長い1日ー3ー4
うどんの種類の説明を聞いていた王族の皆と料理長のゼフは驚いていた。今目の前に居る召喚された娘の口からは本当に楽しそうにイロイロな種類について説明をしている。その種類の多さもだが、それを全て作れると言うのだからそりゃ驚くだろう。なのに本人は職人でもなければ料理人でもないと言う。あちらの世界とはどんな世界なんだ!元々あちらの世界に居た皇太后妃様やタカフミまで驚いているのだからかなり進化しているのだろう。そんな皆の考えを気が付きもせず娘は説明を続けていたのだか、一通り説明すると細かい説明をするか?と苦笑いをしながら聞いて来た。細かい説明になるとかなり長くなるし、きりがないと言う。なので説明は終りにしたのだが今度は別の問題が出てきた。あんなに楽しそうにイロイロと説明する娘を見ていたら頭の中にうどんが出てきて 食べたくなってしまったのだ。今昼食を食べているのに!しかし娘の説明は想像を掻き立て食欲を刺激するのだから仕方がない。その食欲に素直に従った皇太后妃様が娘に提案をだした いや お願いだ。
『まゆみさん。私 まゆみさんの説明を聞いていたら食事中なのにも関わらずうどんが食べたくて仕方がないのまゆみさんが作れるのであれば尚の事だわ。貴女さえ良ければ是非にも作って戴きたいのですがどうかしら?お願いできる?』
そんなお願いをしているのに何処か断れない様な威圧を感じる皇太后妃様に対してまゆみは気にも止めずに素直に提案を受け入れる。
(出汁は材料があられば出来るけど麺は粉が変わると仕込みも味も変わるからなぁ、まずは粉を見て…)
とすでに作る気満々の様子で考えこんでいる。するとまゆみの後ろの方が仄かに光りだした。ソコは先程まで調理台やらガスコンロなどがあった場所なのだが今は調理台などは消えている。変わりに光りの中から大きな紙袋の様な物と銀色の蓋のついた四角い長方形の箱の様な物が現れた。それを見た皆は驚いていたのだが一人まゆみだけは喜んでいる。(粉だ!バットだ!)
と嬉しそうに光りに近づき箱を中を覗いたりして笑顔で此方に振り向くと皇太后妃様に向かって嬉しそうに微笑んだ。
『出汁も麺も問題無さそうなので何時でもつくれますよっメアリー様』
その様子に皇太后妃様も周りの皆も嬉しそうに微笑んだ。
どうやらまゆみの場合 頭の中で欲しいと考えると欲しい物が召喚されるらしい、かなり高度な技術で高位の人でも難しいらしいのだが本人は気にせず只只喜んでいる。隣に居るタカフミは苦笑いで肩を落としているのだが…
そんなこんなで皆 うどんが食べれる事に喜び さっそく明日の昼食に作って貰う事になったのでゼフは『自分も勉強になるので一緒に作って食べたい』
と皇太后妃様とまゆみに頼んでいた。二人供 快く受け入れてくれゼフも明日が楽しみだと喜んでいる。
そうして賑やかな昼食が終りまゆみを部屋に案内する事になる。まゆみが立ち上がり皆に挨拶をしてタカフミとアオイについて行こうとするとそれまで大人しくしていた メイ様がまゆみに話しかける。
『あのネ、あのネ、メイ このお料理好きー!』
と可愛らし声で食べ終わった料理の感想をまゆみに言っている。人見知りの激しい彼女はあまり人に懐かない 家族や料理長とは普通に接するが初めての人間にはまず話しかけないのだが まゆみの作ってくれたお子様用ワンプレートが嬉しかったのだろう。ニコニコと笑いながらまゆみに話しかけている。その様子にまゆみは全身で喜びながらメイの近くに行くとメイの視線に合わせて屈みその頭や頬などを撫でながら
『メイ様に喜んで貰えて私も嬉しいです、明日はうどんを作るので又食べて貰えますか?』
と聞いている。そんなまゆみの質問にもメイはニコニコとして
『うん!うどん大好きっ、まゆみも大好きっ、明日もたくさん食べるのー!』
そんなメイの言葉に隣に座っているルイも同意見だと言う様に
『まーみしゅきー、ううんしゅきー、るぅーいしょー』
と天使の微笑みをまゆみに浴びせるものだから落ち着いていたまゆみの暴走が溢れ出しメイに抱き付きルイの頭や頬を撫で始める。ルイに両手をのばされ
『ルぅーもねたといしょー、はーしゅー』
と言われたものだから涙を目に溜めながらルイにもハグをして二人の間に入って二人の頬に頬ずりしている。そんな暴走娘に化しそうなまゆみの衿をアオイが掴み二人から引き剥がし連れて行こうとすると
『あお まーみとたらめー』
『アオ様まゆみをとったら駄目ー』
と二人に抗議されアオイは驚いた。あんなに人見知りの二人が何故かまゆみに懐いてしまっている。今まで家族以外に懐かなかった二人が目の前の娘に懐いている事にショックを受けていると追い討ちの様に二人は『メイ、まゆみと遊びたいー』
『まーとあーぶ』
と二人は言いだした。そんな二人に皆も驚いたが母親のフレイヤーは気にもせずニコニコとしながら
『あらっ、二人はこれからお昼寝の時間よ?遊ぶのは又今度にしましょう?』
と二人に話しかけている。そんな母親の言葉に二人は
『じゃあまゆみとお昼寝するー。しゅー。』
と引かない。母親以外の人間とお昼寝なんか出来ない二人がまゆみとお昼寝をすると言っている事に驚きとショックを隠せないアオイを余所に母親は まゆみが良いと言えば一緒に昼寝をしても良いと許可を出す。そう、この人はおっとりマイペースなのだ。そんな許可を出すものだから二人の天使はキラキラした目でまゆみを見つめる しかしそんな天使の魔力に動じなかったのかまゆみは二人に念を推した。
『私は今から自分の部屋に案内をして貰わなければいけません。二人が私とお昼寝をするのなら一緒に私の部屋に来なければ行けないのですがそこにはお母様は居ないのですよ?私と二人だけで寂しくないですか?寂しくて泣いたりするのなら一緒にお昼寝は出来ませんよ?』
と二人に説き伏せる。実に母親の様だ。だがそんな厳しいまゆみの意見にも二人は素直に頷き
『ルゥなかなー。メイも寂しくありません。絶対に泣かないので3人でお昼寝したい』
とまゆみにお願いしている。そんな天使達に頷いて
『じゃぁ、3人でお母様とお父様にお願いをしましょう?』
と微笑んだ。そうしてまずは父親のカイ王子にお願いをするとすんなり許可を出す。
『元々 妖精族は自分の身の危険には敏感だ 人に対しても本能的に自分に合う合わないが分かるんだ。そんな3人が無条件で君に甘えているという事は君が3人にとってそういう人間なんだろう。でもさっきの君を視ると甘やかすだけではなくちゃんと悪い事を叱れる人なんだと思うから何も問題ないよ。君に迷惑でなければ此方からお願いしたい。』
と隣に居るフレイヤー妃と小さな天使達とまゆみに微笑みかけた。
そうして小さな天使達とまゆみは一緒にお昼寝をする為にルイとメイはまゆみに抱かれ手を引かれ まゆみの部屋に移動した。