メリスの手紙
朝食を済ませた燐とキャロルは、午前中に家の清掃をする事にした。掃除するといっても、こまめに掃除はしていたので、言うほど汚れてはいない。
床を掃いたり、ゴミを捨てたりと簡単な事だけで家中がピカピカだ。露天風呂も掃除してもいいのだが、お湯を綺麗にする魔法玉のお陰で常に清潔である。
人口温泉ではあるが、源泉かけ流しとやっている事は同じなので、いつでも温泉に入れるわけだ。
「よっし、掃除はこんなものかな」
「きれいになった!!」
「だな。きれいになると、やっぱり気持ちがいいな~」
燐は綺麗になった自宅を確認すると、次の家事に移ろうとする。しかし、燐とキャロルのお腹が空腹サインを出していたので昼食にすることにした。
お昼ご飯は簡単に、昨日のからあげの残りを使い丼にする。白米の上に好きなだけ乗っけて、燐特製の出し汁をかけてやると、普通に食べるのとは少し違った料理に仕上がるのだ。
「やっぱりお兄ちゃんの作る物は、何でも美味しいね!!」
「キャロルが喜んでくれたならよかったよ」
「おかわりする?」
「大丈夫!!もう、お腹一杯!!」
朝食もだが、さすがに昨日もあれだけ大量に食べたのでは消化はしていても、そこまで食べれないようだった。
燐は余った鶏のからあげも勿体ないのでパンに挟み、チキンカツサンドを作ると宝物庫へと放り込んだ。昼食を済ませた燐とキャロルは、午後の時間を使って花壇の手入れを始める。
雑草を抜き、花壇に水をやり、芝生を刈り揃えセイラの似顔絵を描いてみたりもした。そんなほのぼのとした時間を過ごし、田んぼにも出かけてみる事にした燐とキャロル。
「いっぱい実ってる!!これでまた、おいしいご飯が食べられるね!!」
「そうだね。さぁ、収穫しちゃおっか?」
「おぉー!!」
燐とキャロルは手馴れた手つきで収穫を始める。今回は前みたいな化け物サイズではないので、一般的な収穫をする事が出来た。
残念な事にどんどんと収穫を進めていくと、気付けば用意していた袋全部使いきってしまっていたのだ。これまでに準備しておいた袋は、前に収穫したものを保存する際にほとんどつかってしまっていたので、しょうがなく積み重ねておいておく事にした。
とりあえず袋詰めにしたものは、水車小屋の倉庫にしまっておき燐とキャロルは自宅へと向かう。今日はよく働いた気がするが、あまり疲れてはいない。だからか、燐とキャロルはいろいろな料理を作ってみる事にした。
「ねぇねぇお兄ちゃん!!次は何作るの!?」
「そうだなぁー……。おやつ系も作るか、ドーナツとか……」
「私も手伝う!!」
燐は米粉を使ったドーナツを作りはじめる。作業自体は簡単なので、キャロルも一緒に手伝いながらドーナツを完成させる。
その他にも冷蔵庫に残しておいた卵白を使い、クッキーやケーキも大量に作ってみたりもした。いくら作りすぎても燐の宝物庫がある限り、いくらでも保存が出来るからだ。
まだまだ時間に余裕があると思っていた燐だったが、気付けば日は沈み、室内を照らす魔法玉の光に満たされていた。
「もうこんな時間か……。どうしよっか?」
「お兄ちゃんに任せる」
「じゃぁ、せっかくなんで少し食べよっか?」
「うん!!」
燐とキャロルはまるでパーティーでも開くのかという程の料理を目の前にして、食事を始めた。燐とキャロルはこの数日でいろいろな事をして遊んでいる。
ピクニックに出かけたり、天体観測に出かけたり、田植えをしたりと出来る事はなんでもした。そんな日々の中、城に残してきた羚やエルディア・セイラやカナタの事を考えることもあったが、何も言ってこないので順調なのだろうと燐は思っている。
まだまだやってない事はいっぱいあるので、今日も何をしようかと燐とキャロルが相談している所に訪問者を知らせるノック音が響き渡った。
時間でいうと正午前といったところだが、この場所を知っている者は限られている。そんな限られた訪問者は反応をしなかったせいか、声をかけてきた。
「ちょっと、燐?キャロ?いないのぉ~?」
「この声は……」
「セイラだぁぁぁぁぁ!!!!」
そう。この声の正体はセイラで間違いない。キャロルが声のする入り口の扉に走っていき、ゆっくりと扉を開く。
そこには間違いなくセイラの姿があった。但し、もう一人見知らぬ妖精の子を連れている。
燐も遅れながら扉に向かい、セイラともうひとりの妖精の子を見て驚いたような表情をすると、とりあえずは家の中へと招き入れた。
