プロローグその2
世界は、三つに分けることができる。
南の島の南に帝国、北に共和国。
真ん中の島に皇国。
北の大陸の南に合衆国、そのすぐ東に君国、合衆国の北西に王国、北に神国。そのさらに北は、未踏の地。
世界は、七つに分けることができる。
法無き貿易国家、共和国。
文化と研究の中心地、皇国。
多様な宗教の発祥地にして聖地、合衆国。
国家を持たぬ民族により閉鎖された国、神国。
山多き魔鉱石と魔獣の国、王国。
工業の発展した身分制国家、君国。
そして、傭兵と冒険者の軍事国家、帝国。
しかし、こんな形になったのも最近の話。
かつて鉄の時代があった。次いで、魔鉱石の時代があった。この頃から争いが始まり、人は海を渡って戦った。そんな時代が百年ほど形を変えながら続き、二年前唐突に一旦終わった。
後に帝国の王となる天災級の化け物、アントニオ=シルヴァーストーン。そして、ルイス=スピアートを筆頭に〈千人斬り〉ジュリアス=フィッツジェラルド、〈光の錬金術士〉レイトス=フォウトスなどが集まる、俗に〈帝国の狂犬〉と呼ばれる部隊。何より、子供に異世界の人物を憑依させる召喚技術という脅威。この三つの力をもってして帝国は、世界にかりそめの平和を与えた。