ミツジ視点
俺の名はミツジ。
王族専門の料理人だ。
ついでに王族専門の料理人の中でも一番と言われる料理長の息子でもある。
王族専門の料理人には選ばれた者にしかなれない職業なので 決して親のつてとかではなく あくまで俺の実力でなった職業だ。
そんな俺でも親父は凄い料理人だと思う、そんな凄い親父はあまり人を誉めたりしない。
料理の出来が良ければ良いと言うし、良いところは良いと誉めはする。
だがその者の事を誉める様な事はない。
(勿論王族の方達は別だ。
王族の方達の事は日頃から
『あの方達は本当に素晴らしい方達だ。俺はこの城で働ける事を誇りに思っている』
と言っているのだから)
そんな親父が最近ある者を誉めた。
親父が誉める事事態が凄いのだがその相手を偉く気に入っている事に俺は驚いた。
その相手はなんと 親父からしたらかなり年若い女性で、俺の理想の人、想いを寄せている女性なのだ。
そう、まゆみちゃん。
俺が彼女を知ったのは親父の話しからだし、その時親父は彼女の事を(凄い)と確かに言っていた。
だがそれはあくまでも見た目と実力との差がありすぎて驚いたという意味合いの方が大きく 彼女自身がとかではなかった。
なのに、今は彼女にうどん作りを教わり 彼女に料理の手伝いを頼んだり、しまいには彼女を自分の職場に引き込もうとしている。
確かにまゆみちゃんは俺の目から見ても凄いと思う。
うどんも美味しいし、発想力もある、そして何より莫大な料理種の知識、彼女なら王族専門の料理人にすぐなれるだろう、俺より上の料理人に。
料理人になる事を拒む彼女に手伝いだけでも、好きな時だけでもと言う親父は彼女の料理や知識だけでなく 彼女の人柄も気に入っているのだろう。
親父は普段料理人以外はあまり調理場には入れたがらない、そんな親父が彼女を調理場に入れ、さらには彼女を見る目が優しく、頭を撫でたり、おでこをつついたり、頬を摘まんだりしている。
(待て親父、そんなに俺のまゆみちゃんに触れるな!)
そう突っ込みたいのだが、今の親父は頭の中が新しい料理への希望を逃さないと全力投球状態なのでやめておく。
へたに突っ込みを入れたりしたら恐ろしい事になるし、ああなると親父はとまらない。
それに俺も親父と同じで まゆみちゃんにはなるべく調理場に来てほしい、好意を寄せている事とは別に料理種の知識をもっと教えてほしいから。
彼女の言葉にした料理を全て作ってみたい。
彼女が作る物は全て旨かった、だから彼女の言葉にした料理達もきっと旨いはずだ、全てを作るにはかなり時間がかかるだろう1日一つ作ってもどれだけの年月がかかるかわからない、それだけ彼女の料理種の知識は莫大なのだ。
彼女が調理場に来る事は俺達の知識も発想力も高める事に繋がる。
親父が本気で彼女を欲しがっているのでその事は親父にまかせよう。
俺は彼女と同じ時間を共有できる事への期待が大きくなるのを押さえて彼女とおやつの準備をする。
メアリー様達から説教をされた狼共はかなり反省したらしい。
昨日アオイ邸で男共に入浴場面を見られ、アオイ坊とたかふみに抱き着かれ、挙げ句侮辱的な言葉を投げかけられて傷ついても 俺やメイドに心配かけまいと明るく振る舞うまゆみちゃん。
涙を流していた事も決して男共のせいではないと彼らをかばう まゆみちゃん。
全て自分が悪くて皆は悪くないと自分を傷つけた相手に謝るまゆみちゃん。
酒が強くて料理も旨い、知識も豊富で人柄も最高、自然体で、何より可愛い!そんな彼女に相応しくなる為彼女を、彼女の笑顔を全ての事から守れる様に、今は彼女からでも学べる事は何でも学び いつか俺から彼女に教えてあげれる位 頼られる頼もしい男になってみせる。
今はまだ影から見守る事しか出来ないが必ず貴女を守れる男になります。
その時は貴女を抱きしめ自分の想いを貴女に届けていいですか?
その時までなるべく狼に近付けぬ様
俺は親父に協力し、まゆみちゃんを調理場の親父の補佐役にと懇願するつもりだ。




