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魔法書少女と異世界  作者: にゃん太さん
3/7

闇黒き獣と落ちて

吐き気を誘われる腐った肉の腐敗臭


それが、荒い息遣いと共に漂ってくる。


ハッ……ハッ……ハッ……


木の葉を踏みしめる音が段々近づいて来た。


暗く見通しの悪い木々の陰から這い出した塊


それは……


どんなものでも簡単に切り裂いてしまうであろう鋭い鉤爪


暗闇に同化している毛はボサボサで、所々何かが乾いた跡がある


眼は人間で言うところの白目の部分が墨のように黒く、黒目の部分は血のように赤い


瞳孔は羊のようにキュッと細まり横棒のように一線引き、何をするわけでもなくただ雛菊をジッと見つめている


大きさは、三メートル程と雄のヒグマ位の大きさだが、見た目は狼だ。


裂けた口からは舌が力なく垂れ下がり、絶え間なく滴り落ちる唾液は地面に消えて行く


獣は一歩、また一歩とにじり寄る。


木の葉の踏みしめられる音が響く度に雛菊は、後ろに後退していく


トン……


背中が後ろの柵に当たるのを感じた。


もう逃げ場がない


見たこともないような大きさの獣に足が震える


獣がグチャッと大きく口を開け、その恐ろしい程に尖った三角形の歯を見せて、飛びかかってきた。


雛菊は、咄嗟に後ろへと体重をかける


ガラッ……


謎の浮遊感と、頭上をかすめする鋭い爪に意識を落とした。

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