表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/16

耳塚

<マンションの一室で人体の一部発見 住人所在不明>

次の日にはニュースになっていた。

3日後には、<人体の一部>が<複数の人体の一部>になっていた。


4日が過ぎた。

薫からは連絡は無い。


あの日、薫は聖の車で出て行った。

当たり前だが、随分慌てて。

その前に、動画を自分のスマホに取り込んで、どこかに(多分、警察署)送っていた。


「カオルさん、大変よね。奈良の事件だし」

久しぶりにマユに会えた。

日付が変わる頃、

パソコンの前に座っていたら、

隣に置いた椅子に……座っていた。

ベージュのダウンコート。

白い顔に長い髪。

マユは変わりない。

初めて会ったときから一ミリも外見の変化は無い。


「早く車を返して欲しいんだ。カオルは動物霊園にバイクで行って、此処までは山田社長と歩いて来たらしい」

バイクは中型。

聖は原付免許しか無い。

山田鈴子が、車を貸すと言ってくれた。

でも、ベンツは運転に慣れていない。


「食料の買い出しに行けないんだ。……スバルが居なくなったから、冷凍庫に何があるのか把握していないんだけどね」

「そうなの。スバル君、……消滅したのね」

マユは、眺めていたニュース記事から目を逸らせた。

 悲しげな瞳は、作業室のドアにむいている。


「まあ、消えたんだけど……それでカメが生き返ったから……」

聖は上手く説明出来ない。


「えっ?カメが生き返ったの」

「うん」

一部始終を話す。

 が、左手の手袋を外したとは言ってない。 

 すっかり忘れていたから。


「生まれ変わったのかも知れないわね……奇跡が起こったのかな」

マユは、もう悲しんではいなかった。


「猟奇殺人の可能性、あり、なのね」

「もう、それで決まりだろ」

「ここ、『耳塚』について書いてるわ」

人体の一部が<耳>だと、今は報道されていた。

「昔、殺した敵兵の耳を持ち帰った、アレだな。耳塚、京都にあったよ」

「手柄のアカシね。塩漬け、酒漬けにして持ち帰った……今度の事件では、ワインに漬けて保存していたのね」

「そうだよ。記事には出てないけど。あと、4つの袋に……何だっけ。入れ歯と、診察券と……」

あと2つが思い出せない。

「その動画見たいわ」

「それがさ、無いんだよ。薫が消してる」


「成る程ね。刑事さん、抜かりないわね。それで、……随分綺麗な部屋だったのね?」

「うん、」

覚えている限りを話す。


「住人は若い男性。殺人だとしたら……殺害現場はマンションじゃ無い気がするわ。

遺体から耳と小さな所持品を持ち帰った、つまり……別の場所で殺したのだと思う」

「殺人事件だろ?」

「まだ分からない。殺したとは限らない。たとえば……死体を見つけて、耳を持ち帰ったのかも」

「まさか……道を歩いていて死体を見つける確率は低いよ」

と言ったが、

現にマユの死体は森に放置されていると、気付いた。

もちろん口には出せない。


「それぞれの耳が身体から切り取られたのが何時か、調べないと、まだ分からないわね」

「そうか。連続殺人か、一度に4人大量殺人か、今のところは不明なんだ」

「4人?……セイはどうして被害者が4人と思うの?」

「それは、冷蔵庫に4つ、被害者の所有物らしいモノが、並べてあったからだよ。耳は3つ確認出来た。全部で4つに違和感はないよ」

「成る程ね。……とても奇妙な事件ね。4人殺して<耳>と所持品を保管。コレクション?殺人の証?」

「犯人は、まともな奴じゃ無い」

「狂人?……それにしては4人殺して、発覚していないのは凄い事よ……謎が多すぎる」

マユの声はよく透っている。

この事件に好奇心を刺激されているに違いない。

聖は、ちょっと嬉しい。


「絶対、明日にでもカオルは来るよ。車を返しに来る。その時に、事件の事、オフレコで喋ってもらう。……だからさ、」

(だから、明日の晩も会いたい)

続きは、口に出せなかった。

恥ずかしくて言えない。

言えなくて、適当に事件のニュースを検索する。


「あ、速報よ」

マユが言う。

「ホントだ」

……奈良市で人体の複数の<耳>が発見された事件の続報

……<耳>の1つが、消息不明のマンションの住人であると判明。


<咲良春樹 21才 医大生>

猟奇事件に皆の反応は早い。

咲良春樹の画像は、既に流れていた。


「この人、セイに、似てるわ」

マユが呟いた。




「剥製屋事件簿シリーズその九」18禁に相当するとご指示頂き削除いたしました。認識不足で申し訳ありませんでした。15禁に書き換える力量がございません。ボーダーライン無知です。今後も指示があれば削除致します。拙作を読んで下さってる方に、非常に申し訳なく反省しております。この覧でお詫び申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