再びアイス
ルイに気をとられていたアオイ邸のメンバーは今さらながらにメアリーが居る事に驚いた。
『どうして婆ちゃんが居るんだ?』
ルイの事で皆を驚かせるという目的を忘れていたメアリーは驚かせる事は次の機会に回しもうひとつの目的を達成させる為自分がこの場に来た理由を皆に告げる。
『今日こそはまゆみさんと飲もうと思って夕食は此処で食べると伝えに来たのよ?』
首を傾げて楽しそうに笑うメアリーは これからも遠慮せずちょこちょこ遊びに来るからと念を押しまゆみと2人で(ねぇ~)などと微笑み合っている。
悪戯好きなメアリーの事だから皆を驚かせようと何も言わずに来たのだろう、まゆみがルイの側を離れたのはメアリーの相手をしていたからだと分かったアオイはため息をつく。
メアリーが居る事に喜んだ子供達は今日の出来事を嬉しそうに報告し メアリーも笑顔で聞いている。
『でね、メイとルイが作ったアイスをおやつに食べたの!』
『あいしゅ!りゆ~つつった~!』
『まぁ、2人が作ったの?ばーばも食べたかったわ。』
『りゆ~ つくう!ばーばたべう?』
『メイもばーばに作ってあげたいの~!』
10時のおやつに自分達で作ったアイスを食べたと話すとメアリーが自分も食べたかったと答える。
そんなメアリーに2人は作って食べさせたくなったのだろう メアリーに作ると言ってまゆみを見る。
2人の期待のこもった目で見つめられて断れるわけがない、断るつもりも更々ないまゆみは笑顔で答える。
『じゃぁ、メアリー様におやつを一緒に食べれるか聞いてみようか?一緒に食べれなかったら後でまゆみと届けに行ってもいいですかって聞いてお返事をもらってからアイスを作ろうね?』
メアリーの都合を聞かずに作る気満々の2人、一度城に戻るとメアリーから聞いていたまゆみはメアリーと一緒におやつを食べる事が出来なくなっても2人ががっかりしない様にと考え2人に確認させる。
大人同士で確認して決定するより子供達が自分で確認する方が納得しやすい場合があるからだ。
案の定メアリーはおやつまでに城に戻らなければいけないらしく2人は作ったアイスを届ける事で食べてもらえると納得してくれた。
『さて、始めますか。じゃぁまずはさっき作ったアイスからね?』
先にヨーグルトアイスを2人に作ってもらいながら冷蔵庫の中を物色するまゆみ。
せっかく作るならメアリーだけでなく皆に食べさせてあげたら喜ぶだろうと思い、もう一種類追加する事になったのだ。
メイやルイも父親や母親、祖父や祖母に食べさせられると大喜び。
ただまゆみが作った事があるのはヨーグルトアイスだけでその他のアイスは作った事がない、専門のレシピは昔うとん屋のデザートを充実させる為にと思案した事に業者や菓子職人の人達から貰ったものがあるので知識はある。
『でも、あれは専用の機材が前提の作り方だから、今回は簡単ななんちゃってアイスだね。』
ヨーグルトアイスも専門のレシピからではないし本格的なアイスにはほど遠い、ただ今回はメイとルイが作って皆に食べて貰う事が大事な事なので本格的な口当たりは求めなくて大丈夫。
『よし、これにしよう!』
まゆみが取り出したのは豆腐と牛乳
それを見てメイが首を傾げる、メイにつられてルイも首を傾げ2人でまゆみを見つめると
(う、可愛い。もう、食べちゃいたい~!食べもいいですか?)
などと言いながら2人に頬ずりするまゆみ。
アオイに襟首を掴まれ説明しろと言わたので渋々2人から離れる。
『えっと、もう一つはこのお豆腐を使って豆腐アイスを作ります!味は そうだなー抹茶もいいけど小さな子は好き嫌いがあるし、紅茶味にしようかな?』
メイもルイも一般的な人の子とは違いまだ小さな子供でもなんでも食べれる、その事はまゆみも知っているが抹茶は大人でも好き嫌いが結構あったはずだと思い出し王族の皆が常に飲んでいる紅茶味にしようと提案する。
『ほう、豆腐と紅茶。それは面白いねぇ、豆腐のアイスも紅茶味のアイスも僕は食べた事がないよ。とても楽しみだ!』
何故かメイやルイよりも興味を示す刹だが、メイもルイも喜んでいるので気にせず作業に取りかかる。
『じぁ、まずはボールに豆腐と牛乳を入れて下さ~い』
アオイがボールを支えてその中に豆腐と牛乳を入れるメイとルイ、後は紅茶を濃い目に抽出したものを入れて砂糖を入れてミキサーするだけ。
この世界にもミキサーはあるのだけど地球のものより優れている、ボールのまま専門の石板?のような台の上におき「粉砕」など出来上がりをイメージして言葉にすればボールの中身が粉砕されたりイメージ通りの仕上がりにしてくれるのだ。
メイとルイは出来上がりがわからないのでミキサー始動はまゆみがする
。
後は冷蔵庫で固めて出来上がり。
すごく簡単なのだが、今回は冷凍させた物を再びミキサーにかけ冷凍し再びミキサーにかけ冷凍を繰り返す事にした。
ヨーグルト味の分も同じ様にミキサーを使い簡単に出来上がる。
味見をした2人や他の皆も満足した顔で笑顔になる。
『うん、2人が作ったアイスだから尚更美味しいね!』
まゆみの合格を貰った2人は大はしゃぎで喜びぴょんぴょん跳びまわりその姿を見て暴走しそうなまゆみをアオイが引っ付かみ次の作業に取りかかるという場面があったが、無事アイスを盛り付け早速と配達して回る。
因みにアイスは冷凍庫に入れたままでその場その場でまゆみが召喚するというサプライズ付き。
この世界には収納袋?という鞄がありその鞄や袋に物を入れて持ち運べば入れ時と同じ状態で出す事が出来き、沢山入るし重さも変わらない大変便利な道具があるのだが、それを知らないまゆみがどう運ぶか悩んでいると冷凍庫の中身が召喚されたのでサプライズに利用したのだ。
まゆみの召喚は元の世界の職場限定の物だけと思っていた皆は普通にこの世界の物を召喚したまゆみに驚きメイとルイが作ったアイスがとても美味しい事にも驚いていた。
ただ、メイとルイが自分達にとアイスを作り配達してくれた事に感激して2人を誉めちぎり頬ずりし、抱き回すという なんとも微笑ましい姿がどの場でも起こり、メイもルイも大変喜び皆幸せな気分で3時のおやつは終了した。




