あるメイド視点
皆のおかわり分とメイドさん達の分のうどん、いなりを作ると言い出したまゆみ様に驚きを隠せない私達メイドはそのまま固まっていた。
おかわり分を作るのを手伝う事は当然手伝うつもりだし、それが自分達の仕事でもある。そんな自分達に気を使わせない様に(食べて下さい)とお願いまでしてくれるまゆみ様。
だが普通メイドといえば専用の部屋でメイド同士や料理人達と食べるのが当たり前なのだ。主達ご家族と食べるなどあり得ない。ゼフ達2人が特別に許されているだけで自分達は特別ではないのです。
先程の件でもメアリー様がすすめて下さった事とこの場にメイド長様がいらっしゃるから茶碗蒸しを頂けたと言うのに、いくらこの世界や国の事情がわからない上 王族方がおおらかな方達とはいえ 流石にまゆみ様が怒られるのではないかとメイド長とメアリー様を見る。
すると私の考えていた事をメアリー様が能力で聞いて下さったのか
『まゆみさんはね、貴女達の立場を解った上で貴女達にも食べて貰いたいのだと思っているのよ?でしょ?まゆみさん』
『はい、この場で私が作って皆に振る舞う。この状況なら普段の皆様の形式とは異なるので、せっかくならこの場にいる全員で食べれたらと思いました。勝手な発言をしてしまい申し訳ありません。改めてメアリー様。この場を設けて下さったメアリー様にお願いします。メイドさん達も含め全員で食べる事をお許し下さいませんか?』
『ええ、私は構いませんわよ?そもそもこの場で料理してと貴方にお願いした以上、この場での作法はまゆみさんのもの。そのまゆみさんが全員でと言うなら全員で食べるのが礼儀です。そうよね?メイド長?』
『はい、メアリー様。』
『まゆみ様。私達メイドもご一緒させて頂きます。』
す、凄い。こんな事など…メイド長も納得しているなんて。
ちゃんと理解した上であえて、普通と違う状況だから問題ないと、そんな気づかいまでして下さってまで私達の様な下っ端に料理を振る舞いたいとは、まゆみ様とはなんとお優しい方なのでしょう。
ですが、少々あわてんぼさんなのでしょう。急に私達にもうどんをなどと仰られた時は私だけではなく皆驚いていましたよ?
メアリー様や王子様方は能力があるのでまゆみ様の考えは解っておられたでしょうが、その他の方達は驚いたと思います。
昨日の刹様への食材の専門的なご説明、教養のある方だとは思っており、やはり私達とは生い立ちが違う方だと勝手に思っておりました。
そんな私にもうどんを食べてとお願いして下さるまゆみ様。
段階をすっとばしてしまう様なお茶目なまゆみ様。
そんなまゆみ様のこれからの日々のお手伝いを。
是非ともさせて頂きたいと願います。




