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メアリーとまゆみ

『本当にまゆみさんは不思議よねぇ。』


笑顔で感心した様に見つめて来るメアリーにまゆみは首を傾げる。

何の事を言っているのかわからないまゆみはメアリーの顔をまじまじと見つめ疑問を口にする。

『何がですか?私何かしました?』

3時のおやつにと配達して回りサプライズでこの世界の物も召喚出来ると披露したまゆみだが本人は出来て便利位にしか思っていない、後から収納袋の事を聞かされたので尚更召喚出来た事の重要性など考えてもいない。

そんなまゆみを見てメアリーはまた微笑みを返す。


本日は朝からメイとルイの2人の天使がアオイ邸に遊びに来ていて朝のおやつにアイスを作りアオイ邸の皆で食べたり楽しい1日を過ごした。

お昼寝の後にメアリーが来て2人の天使は曾祖母にアイスを食べさせたいと3時のおやつにもアイスを作り、どうせなら曾祖母だけでなく祖母や祖父 父や母にも食べて貰おうとまゆみの提案に喜び王族の皆に天使自作のアイスを配達して回り

大満足の天使達は自分達の城、カイ邸に帰っていった。

2人が帰った後すぐにゼフが現れ夕食の相談をしてゆっくりお風呂に入って夕食の準備までのんびりしようと思っていたらメアリーが早目に用事を終わらせ再びアオイ邸に訪れて来たので2人でのんびりお茶をしていたのだ、そんな中での突然のメアリーの言葉にまゆみは??となって首を傾げて何が?と聞いた。

『ふふっ、自覚がないのは仕方ない事だけど普通は貴女みたいにイロイロな事は出来ないのよ?それなのに貴女は次々出来る事が増えるから驚きより楽しみになってきたわ。』

そう、普通は職業や能力は1つか2つ、多くても極稀に3つ位だそうで同じ召喚されたメアリー、たかふみでさえ2つだというのにまゆみは既にいくつもの職業を持って召喚されていた。

最初に見たまゆみのスキルと能力の欄には うどん職人を筆頭に薬膳調理師?や召喚師更には美容師?などイロイロあったのだ。

まゆみからしたら今までの職業に関係している事だったのであまり気にしていなかったのだが経験があるからといってそうそう職業が増えたり能力が増えたりする事はこの世界ではないらしい。

元々職業が多い事はまゆみが今までと違い成人した状態で召喚されたからなのだろうが まゆみの場合はこの世界に来てテレパスの能力や召喚師としての能力を得てその能力を自然と使いこなし、更にこの国の王国での役職まで得てしまったのだ、調理場顧問といっても王族専属でありこの国ではかなり上位な立場にあたる、 本人は何も分からず楽しそうにしているが大変な事なのだから回りが不思議に思っても仕方がない。

まだまだ未来には第二王子の妃など様々な職業や能力が増えるであろう事を楽しみにしているメアリーは

不思議そうに見つめるまゆみに微笑みを返し楽しそうに告げる。

『ふふっ、何もしていないわよ?ただまゆみさんがイロイロと能力を使える様になってくれて、私達に親しみを持って接してくれるから嬉しくて。普通は私達の事を怖がって皆能力を見せたり親しみを込めたりしてくれないから。』

楽しそうな中でも少し寂しそうに笑うメアリーにまゆみは目を潤ませた。

メアリー達のテレパスの能力を知っている者は時として心を閉ざし恐怖心を持つ、相手の心が読めるメアリー達は相手の考えがわかるだけに傷つく事も多いのだろう、そう思うとこんなに優しいメアリー達が傷つく事を想像して涙が出そうになる。

そんなまゆみに気がついたメアリーは笑いながらまゆみの目元をハンカチで拭い明るい声で立ち上がる

『本当にまゆみさんは優しいわね?さぁ、今日の夕食は何かしら?夕食でなくてもおつまみだけでもいいから私も一緒に作るわよ?それも楽しみにしていたの!』

メアリーの興奮気味の言葉に思わず笑ってしまったまゆみは笑顔になり立ち上がる

『すみません、勝手に感傷的になったりして。そうですね、一緒におつまみを作りましょう!』

メアリー達の今までに経験したであろう心の傷に対して自分なんかが感傷的になったりしてはメアリー達に失礼だと思ったまゆみはメアリーの希望通りにおつまみを作る事にした。

本日の夕食はゼフと相談した結果、昨夜が鍋だったので今日は汁物ではなく尚且つ今までと違う物がいいという事、皆で楽しんで食べれるという事でチーズフォンデュに決定した。

昨夜と同じ鍋料理になるけど汁物ではない気がしたし皆で楽しく食べれると思い思わず口に出したらゼフが食い付いたのだ。

チーズフォンデュは昔からあるフランスの伝統料理でメアリーの生まれたイタリアでも食べられていた料理、当然この世界にも伝わっていると思ったのだがフランス地方から召喚された人間はこの世界でもメアリーだけで そのメアリーはお嬢様育ちの為二十歳の知識はあったが一般的な料理の知識が全くなく更にはお嬢様なだけに一般的な料理であるチーズフォンデュは数回程度しか食べた事がないので作り方が分からず実現出来なかったらしい、簡単な作り方なのだがメアリーが伝えた作り方は更に簡単にチーズを溶かすだけと伝えた為失敗続きで諦めたと。

なのでまゆみが口にしたチーズフォンデュは今までと違った料理に該当するし料理人達のリベンジにもなるので是非とも教えてくれと頼まれた。

鍋の中にニンニクを擦り付け数種類のチーズを白ワインで溶かすだけだと説明するとゼフは項垂れていた。

あまりにその姿が可哀想だったのでチーズのブレンド具合やお酒の種類で味が変わる事、チーズフォンデュだけではなくオイルフォンデュなどという物もあると付け加えたらヤル気満々に調理場に戻っていった。

チーズフォンデュが今夜の夕食だとメアリーに伝えるとメアリーはたちまち大喜びでまるで召喚された頃の10才の少女に戻った様にはしゃぎ回ってアオイ邸の皆を驚かせた。

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