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無自覚な笊

アオイとたかふみの無言のやり取りを見て何だかモヤモヤとするまゆみ。

2人の行動の原因が自分なのだろうとはわかっているのだが理由が分からない、どうせ聞いても答えないのだろうと思ったまゆみはビールを楽しみ刺身を堪能する事にした。

まゆみが2人を放置して食事に戻ると刹達も意識を食事に戻す、そんな皆の対応にアオイとたかふみはお互い慰め合う様に頷き合いながら

『やはり分かり合えるのはお前しか居ない』

とか

『アオイと私は一心同体』

とか訳の分からない事を言いなが食事に戻っている。


鍋の蓋が開けられていよいよぶりしゃぶを食べ出すと皆から歓喜の声が上がる。

『『旨い!』』

『これは今まで食べた事のない食感だね』

『この様な食べ方は初めてです』

『こんな食べ方があったなんて』

と大好評、ミツジとまゆみは朝から一緒にいたので今日1日でかなり親しくなった様だ。

お互いの顔を見合せ(やったぁ)と嬉しそうに笑い合う。

そんな2人に苦笑いしか出来無いアオイ達、2人が仲良くなる手伝いをしたのは自分達なのだから 面白くなくとも文句は言えない。

黙々とぶりしゃぶを食べながら日本酒を飲む刹と銀、紅とたかふみは焼酎と鍋に合わせてお酒を変える。

アオイとまゆみは生ビールのままで鍋をつつきビールを飲み、ぶり大根を食べ又ビール。

黙々と食べ黙々と飲む皆に

『皆さんピッチが早いですね、まだ雑炊もあるのであまりピッチを上げると食べれなくなりますよ?』

ピッチを上げてお腹が一杯になると雑炊までに満腹になるのでは?特にアオイとたかふみは昨日ピッチを上げて途中でダウンしたので気をつけてと忠告するまゆみ。

まゆみのペースで飲んで先に潰れた2人はまゆみの忠告を素直に聞いてペースを落とした。

刹達も雑炊が食べれなくなるのは嫌なので食べるペースを落として酒をチビチビ飲み出した。

皆と違って飲むペースが変わらないまゆみにアオイは問いかける

『まゆみはペースを落とさないのか?それで3杯目だろ?ペースを落とさないと腹が膨れるぞ?』

まゆみがどれだけ飲めるのか 昨日は先に潰れたので分からないのだが流石にビールはお腹にたまるのでペースを落とした方がいいんじゃないかと聞いてみたのだかまゆみは大丈夫だと平気な顔で答える

『こいつは笊だ』

と紅がニヤニヤしながら教えると

『ついでに食べ物も笊の様です』

と銀がクスクス笑い教える

『夕べも何一つ変わらないペースのまま最後まで僕達と飲んでいたよ。僕の方が少し酒が回った位だ、まぁ元々僕は紅や銀の様には飲めないが人間よりは飲める。その僕より飲めるんじゃないかな?間違いないなくこの城の中の人間では一番飲めるのはまゆみだね』

と刹も教えながら笑っている。

『いやいや、そんな事ないですよ?夕べは調子が良かっただけで酔う時は酔いますよ?』

言われてみれば顔色一つ変わっていないまゆみは刹達の説明に異論を唱えていた、しかしその異論に異論を唱えるミツジ。

『俺も酒は強い方だし飯も食う方だがまゆみちゃんのペースに合わせた途端に潰れたもんなぁ』

と横目でまゆみを見てからアオイ達を見る。

ミツジの酒の強さも刹達の普通じゃない強さも知っているアオイとたかふみは 酒豪と呼ばれるミツジや刹達あやかしに強いと言わせる者が居た事とそれが自分の隣に居る涼しい顔をした自分が想いを寄せる人物であるという事に何も言えずに固まってしまった。

『アオイもたかふみ君も違うからね?私は自分の限界が分かるからその時に応じて飲むのを止めたりチビチビ飲んだり調節が上手いだけだから最後まで飲んで食べれるだけだかね?』

いくら調節が上手いといっても刹達

あやかしに最後まで付き合えるのは難しい。

城で一番刹達と飲む事の出来るメアリーでさえ最後までは付き合えていないので まゆみの違うという言葉は信用しない事にした。

そんなまゆみの隣で飲んで食べていると自分達のペースは作れないと思ったアオイとたかふみは強い者は強い者同士で並んでくれと 紅と銀に席を変わってもらい刹の隣に座る事にした。

席を変わられたまゆみは

『なんか酷い。化け物扱いされたみたいだし、私だって紅さんと銀さんの間に挟まれたらペースが崩れて酔っぱらうかもしれないのに』

と文句を言うが隣の2人から

『それは無い。昨日も今日もペースを崩されたのは俺達の方だからな』

『まゆみさんが万が一酔っぱらう事があれば私達が部屋に運びますから安心して下さい。その時は私が女性に変化しますし、』

とまゆみの異論をあっさりと否定する紅と銀、そんな2人に拗ねた様子を見せず銀のある言葉に食いつくまゆみ。

『銀さん達は変化できるの?女性って?他は?他には何に変化が出来る?今度良かったら見せて下さい!』

と銀に食いつく、銀はその反応が面白かったのか

『いいですよ、今度2人の時にゆっくりとお見せします。見せるだけでいいですか?なんなら触っても抱いても好きにしてもらって構いませんよ?』

と女性や子キツネ、幼児姿、興味があれば触れて抱き締めていいという銀に皆はオイっと突っ込むがまゆみだけは目をキラキラさせて

『楽しみです。約束ですよ?今度2人の時に変化を見せて下さいね?出来れば子キツネ姿の時に抱っことかスリスリさせて下さい』

銀の含んだ言葉の意味を理解してないまゆみは自らそうさせてくれと懇願する。

銀がまゆみに想いを寄せていない事は分かっている。

紅や銀も遠慮しないと名乗り出たのは刹に合わせてだ、刹事態そこまで本気ではないのであろうが一応様子を見る為に自分達も参加しただけなのだ。

そんな銀の試す様な冷やかす様な挑発には全く気がつかず純粋に変化を楽しみにするまゆみ。

『『子供だな』』

と呟き呆れるアオイと紅に

『え?何で?子供でなくとも子キツネ姿を見たら抱っこもスリスリもしたいでしょう、普通?』

と平然と答えるまゆみ。

皆はただただ

『そうだな』

と言うしかなかった。

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