぶり隼人くん!会いたかったよ!元気にしてた?」
「久しぶりだね!高校一緒って知った時はほんとびっくりしたよ!」
「元気そうで何よりだわ。隼人くん」
なぜこの方達は俺の名前を知っているんだ?しかも久しぶりって何だ?もしかして記憶をなくしてしまっているだけで過去に会ったことあるのか?いや、そんなはずはない。なぜならこんな強烈なことなら普通に覚えているはずだからだ。両親や親しい友人はしっかり覚えているのに有名人と会った記憶を忘れることはないと思う。おそらく人違いだろう。
「すみませんなんですけど、多分人違いですよ?確かに俺は隼人って名前ですけど、会った記憶無いですし、」
「「「あ、やっぱり記憶喪失になったっていう噂本当だったんだ、、。」」」
3人がなにか呟いたが、声が小さくて聞き取れなかったので聞き返した。
「なんて言いました?」
綾香はなぜか寂しそうな顔をしながらも答えた。
「ううん。なんでもないよ!あ、それよりここで会ったのもなんかの縁だし連絡先交換しようよ」
「なっ!私もしたい!じゃなくて私も交換してあげてもいいよ?」
「私も交換したいわ。」
「「「「えぇぇーーーーーーーー!!!」」」」
クラスメイトみんな驚いてる。まぁ無理もないと思う。だって俺ですらめっちゃ驚いてる。ほんとにいいのか?連絡先交換しちゃって。なんかの番組でドッキリとかにハメられてるんじゃ。だが、最悪ドッキリでもいいので有名人と連絡先交換したいという気持ちが勝ってしまい口滑ってしまった。
「本当にいいの?」
「いいに決まってるじゃない!」
「いいよ!やったぁ!じゃなくて仕方ないから交換してあげるね」
「わたしから頼んでいるのだからいいに決まってるるじゃない」
俺は素直に嬉しかった。最悪ドッキリでも、いい思い出になったと割り切れると思うし、今はありがたく連絡先を交換することにした。
「ねぇ、今から暇?良かったらどっか遊びに行いかない?」
「え、でも俺今日他のやつと遊ぶ約束してて」
「行ってこい隼人!」
「は?なんでだよ」
すると和馬は俺の肩を掴み、距離を寄せてきた。
「めっちゃ面白いことなってるじゃん!明日何があったかしっかり聞かせてくれよ?」
「おい、俺はまだ行くとは行ってないぞ。それより先に和馬との約束があっただろ?」
「俺とボーリングなんていつでもいけるから問題ないって。今はそれより隼人とあの3大美女の方が気になるから!」
そう言葉を残したあと、和馬が勝手に俺の放課後の用事はないとペラペラ話してしまった。まずなんで俺にあの方達は構ってくるんだ?やっぱりドッキリなのか?周りを見渡したが、カメラがある様子はない。断る理由も作れなくなってしまったので、やむを得ず3大美女と遊びに行くことになった。
俺は今信じられない光景を目にしている。国民的スターの人たちと俺は一緒に下校をしているのだ。周りは「どうなってるんだ?」と言いたそうな顔でみなこちらに視線を向けている。それは仕方ないと思うのだが、やはりこんなに注目されるのは恥ずかしい。流石3代美女と呼ばれるだけある。そう考えているうちに気づけば、校門前まで足を運んでいた。そこにはリムジンが止まっていて執事と思われる人が俺たちを出迎えているようだ。って、え?俺はこのリムジンに乗るのか?と挙動不審になっていたら
「じゃあ、みんなこれに乗って!私の家に招待するよ」
まさかの国民的アイドルの家に招待された。本当にどうなっているのだろうか。俺はどうなってしまうのだろう。