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盗難車の末路4

車を持ってきてくれてから、また彼との連絡はぷっつりと途絶えたままだった。


その日も名義変更の件で彼に連絡するも電話は繋がらないまま。

ただそれだけだったらいいが、最近は1、2度コールすると電源が切れてしまったりするのだ。


電話の向こうは無機質な音声だけ。

仕事忙しいのかな? と思う反面、私避けられてる?

そんな両極端な思いが駆け巡る。


やってはいけないと思いつつも私は夜のドライブに出かけてしまった。


そう、名義変更も保険も入っていない車で。


怖いなと思ったのは始めのうちだけで、走りだしたらそんなことは考えなくなってきていた。

星空の綺麗な夜だった。


一人きりのドライブは快適で、少々古いがそれを除いては車も絶好調。

1時間程走った後、ふいに前方の車に目をやると、それは私の盗まれた車と同じ車種。

色も同じだった。

ただ違うのはナンバーだけだった。


「私の車はどこに行ってしまったんだろう?」

そんな事を考えていたら、信号が赤になったのに気がつかなかった。


あっ危ない!


そう思った時には既に遅く、前の車にぶつかっていた。

私は慌てて車を降り、前の車へと向かった。


運転席から出てきたのは男の人で、顔面をぶつけてしまったのか、顔を下に向け


「ちょっと、急いでいますので連絡してきます。」

と走っていってしまった。


私は動転していて暫くそこに立ち尽くすも、いつまでたっても男の人は帰ってこなかった。

仕方なしに、自分の携帯から警察に電話をした。

こんな短期間に2度もお世話になるなんて。


さほどかからずに警察はやってきた。

そして、まだ男の人は戻って来ず。


免許証を提示して、事の次第を説明した。

ぶつけてしまった車から車検証を取り出すと、警察官の態度が一変した。


貴方の車です。


警察官はそう言った。

私は直ぐには理解が出来ず、もう一度聞きなおすも、返ってきた言葉は同じだった。

よくみると、助手席にある煙草の焼け跡。

それは彼がつけたそれと同じだった。


頭が混乱してきた。

私の車?


そして、警察官が潰れてしまったハッチバックを覗くと


そこには女の人の足が見えた。

ハッチバックをこじ開けよくみるとそこには息の絶えた女性がいた。


「この人は?」


「知りません。だから私はこの車に。」

必死になって説明するも名義は他人のもので。


そのうちに応援にきた警察官達に囲まれてしまった。

そして、車から女性が出されると。

中学の同級生康子だった。


「あっ」

小さく声を出し、顔を背けてしまった。

すかさず警察官が


「知っているのですね。」と


私は嘘もつけず

「はい。」と返事をした。


「警察に同行願います。」

それはとても冷たい声だった。




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