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僕のための物語。  作者: ココナッツ
1/3

プロローグ

初投稿です。

諸々下手な部分はご容赦ください。





「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」

僕は逃げていた。街灯が壊れた、三日月の照らす暗い道を。

あいつらに捕まらないように。

僕はまだ生きていたいから。

僕はまだ死にたくないから。

弄ばれたく、ない


「ハッ、ハッ、ハッ、ッ!」

大きく割れたコンクリートにあしをとられ、バランスを崩してしまう。

だけど僕は走るのを止めない。止まったらすぐに追いつかれてしまうのが目に見えてる。


「…6時…!」

でもその悪夢ももう終わる。あいつらは日が昇ると姿を消す。その後3時間、あいつらは決して姿を見せない。

ようやく訪れる人類の休息期間 『白昼夢』


「ダァッ…、ハァッ、ハァッ、ハッ…」

躓いた所の近くにあった物陰に隠れる。

疲れで棒のようになった足を投げ出したい衝動を堪えて、なるべく音をたてないよう、膝を曲げ足を抱え、間に顔を埋めて時が過ぎるのをじっと待つ。


遠くの方で笑い声が聞こえる。あいつら独特の甲高い、下卑た笑い声。あいつらが笑う条件はいつも同じ。

すなわち、人が襲われた時。


「っ…!くっそ…」

もう何度も聞いたはずなのに、聞けば自然と体が震えてくる。


「…死にたくないよ…!…まだ生きていたいよ…!」

漏れ出てしまった声。音を立てないようにしてたのに。こうなると、堪えていた気持ちが溢れ出てしまう。

涙が止まらない


(なんか心が弱っちゃってんなぁ…。っちっくしょ…)

自嘲気味に考えていると、なにやら視界の隅が明るい。

どうやら夜が明けたらしい。そういえば、耳触りな笑い声も聞こえない。

どうやら生き延びたようだ。


顔を上げると、澄んだ朝日が目に染み込んできた。

僕にはその光がどうにも眩しくて、目を閉じてしまう。

すると、さっきまで怯えていたはずなのに、眠くなってきた。

この眠気は安心感からくるものなのか。溜まりに溜まった疲労によるものか。

目を擦ろうとしたが、止めた。


僕の手は血にまみれている。濃い濃い赤い液体に。少し乾き始めているそれは、人のものではない。

あいつらの血だ。


憎く醜いあいつらの。


自然の害であるあいつらの。


死に絶えるべきあいつらの。


滅ぼされるべきあいつらの。


生きている事が罪なあいつらの。


汚く穢れたあいつらの。




師匠を殺したあいつの血だ





目を擦るのをやめたら、より一層眠くなってきた。

(今この御時世に、外で一人で寝るとは馬鹿か僕は)

なんて考えていたら、瞼が重くなってきた。


僕はそのまま、睡魔にされるがままに、意識をふっと手放した。


遠くでひとの声が聞こえる。





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