「どうぞ」
「ありがとう。お邪魔するわね」
「あぁ……」
燐はキャロルの手を握りキッチンへと向かう。その先をセイラと見知らぬ妖精が並んで歩くのを燐はしっかりと目に焼き付けている。
燐はセイラに聞きたい事があるようだが、とりあえずは椅子を勧めみんなが座ってから話を切り出巣事にした。
「なぁ、セイラ?これはどういうことだ?ふざけているんだったら、セイラだって許さないぞ?」
「違うの燐!!お願いだから、そんな怖い顔しないでよ……」
「……悪かった。とりあえず、話を聞かせてくれ」
今セイラの隣に座っているのは、セイラと年齢や背格好は変わらない感じの妖精の女の子だ。ただ燐が言いたいことはそんな事ではない。その妖精の女の子はロングの青い髪を持ち、柔らかい笑顔を浮かべている。
そして少々幼くはなっているが、容姿はアリアそっくりなのだ。これが悪ふざけ以外なんだというのだろうか。
燐は一先ず怒りの矛先を納めると、キャロルの様子を窺う。扉で姿をみてからずっと、キャロルは顔を伏せている。きっといろいろな感情がキャロルの中で渦巻いているに違いない。
「大丈夫かキャロル」
「平気……」
どう見ても平気そうではなかったが、このままでは話が進まないので燐がセイラの方を向くと、事情を説明し始めた。
「この子の名前はアリア。正真正銘、キャロの母親よ」
「セイラ!!!」
燐が叫んだと同時にキャロルが服の端を掴み、セイラに詰め寄ろうとする燐を引き止める。そしてセイラも予想していたのか微動だにせず話を続けた。
「落ち着いて燐。この子はアリアの生まれ変わりよ」
「生まれ……変わり……だと?」
「そう。この子はアリアの生まれ変わりなのは揺るがない事実よ。詳しくは知らない。けれどお母様とエルディアさんが何かをしたのは事実。実際、この子を生まれ変わらせた代償にお母様はいつ目覚めるかわからない眠りについたわ。エルディアさんからお母様の言伝を貰ってきているわ」
燐がセイラから一枚の便箋を受け取る。そこには燐様へと書かれていた。燐はゆっくりと封をとくと、中に入っている一枚の手紙を開き書いている事に目を這わせる。
そこには間違いなくメリスの文字で、こんな事が書かれてあった。
燐様へ
勝手な事をしてしまい申し訳ございません。
私はどうしても燐様に恩返しをしたかった。
しかし、恩返しする術を私は見つけられずにいました。
ですが、そんな私にも出来る事がやっと回ってきたのです。
それは燐様の家族になった、アリア様を生まれ変わらせること。
燐様は吸魂石のことを覚えていますか?
あれには別の使い道がある事を、エルディア様に聞きました。
成功しても失敗しても、私は長い眠りにつく事になると言われましたが
私はそれでもよかった。
誰かを生き返らせる事の出来るこの石が、正しい用途で使われなかったのは
死んだ者を完全な状態で生き返らせる訳ではなく
他の何かに定着させる事で生き返ったとする魔法であり
使用者の必要魔力が膨大である上、成功率が低いという事でした。
そこで考えたのが私達の出生についてです。
私達、妖精族は子を成す事も出来ますが大いなる自然からも生まれてくる存在。
偶然ではありますが、もうすぐ生まれてくる子にアリア様の魂を入れ込み
吸魂石の中にある魔術という力を使い、転生魔法を行使したのです。
私は眠りについてしまうので見届けることは出来ませんが
元々生命力に溢れている存在です。
きっと成功していると私は信じています。
どうか私の事は心配しないで下さい。
妖精族の寿命は長い。それこそ何千年生きている者も珍しくありません。
だから身勝手な私の行動を許してください。
目覚めたとき出会えるならば、私を笑顔で迎えてください。
女王メリスより
いつも読んで下さり有難うございます。
感想・意見・誤字報告ありがとうございます。
おはようございます。
今回は手紙で話を区切りましたが、どうでしたでしょうか?
書けない間、どういう順序にしようかともやもやとしていたら
こんな感じになりました(笑)
ギリギリの完成(?)です(*oДo;≡oДo*)
そして、次話の流れ。
勿論、まとまっていません!!
どうしましょうか(゜□゜;)アワワ(;゜□゜)アワワ
そんな感じですが、明日までに書き上げようと思います!!
それでは次回更新でまたお会いしましょう。




