食事の決まり事 2
(さぁ、今日は何のうどんをつくろうかな?)
とニコニコ笑顔のまゆみ。彼女は今まさに朝食を食べ終わり、コーヒーを飲んでいる皆の顔を見ながら自分もコーヒーを飲んでいた。
何故彼女が食後にかかわらずすでに昼食の事を考えているかといえば、元々本日の昼食にうどんを作る約束だったのもあるのだが一緒に住む事になった皆が自分の作るご飯も、勿論うどんも食べたいと言ってくれたからである。皆と早く仲良くなりたいと思っていたので自分の料理に興味を示してくれるのは嬉しい! なので自然と笑顔になり、今からお昼の事を考えてしまっているのだ。
そんなまゆみの笑顔を見ながら他のメンバーもどこか嬉しいそうである。同じ屋敷に住む紅一点のまゆみがニコニコと機嫌が良いので回りも自然とつられしまっているのだ。
『やはり女性が笑顔だと場が和らぐねぇ。そんなにニコニコとして何を考えているんだい?まゆみ?』
と刹がまゆみに訪ねると自分がニヤニヤしていた事に気がつき、少し照れ自分の顔に手をあてながら
『そんなに解りやすくにやついてましたか?皆がうどんを食べたいと言ってくれたのでちょっと嬉しくて、お昼は何のうどんにしようかなぁとか考えてました』
『ははっ、まゆみは可愛いなぁ、でもまだ朝食を食べ終わったばかりだよ?そんなに気合いを入れなくても何が出てきても誰も文句は言わないから気楽に考えておくれ?』
『はい、ありがとうございます。何を作るのか考えるのは嫌いじゃないので食べ物の事ばかり考えてたりするんです。基本的に自分の好きな物とかが多いので食べたいものとかあったら遠慮なしに言って下さいね?』
素直に嬉しい事を本当に嬉しそうな顔で喜ぶまゆみに皆もニコニコだ。
皆の食べたいものも作ってくれると言うまゆみにさっそく皆からリクエストがでる。皆のリクエストには順番に作ると約束をしこれからの共同生活をする上での決め事などを決めていく。
まずまゆみが食事を作るのは基本的昼食にしようという事、都合が会わない場合は前日までに申告する事。
食事の準備には交代で一人手伝いをする事。 ちなみになぜ六人分位で手伝いがいるのかと言うと 刹が
『では毎日食事の準備は僕が手伝おう』
などと言い出したのに対し、他のメンバーが
『刹様だけずるい!』
となり交代で手伝う事に決まった。
気が付けば たったこれだけの事を決めるのにかなりの時間がかかり
すでに9時を過ぎていた。10時のおやつが近いため屋敷に人が出入りする。執事の様な人とメイドの様な人が軽食やスイーツなどを運んで来る。食事の時のままダイニングテーブルにいた六人はリビングのという名の広間に移動しソファーに座る。そうしてセッティングされた軽食やスイーツと紅茶を楽しんだ。
『僕達はいったん国に帰ってお昼には此方に戻ってくるよ』
と刹様達は (あやかしの)国に用事を済ませに屋敷を出た。
『では、今日は休みなので私達はゆっくりしましょうか。まゆみ様は昼食の準備に早目にホールに行かれますか?ホールには私とアオイも一緒に行きますので良い時間を仰って下さい』
とたかふみが アオイとまゆみに声を掛けると まゆみは眉を寄せた『様』
『えっ?』
『様はいらないです。せっかく一緒に住む事になったのに様付きだと仲良くなれた気になれないです。たかふみ君の方が年上ですよね?二つ?あっ、こっちじゃ一つか。遠慮しないと言ったんだから名前も様なしでお願いします』
と笑顔でお願いするまゆみに呼び方を変えるのに照れたのか赤い顔をしながら
『では、まゆみさんと呼ばせて頂きます』
と(様付き)から(さん)呼びに変更したたかふみ。
早速呼び方を変えてくれた たかふみにニコニコ笑顔で答えるまゆみ。
『はい、ありがとうたかふみ君。お昼の準備は、何を作るかで時間がかわるけど…13人分でいいんだよね?まぁ、15人分としても30分か40分前位から作りだせば12時には出来上がると思うよ?……違う、こっちの感覚だと15分か20分だ。えっと、だから余裕をもって30分位前にホールに着けば問題ないと思う』
と説明をして フッと大事な事が頭をよぎったが今は考えない様にしてたかふみを見る。そんなまゆみに たかふみは
『では、11時半にはホールに着く様に20分には此方を出る様にします。まだ一時間位時間がありますから ゆっくりして下さい』
そうして時間がくるまで各自 自由に過ごし屋敷を出る時間にリビングルームに集合という事になったのでそのまま少し3人で話をして まゆみは一旦自分の部屋に戻った。




