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買い物へ行こう!!

 燐とキャロルが家に帰ると、いつも使っていた机に椅子に鍋や階段が目に入った。でもそこに必ずいたはずのアリアはもういない。


 寂しさを感じながら燐とキャロルはリビングへと足を踏み入れた。


「ただいま!!」


 キャロルが元気に挨拶をして、部屋に入る。燐もゆっくりと部屋に入ると、キャロルが階段をかけていくのが見えた。


 燐はキャロルの後を追いかけ、部屋が並ぶ寝室エリアに向かうが、キャロルの姿を見失ってしまう。きょろきょろと辺りを見渡すと、既に階段を下り寝室エリアの中心に植えている月光樹の根元に立っていた。


 燐がキャロルを見つけ手を振ると、キャロルも手を振り返してくれる。その様子を見て、燐も月光樹が植えてある場所へと続く階段を下りキャロルの元へ辿り着いた。


 今は昼間なので月光樹本来の働きはしていないが、太陽の光を反射している姿も綺麗である。久しぶりにじっくりと眺めていると、キャロルが燐の手を引っ張ってきた。


「ねぇ、お兄ちゃん。外にいこ!外に!!」

「じゃぁ、いこっか?」

「うん!!」


 燐はキャロルに手を引かれるまま、屋外庭園に向かう。そこにはいつの間にか、植えていた花が全て満開になっており2人を出迎えてくれる。


 その中に綺麗なテーブルと椅子があり、何一つ色褪せることなくそこにあった。けれどもう、その椅子にはかつてのように座ってくれる人がそろう事はない。


 キャロルはそんな椅子に座ると、庭を眺めた。何を思っているのかはキャロルにしかわからないが、笑顔でいてくれる事に燐は少し安堵している。


「ねぇ、お兄ちゃん」

「ん?」

「お母さんって……もういないんだよね……。本当にもう帰ってこないんだよね?」

「……。そうだよ。アリアさんはもういない」


 キャロルは泣く事はせず、静かに燐の言葉を胸に刻んだ。お別れだってしたし、燐がいればキャロルの心が折れる事はないだろう。もう少しだけ大人になってから、キャロルはアリアの墓参りにいこうと思っている。


 今はまだアリアの死を受け入れたくない心から、キャロルの足取りは重い。それでも近い未来、キャロルもそれを完全に乗り越えていけるはずだ。


「そうだキャロル。もうそろそろお腹がすいたんじゃないか?」

「ん~……。少しだけ?」

「そっかそっか。まぁ、作っていればお腹も空くだろうし、料理始めようか?」

「わかった!!」


 燐とキャロルは庭をあとにして、キッチンへと向った。燐はキャロルに何が食べたいかと尋ねたら、からあげがいいという。


 この辺りではあまり肉が出回っていないせいもあるが、急に準備するとなると大変だ。それに鶏肉だけ揚げるわけではないので、燐とキャロルは買出しに出てみることにした。


「お店、やってるかなぁ~」

「やってないの?」

「んー……終戦したばかりだし……」


 燐は心配そうにキャロルを連れて所業区へと歩いていく。商業区につくと、あまりの活気に燐は絶句した。普段も賑やかで活気はあるのだが、今日は特に屋台も多く出店している。


 あまり見かけないだんごの様なものや、魚貝系のスープを売りにしている所もあった。まるでお祭り会場のような熱気に燐は酔いそうになる。


 キャロルは楽しそうだが温暖な気候な土地でこれだけ活気があると、相当の熱量を放出している為、燐は何もしていないのに疲労感が芽生えた。


「ねぇねぇ、お兄ちゃん!!あっちにいってみよ!!」

「お、おいっ!!そんなに急がなくても大丈夫だって!!」


 キャロルに引きずられるまま燐は奥へ奥へと進んで行く。燐とキャロルがいろいろな店を物色していると、有名人の燐はあっという間に囲まれてしまう。


「英雄様、遊びに来てくださったんですか?ちょうど今は勝利を祝ってのお祭り騒ぎですので、本当にいい所に来てくださいました。よかったらこれを」

「えっ!?悪いですよ!!」

「まぁまぁ」


 燐は押し付けられるまま、食べ物をもらった。それを皮切りに、燐の両手では持てないくらいの物量をプレゼントされる。


 勿論キャロルも例外ではない。キャロルもシャークリアでは名の通った存在なのだ。燐と共に王女を救い、悪漢を追い返した美少女として人気急上昇中なのである。


 当の本人も満更ではない様子で、笑顔を振りまきながらファンを着実に増やしていっている模様だ。好意はありがたいが、これだけ物があると身動きもとれないので、燐は全ての物を宝物庫に収納した。


