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一ヶ月半後


麥の国に召喚されてもうすぐ1ヶ月半になろうとしている、城の生活や人々との交流にも馴染める事が出来日々を過ごしている真由美は今日の昼食のうどんメニューを考えていると突然アオイから頬をつつかれた。

『又うどんの事だけ考えてるだろ?今日は刹様達が作るんだからメニューは決まってるって言ってたんだから考える必要ないんじゃないのか?』

『ん?あっ、そうだった、銀さんや紅さん達が作ってくれるんだったっけ。たしか最初に作った餡掛けうどんって言ってたね?うん、忘れてた!今日は何がいいかな~って考えてたよ。』

アオイのジト目にはははと答えて笑って誤魔化すまゆみ。


そう、今日は刹達が遊びに来る日で、国に帰ってからも練習を続けていた麺打ちを披露したいと意気揚々と言ってきたのだった。

刹達はまゆみが召喚されてすぐに傷の治療の為アオイ邸に滞在していたのだが二週間程経った頃 国を任された娘達に(傷の大部分が完治しているのにだらだらとする位なら国に帰って働け)と怒られ、後は定期的にまゆみの料理を食べに遊びに来るだけで十分だと襟首を引っ付かまれ連れ帰されたのだ。

そんなこんなで賑やかだったアオイ邸も静かになり当初の予定通りにアオイ、たかふみ、まゆみの3人での生活が始まった。

まゆみは調理場のジフ達に料理の提案をして時たま たかふみにこの国やこの世界の事を教えてもらい、週に一度は昼食にうどんを作るという生活。

それでも刹達は毎週の様にうどんの日には遊びに来ているので 普通に(今日は何にしようかな?)と考えてしまうのは仕方ないと思う。

そんな事を考えているとアオイが諦めた様な苦笑いを浮かべ

『確かになぁ~、刹様達が国に帰ったといってもしょっちゅう来てるし、まゆみが食べ物の事を考えてるのは何時もの事だから仕方ないけど、お前はそれでいいのか?普通、まゆみ位の年齢なら服とか宝石とか化粧とかにしか興味をしめさないのに。まゆみが望めばなんだって欲しい物が手に入るだろ?なのに興味があるのは食材や食べ物に関してだけとか…折角若返ったのに…』

人の考えてる事が解るアオイは真由美の考えてる事に対して勝手に自分の考えを1人で呟き ついでとばかりに気を使ってくれる。

最近ではアオイも真由美に対して優しい言動が目立つ、一緒に生活しだして真由美の人なりを知って好感を持ってくれてるようだ。

ただ、真由美の召喚前が40歳を過ぎていた事も十分理解してくれていて気を使ってくれているのも見ると申し訳なくなる時もある。

真由美も真由美で大分自分の姿が若い頃に戻っている事に違和感がなくなっている。

元々独身で本人の考え方が二十代後半からあまりかわってない事もあるだろうし子供を産んだ事もないので精神的年齢がしっかりした大人になっていなかった事も大きいだろう。

更に真由美はこの国の王族専門料理人の顧問という肩書きの仕事があり、ちゃんとお給料を貰う事になったのでわりかし好き放題に買い物が出来る立場なのだ。

本人的には只メニューの相談にのってるだけだし、うどんも週に一度しか作ってないので給料は要らないと言ったのだが、真由美の教えたアレンジは王族専用料理人から国の料理人に伝わり国全体に食文化を進展させているので肩書きも給料も絶対に必要となり 基本給にアレンジの数だけ追加報酬を上乗せという かなり高額なお金をもらっている。

『でも、服は用意してもらっていた分で十分だし、宝石は料理するのに邪魔になるし、化粧は顔が痒くなるから嫌なんだよねぇ~。それより珍し物や新しい食材で美味しい物の方が楽しいでしょう?』

そう答えながらニコニコと微笑むと

2人の会話を聞いていた たかふみがクスクスと笑い

『確かに真由美さんらしいけど、アオイ、なんだか親戚の叔父さんが年頃の娘を心配している感じになっている。王子なんだから そこはさりげなくネックレスをプレゼントして使ってもらうとかする所だよ、真由美さんもネックレス位なら料理の邪魔にならないし使ってくれるよね?』

そう聞きながら優しく微笑みかけるたかふみも最初の頃に比べると真由美に対して自然に、尚且つ積極的に接する様になった。

元々知性派というか礼儀正しい青年なのだが最近はサラリと甘い言葉を投げ掛けたり自然にエスコートしてくれたりして、真由美の胸をドキリとさせる事がある。

今日もサラリとネックレスのプレゼントをほのめかし、甘い微笑みで見つめてくる姿に (たかふみ君が本気で女性を口説いたら女性はひとたまりもないね、何このキャラ、本当にこういう人いるんだねぇ。知的で優しく、自然で甘い微笑み、漫画やドラマで主人公が恋する年上!みたいな!)そう思いながら素直に口にだす真由美。

『最近たかふみ君は本当に王子様感がでてるよね?今までのアオイの公的言動そのままだよ!確かにシンプルなネックレスなら料理の邪魔にならないし日頃からつければお洒落に気をつけてる感じもするもんね?でも、アオイに王子様感は公的な時だけで十分だよ?たかふみ君みたいに自然に接してくれるんだったら親戚的でも王子様的でも本人に無理がないのが一番だし、という事で。ネックレスや口紅位は出来るけど、化粧やお洒落は公的な時だけにとっておくよ!』

たかふみがモテキャラなのは分かるくせに自分が口説かれているとは思っていないだろう意見に加え、自然が一番と 自分の容姿は公的以外に磨く事はしないと堂々と公言する真由美にアオイと たかふみは2人で視線を交わし肩をすくめて苦笑いするしかなかった。

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