皆で昼食
『では、皆さんお揃いになったので早速作り始めますね?』
と皆に笑顔を向け調理開始を宣言する まゆみ。
そんなまゆみ達を不思議そうな顔で見ている料理人やメイド達、普段は鐘がなってからいらっしゃる王族達が皆も揃ってまゆみのうどんを 作る作業を見る事から楽しみにしていたと鐘がなる前から早々に揃った事に驚いているのだ。
『いやー、嬢ちゃんは凄いなっ、王族の方達がこんなに早く揃ったのは初めてだ。それだけ嬢ちゃんは気に入られたんだな!はははっ』
と豪快に笑うゼフさん。彼はほうれん草のおひたしを小鉢に盛り付けていたところだ。
そんなゼフとは対象的に
(こんな修業もした事のない様な若い娘の料理を楽しみにしていた?何故だ?なんでこの女なんだ?はっ)と若い料理人が
メアリーを見て
『申し訳ありません。』
と頭を下げ謝っている。どうやらテレパスの能力があるメアリーに心を読まれたと思い謝ったのだろう。その後カイ様とアオイにも頭を下げていた。彼は頭を下げた後まだ途中である いなり寿司を皿に盛り付け出した。そんな彼を見ながらメアリー様が心に呼び掛けてくる。
(ごめんなさいね まゆみさん。私達が好奇心で早くに来てしまったから…)
(別に気にしないでください。皆さんが楽しみにしてくれて、私は嬉しいです!何も知らない人から見れば ああ思うのも当然です。彼の事は怒らないであげてください)
と頭の中で会話をしなが さっそくうどん作り。
まずは召喚した湯で釜を強火にして一気に15人分麺を入れる。
そう、この湯で釜は召喚しただんかいでお湯が温まっていて何時でも麺が湯がけるのだ、そしてこの湯で釜は大きいので一度に15人分ゆがけるのだ。そうして麺を湯がいている間に茶碗蒸しを蒸し器ごと召喚する。召喚された蒸し器の蓋をとれば そこには出来立ての茶碗蒸しの器が並んでいた。お店で作っていた時と同じ器、まだ熱い蓋を素手でもちあげ中身を見るといい臭いがした。蓋を戻して一つずつせんようのコースターにセットして小匙を付けていくと それをメイドさん達が皆の前に置いていく。昨日も手伝ってくれたのでお願いしなくても自分達から聞いて手伝ってくれる。そんな彼女達にお礼を言ってテーブルに座って此方を見ている皆に声を掛ける。
『うどんはいまゆがいているので後じゅ…5分かかります。湯で上がったら順番に盛り付けお出ししますので良かったら先に茶碗蒸しをどうぞ。数があるのでメイドさん達も是非どうぞ。勿論ゼフさん達も!』
と物欲しそうな顔をしたゼフをふくめ皆に茶碗蒸しをすすめる。ゼフさんは昨日も皆と一緒に食べていたので問題ないだろう。問題はメイドさん達だ。そんな彼女達にはメアリー様の
『まゆみさんがそう言ってくれてるのだから出来立ての内に頂きましょう?』
で、解決した。皆『美味しい!』と食べてくれて 見てると嬉しい。自分もこの茶碗蒸しは好きだしよそより美味しいと思っている。茶碗蒸し好きの自信作である。店で出していた時は茶碗蒸しだけを食べに来る人もいたほどだ。 事実 今もおかわりをしようと数人立ちあがっている。
主に男性だが。女性はまだうどんやいなり寿司、おひたしがあるので我慢しているらしい。おかわり希望の紅、ゼフ、若い料理人に『全部食べずに何個か残して』とか言っている。そんな嬉しい光景を見ているとそろそろ麺が上がりそうだ。
麺を(たも)ですくいあげ一度流水で熱をとる。一人前ずつ玉とりをして準備をしておく。玉とりをしてある麺を氷水で冷し水を切ったら器に盛る、麺がキレイに見える様に盛り
鶏肉、ワカメ、ミョウガ、ネギなどを盛り付け冷やしておいた専用のかけだしを入れていく。具材が散らない様に気を付けて出汁をいれたらかぼすをしぼり、飾りの輪切りを添えれば出来上がり!麺をキレイに盛るのに少し時間がかかるがソコは馴れで、その後もいつもの馴れで流れ作業の様に次々と作る。一度に3人分ずつ作っていくと出来上がったそばからメイドさん達が運んでくれる。そのお陰で作業はスムーズに進み、あっという間に15人分出来上がり!
王族の皆とゼフさんが待っていてくれてるので私も席に着く。
『お待たせしました。今日のお昼は冷かけ鶏うどんといなり寿司です。お子様達のうどんにはかぼすは入れずにミョウガのかわりに温泉卵をのせてます。大人用も食べれそうなら食べてみてください。』
『ふっふっ、子供用も気になるわね。では、さっそく頂きましょう』
と私の説明の後にメアリー様が音頭をとり、皆で
『いただきます。』
と食事を始める。皆冷たいお出汁のうどんは初めてなのか目をキラキラさせてうどんを食べる。
『冷たいのに味がはっきりしていますねぇ、』
とか
『このかぼすがスッキリさせて、いくらでも食べれそうですわ!』
だとか
『うん、この一口いなりの後にうどんを食べると口の中がスッキリしてまたいなりが食べたくなる。』
などと好評だ。子供達もなんとか食べてくれている。
『このちゅるちゅるは熱くなくてどんどん食べれるのっ。ご飯も甘くて美味しいのっ。』
『ルー、こえ、しゅきー』
と2人とも夢中で食べてくれる。そんな皆を見て微笑んでいるメイドさん達を見て私はメアリー様に確認をして皆に声を掛ける
(メアリー様。メイドさん達にもうどんといなり寿司を食べてもらいたいのですが作っても構いませんか?ゼフさんも手伝ってくれましたが、メイドさん達も手伝ってくれたので一緒ではなくても食べてもらいたくて。駄目ですか?)
(勿論かまわないわよ?ゼフだって一緒に食べているのだものメイドが一緒に食べてもいいんじゃなくて?)と回りを見ると皆頷いてくれた。メアリー様が能力の開示をしているので今の会話は王族と刹様達には聴こえていたのだ。そんな皆に(ありがとうございます)とお礼をして改めて声に出す。
『手伝って頂いたお礼にメイドさん達の分のうどんをいまから作りますけど、おかわりの要る人はいますか?』
と声をかければほぼ全員が食べると手を挙げた。驚いたメイドさん達に
『おかわりを作る手伝いをしてもらっていいですか?お嫌いでなければ、お礼にうどんを食べて下さい』
とお願いした。




