ゴブリン
コポ......コポポ......
キラキラした気泡が上に登ってパッと弾けた。
透きとおったアクアマリン色した水中
浅い微睡みの中、意識は水中の中に漂う自身に向いていた。
どれだけの時間此処で過ごしているのか
永遠と続く途切れない気泡
全てのことがどうでもよく思えてくるほどの心地よい浮遊感に、何も考えられなくなってくる。
「...... ......?」
遠くで気泡がはじける音と密かに話し声が聞こえて来た気がした。
急速に開ける視界に雛菊は混乱する。
周囲一帯は、鬱蒼と生い茂るジャングル
物言わぬ木々はその冷たさを際立せ
目の前の唸る生き物を、より鮮明にさせた。
まるで、ゲームの中から出てきたようなその姿は異質そのもの
引きつった暗めの緑色の皮膚
斜め横上にピンっと吊り上がった耳
ギザギザに尖りながら鈍い光を放つ
唾液をダラダラ撒き散らすのは、餌が目の前にいるからだろうか......
赤く揺らめく目は、雛菊を捉えて離さない
現実にはあり得るはずもないゴブリンの存在に、雛菊はただ呆然とした
獲物を前にしたゴブリンは、呆然とする雛菊など気にする訳もなく、ただ欲望のままに襲いかかる。