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ー辺りには何もない暗闇だけがある中、さざ波の様な音に紛れて微かに声の様な音がしたー


(う、う~、さむいょ~、さみしいょ~、……だれか…

う、うっ、…)




「いらっしゃいませ~、何名様ですか~?、…彼方のお席にお願いします。…三名様で~す。」


「オーダー入りま~す。」

「天丼が3!天盛りが2!牛蒡が3!」

「かき揚げ上がりま~す!」

「有り難うございま~す」


お昼の忙しい時間帯、飛び交う声にバタバタと行き交う従業員達、真由美はひたすら天婦羅を揚げ海老の仕込みやご飯の仕込み、出汁の入った大鍋を洗ったりと世話しなく一日をやり過ごす。

「じゃぁ、お疲れさん~!ほなね~!」

「おう!ほなの~!」

長年一緒に現場で働く店長との毎日のやり取りを終えいつものごとく一人の部屋に帰って夜食ともいえる時間帯の夕食を食べ一息着いたら明日に備えて寝る支度をする。

もう10年以上のルーティンと化してる生活を当たり前の様に過ごし、明日も一日朝から晩まで働き寝に帰るだけの生活をする。

(明日明後日と仕事をしたら休みになる、今度の休みは何を食べようかな?今日は牛蒡天が良く出たから明日は早めに切らないと切り込んだ分か足りなくなるかもしれないな~。)

そんな事を考えながら寝たせいか又仕事の夢を見てしまった。

そう、自分で寝ていても自覚をして夢と分かっている夢、

「ヤバイ、今何時?、…もう、9時半過ぎてるじゃん!店長から着信は?まだかかってない、でももう間に合わない!」

毎日9時半までにはお店に到着し11時オープンまでに出汁を作りご飯を炊き、天婦羅の準備を済ます。

店長は自分より少し早めにお店に着き麺の仕込みと麺線をするので仕込みの合間で真由美が来てないのに気づくだろう。

(もう間に合わないなら休みたい)

そんな事は無理なのは分かっていて現実逃避をする。

(このまま店長から電話があるまでゆっくりしようか?)

そんな事を思いながら同時に焦りもある。

(こんな時魔法が使えて時間を戻せたら?いやいや、それより瞬間移動で車ごとお店の駐車場に到着しないかな?兎に角時間がない事は確かだから急いで用意しないと。)


ーーーー(夢かぁ、)

久しぶりに仕事の夢を見た気がする。

こっちに来て最初の方は只只彼方の世界の人の事や自分がどういう扱いになるのか等色々考えてはいたし、店長にもお店の従業員にも負担と迷惑をかける事に申し訳なさがあったが夢には見ていなかった。

(何故今なんだろう?昨日あやかし城のお店の話が出たからかな?……その前に何か聞こえた様な気もするけどなんだっけ?)

何か大事な事の様な気もするが夢が夢だけにモヤモヤする真由美。

❪おはようでしゅ~❫

真由美が起きた気配で目を覚ましたのかパールが真由美の頬に身体を擦り寄せた。

「おはようパール、今日は自分で起きれたね、」

イイコイイコとなでながらパールを誉めベットから起き上がれば夢の事等薄れ寝起きから食事の事に気がいく真由美。

(今日は何を食べようかな~?とりあえず下に行って朝食を考えて、お昼はゼフさんと相談してから夕飯かな?)

朝食以外はだいたいがゼフの考えたメニューに真由美がアレンジを加えてたり、変わったメニューにしたいと相談を受け夕食のメニューを変更したりとほぼ毎日メニュー構成に加わって顧問の役割をこなしている状況だ。

「あれっ?なんか考えてた気もするけどなんだっけ?

まっ、大事な事なら又思い出すかな?さっ、パール、下に行って朝ごはんにしようねぇ~!」

モヤモヤした気分も既に何処かへ行き夢の事などすっかり忘れた真由美の平和な一日が今日も始まった。





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