「ふぅ……」

「お兄ちゃん。私のもいれて……欲しい」

「あぁ、ごめんごめん!!すぐに入れてあげるから!!」


 燐はキャロルの上に山積みになっている食べ物や雑貨なんかを一度宝物庫へとぶちこんだ。宝物庫の中では時間が経たないのか時間が遅いのかはわからないが、数ヶ月前のものでも熱々で取り出せるので、燐は何かの機会に食べ物は消費していこうと思った。


 なんとか持ち物がなくなり自由を得た燐とキャロルは鶏肉が欲しい事を伝えると、売っている場所をみんなが教えてくれた。


「ありがとうございます。それじゃあ、先を急ぎますので」

「それじゃあ、またね。キャロルちゃんも、暇なときは遊びにきてね?」

「わかった。絶対にまた来る!!」


 2人がなんとか屋台の人達から解放され、教えてもらった場所にいくと、それっぽい店が見えてくる。鶏肉に魚に野菜となんでも揃っている。


 燐は食材を物色しながら、ごぼうのからあげや小芋のからあげもいいなと考えていた。勿論食材の名前は違うのだが、見た目も味もほぼ同じなので問題はない。


「いらっしゃい!!どれにする?私のとこの物はぜ~んぶっ、新鮮だよ!!」

「じゃぁ、あれとこれと……鶏肉はある分、全部頂きます」

「はいはい!!……あれ?良く見たら燐様じゃん!!私のお店を使ってくれるなんて感激!!サービスしちゃうよ??」


 カナタとは違った意味で元気がいい妖精の子が胸を強調しながら燐を上目遣いで見つめる。


「それじゃあ、サービスしてもらおうかな。勿論、食材の方でお願いします」

「あはは。流石英雄様となると、これくらいの誘惑じゃ効果がないみたいだね。ここに商売に来ていた人間の男はだいたいイチコロなのに」

「いえ……みんなが解放的過ぎて、慣れました」


 燐がぼそりと呟いた言葉を聞いた食材屋の店主は、カラカラと笑いながら食材をまとめていた。手際はよく、肉の解体もしてくれるみたいなので燐は助かっている。


 次々と箱詰めにされたり、紐で括られたりしていく食材をみていたキャロルが積みあがっていくそれらを面白そうに見ていた。


 既にカウンターは食材で埋め尽くされ、店主の姿が完全に見えなくなる。すると裏の扉から出てくるんのが見えたので、燐は会計をする事にした。


「全部で5万Fなんだけど~、4万5千Fにまけちゃうよ!!で、ここで相談というか聞きたいことがあるんだけどさ」

「なんですか?」

「英雄様の家には広々としたお風呂があるって聞いたんだけど、本当?しかも英雄様が一人で作ったって」

「えぇ、まあ。確かにお風呂はありますし、俺が作りましたけど、それが何か?」


 燐は心の中で‘まさか入りにくるとか言うんじゃないだろうな……’と考えている。別に嫌がっているわけでも隠しているわけではないし、キャロルの事を隠す必要もなくなったので問題はないのだが。


 ところが燐の予想していた事ははずれ、どうやらお風呂を作って欲しいという事だった。もし作ってくれるなら、今回の食材はタダにしてくれる上、これからも優遇してくれるという。


 燐にとっては、結構ありがたい話ではある。まずシャークリアには肉が手に入りにくい。手に入りにくいというか、基本肉を好んで食べないせいで流通しないのだ。山菜をメインとし、魚や穀物を主に主食としている。


 しかし燐だって、まだまだ20代なのだ。肉のおいしさを知っているからこそ、まだまだ食欲は旺盛である。キャロルにしても、肉料理を食べるようになって、その虜になってしまっていた。


 これらの事を考えると燐に取ってはありがたい話である。結果、取引は成立した。


「わかりました、その取引に乗りましょう」

「やったね!!」

「こちらこそ助かります。あまり肉は出回らないし、あっても干し肉が少しじゃ寂しいですから」


 燐は取引内容を再確認して、今さっき手に入れた食材を宝物庫にしまい帰路につく。お風呂の建設場所や日取りは、また日を改めて決めることにした。


 今はとりあえず、新鮮な食材を使える事に心を躍らせ2人は森の中へと消えていくのである。

いつも読んで下さり有難うございます。

感想・意見・誤字報告ありがとうございます。


おはようごいざいます。こんにちは。こんばんは。

今日も夏って感じですね!!

昨日はポケGOイベント覗きにみなとみらいまで行ってきました。

あんまり行く気はなかったんですが、みんな元気ですねー(笑)

私にも子供が出来たら、こういう所に連れてっけねだられるのかと思うと

ふぅー……っと溜息が出てきます!!

さぁ残りの休みも満喫しましょぉー☆


それでは次回更新でまたお会いしましょう。

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