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異世界での実感

(今は午前11時)

私 小山 真由美 44才 独身、うどん屋に社員として働きだしてはや10数年毎年の正月休み以外休んだ事はほとんどない!ましてや無断欠勤など もっての他。

何故いまさらこんな事を考えているかというと、先程たかふみと話をしていてフッと気が付いたのだ。

(此方とあちらでは時間の流れ方が違うという事はもしかして あちらー日本ではもう月曜日じゃないのか?)

と。今、私の勤めるうどん屋は人手不足で日曜日は営業していない。なので月曜日から土曜日の営業なのだ。土曜日の夜、仕事が終わって帰って来た時に此方に召喚されたのだが召喚された時此方は昼食前だった。という事は 此方で

丸1日経ったという事は……

(日本では丸2日、…今は月曜日の夜の11時?……うわぁ。)

と焦りながら自分が召喚された時に持っていたカバンの中のスマフォを取り出す。

(ん?時間が此方の時間になってる?履歴は?ラインは?メールは?)

とりあえず無意識にうどん屋の店長に電話をかけようとしたが、当たり前に繋がらない。自分の母親にもかけてみたが同じだった。ラインもメールも送れなかった。インターネットには繋がるし閲覧も出来る。ただ此方からは何も出来ないみたいだ。

(当たり前か、異世界から電話やメールが出来る訳がない。そんな都合良く向こうと繋がるなら人だってどうにかすれば行き来出来るだろう。うわぁ、無断欠勤してしまった~、しかも私ってどうなるの?行方不明とか?まだ1日だけなら実家までは連絡はいかないだろうけど、実家に知られるのはどれ位だろう?)

などと今更ながらに考えていた。

此方に召喚されてからなんやかんやと時間が過ぎ、それについていくだけで必死だった。今朝起きて皆とこれからの事など話していても少し夢の様な感じで現実味がなかった。

でも、時間の流れ方から日本での自分の状況や責任を考えると 今現在、自分がこの世界に居ることを自覚した様な気がする。

(ただ、考えても何も出来ない。)

そう落ち込みかけて止めた。

(今は考えても仕方ない、回りの人に心を読まれるから一人の時に考えよう。とりあえず、昼食だ!)



約束の11時20分には アオイとたかふみと3人で屋敷を出て本城のホールに向かった。

ホールに着いた時には昨日も居た 料理人の ゼフさんやメイドの人達が既に待っていた。今日はゼフさんともう一人、若い男性の2人の料理人。普段は厨房で作るのに今日はここで作るからだろう。早速ゼフさんが声を掛けて来た。

『よう!まゆみ嬢今日は何を作る?俺達は何を手伝えばいいんだ?』

『こんにちはゼフさん、今日は冷かけ鶏うどんといなり寿司を作るつもりです。あと、ほうれん草のおひたしと 茶碗蒸しも作ろうかな?と、うどんと茶碗蒸しは私がするのでゼフさん達は おひたしといなり寿司をお願いしてもいいですか?』

とお願いする。そんな2人のやり取りを若い男性は怪訝な顔で見ていた。

(おいおい、うどんと茶碗蒸しって時間がかかる料理なのにこんな時間から来て大丈夫なのか?いくら厨房器具を召喚出来るからって料理をなめてるのか?)

そんな若い男性の声が聴こえて来た。

(あっ、私本当に声が聴こえるわっ。なんか凄い!)

とニヤニヤしながらアオイを見ると

(何を今更言っている、昨日からさんざん聞いてるだろうが。兎に角あまりニヤニヤするな!お前の能力は王族以外には当分秘密なんだから)

(はーい解りましたよっ、だって今までアオイがいたから、アオイが聞かせてくれてると思ってたんだもん!今自分で意識したら聴こえて来たから ちょっと嬉しかったんだよ)

などとアオイとテレパスする。

そう。自分がテレパスの能力があると言われてたのだか これも実感がなかったのだ。基本、昨日の事はすべて実感がなかった。先程現実味をもったので、今から本格的に考え実感していこうと思っていたのだ。

兎に角、そんなやり取りをしながら厨房器具?を召喚すると若い男性は少し驚いた顔をした。そんな若い男性を面白そうに見ているゼフさんが早速ほうれん草と鍋。いなり寿司用にあわせてある酢飯の入ったすし桶、いなり寿司用のキツネ揚げを持って若い男性に指示を出す。

『ほらっ、お前はいなりをしろっ、嬢ちゃん、この揚げは少し小さいけど型はどうする?全部に詰めていいのか?』

と聞いてきたので、まずは手本になるいなりを一つ作る。

『まず この位の量を片手でにぎって、これを揚げにこうして入れて、横の出た揚げでとじて…こんな感じです。小さいけどうどんもあるので一人二つ位ずつでお願いします。足りない時はその時作ります』

とお願いした。そして自分の準備を始める。

(準備っていっても麺をゆがけばすぐ出来るしなぁ、あと40分もあるから今から作ると20分位前には出来上がってしまう。)

『ゼフさん、メアリー様達は何時も何分位前にみえますか?皆さんが揃ってからうどんを出したいんですけど。』

『ああ、そうだな普通は12時の鐘がなってからいらっしゃるから5分位には皆様お揃いになる。茶碗蒸しなら12時に蒸し上げてセットしていってもいいんじゃないか?』

(5分位という事は10分位だ。なので12時には麺を茹であげ盛り付けだせば10人前位なら10分位はかかる

。じゃぁ、15分位前に茹で始めよう!15分だから7分か8分前)

などと考えていたらふと、声がした

『やぁやぁ、急いで戻って来たのだが、まだ早すぎたかな?まゆみ。今日の手伝いは僕だからね?』

と刹様達があやかしの国から帰って来た。

『刹様、紅さん、銀さん、おかえりなさい。今日はゼフさん達は手伝ってくれてるので刹様はゆっくりしてお待ち下さい。皆さんが揃ってからうどんをお出しします。』

と微笑めば 刹はがっくりと肩を落とし 悲しそうな顔で、紅と銀は笑顔で

『ただいま』

と言ってくれた。そうして刹様を迎えていると今度はメアリー様の声が

『こんにちは まゆみさん。今日は楽しみで早く来てしまったわ!作る所も見れるから私楽しみで仕方なかったの!まだ作ってないわよね?』

作る所から見るのを期待していたメアリーが姿を表す。そんなメアリーにゼフ達は驚いていたが刹達とアオイ達は平然としていた。多分そうなるだろうと思っていたのだ。

『こんにちは メアリー様。楽しみにしていて頂いて嬉しいです!皆さんが揃われる前に麺を茹で始めるつもりなのでまだ作ってないですよ?』

と笑顔で挨拶をすれば メアリーも嬉しそうに 良かったと微笑んだ。

そして王族の皆がメアリーと同じ考えだった様で次々と集まり12時の鐘を待たずして、皆が揃った。




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