シャークリアの大結界
結界石の回収はほぼ完了した。あとは大量の結界石を置く場所を早急に確保する事である。
「みんな頑張ってくれているから、すぐに集まると思うよ」
「本当にありがとうございます」
「いやいや。お礼を言うんだったら君の国の民に言ってあげなよ」
メリスはエルディアに頭を下げ、この話しはここまでとなった。そして、メリスはエルディアが言っていた魔力の流れについて詳しく聞くことにした。
力としては微弱なものだけど、微弱であった為完全に魔力の流れを遮断・無効化していたらしい。それが開放されたことによって塞き止められていた魔力が勢いよく流れ出したという訳だ。
正直な所、今回の一件がなければメリスの結界内を探知する力でも気付くことは出来なかっただろう。それでも安心できる事もある。この魔力の流れは自然に発生している物で悪意が無いのはもちろんの事、それによって何かが起こるとしても植物が活発化する程度だ。
その話を聞き、燐は思い当たる節があったので聞いてみた。
「ちょっといいですか? その魔力は今塞き止められているんですよね?」
「そうだけど、それがどうかしたのかい?」
「塞き止められていた魔力って、これまでは無害だったんですか?」
「無害というか……。場所によっては最高の肥料になったかもしれないな」
燐は思い当たる節がいくつかあった。いくらもいでも翌日には実をみのらせてる果物。異常な成長をしていた、燐の改良した龍のうろこ。
それらの事を考えると、今回の話しは案外近いところで進行していたのかもしれない。ただでさえ燐達の住んでいる家はメリスの図らないで、外から見つかりにくいように細工されている。だからこそ余計に魔力が溜まっていたのかもしれない。
燐はある意味で長い間、不思議に思っていた事が解決したのでうれしいやら、うれしくないやらである。
「わかりました。なんというか、実感してました……」
「何かわからないが、解決してよかったな!!」
とりあえずエルディアは、何が何だかわからないけれど燐に「よかった、よかった」と頷いていた。
「で、エルディアさんの方は何か問題があるんですか? 聞く限りだと別に放置しててもいいような」
「ん? あぁ、そうなんだがな。一応、念の為……だな!!」
燐も事態が事態だった為、あとから変な影響が出ても困ると思いメリスにお願いする。メリスは最初っからそのつもりらしいので、試しに結界を張りなおし始めた。
結界を張りなおすと言っても、そこまで大掛かりな魔法ではない。既に張っている結界に魔力を行き渡らせてやるだけらしい。
メリスの体から魔力の流れを感じ始めると、遠くでも大きな力が呼応し始める。
「この魔力……妖精樹ですね!!」
「その通りです、燐様。この魔法は私の力と妖精樹の力が合わさって、始めてこれだけ巨大な結界を作り出す事が出来るんです」
にこやかにメリスがそう答えると、エルディアとカナタがユグドラシルに乗ってきた所から光が差し込む。その光が気になった燐は光の正体を確かめるべく、駆け出した。
そこで燐が見たものは、大小さまざまな魔法陣の山。空には数え切れない数の魔法陣が複雑に重なり合いながら、ゆらゆらと動いている。その光景も相当のものだが、地表に描かれたシャークリアを包み込むような巨大な1つの魔法陣は圧巻だった。
燐はその目で見て始めて、強大な結界魔法であることに気付く。他の者ならともかく、燐は魔力で直接加工する固有魔法『創造主』を磨き続けてきたせいで、魔力の流れを敏感に捉え初の魔力酔いを起こした。
ふらふらと危ない動きをしていたが、様子を見に来てくれたカナタに受け止められる。
「ほらほら、危ないよ燐」
「ありがとうございます、カナタさん」
「せっかく戦いも終わって一段落しそうなのに、自分の作った船から落下して死にました。……っとかさすがに恥ずかしいよ?」
燐は「ですね」と笑いながら、気合を入れるために自分の顔を何度も叩いた。
「もう立てるかい?」
「はい、だいぶ慣れてきました。それにしても、メリスの結界ってここまで凄いものだったんですね」
「当たり前じゃないか!えっへんっ!!」
なぜか、カナタが誇らしげに胸を張る。そんなカナタを燐は軽くあしらいながら、メリスの元へと戻っていく。
戻ると既にエルディアがメリスにどうして欲しいのか説明していた。やって欲しい事は大したことではないのだが、全てを把握出来るメリスでないと出来ない事でもある。簡単に言えば、塞き止められていた魔力がどこに向かっていて、どこに一番集中しているのかを調べてほしいのだそうだ。
簡単なようでいて実は凄いことなのだが、やっていることが探査魔法と変わらない為その凄さが分かりづらくなっている。
メリスがエルディアに説明された通り微弱な魔力の流れを感じ取り、数十数百という流れの中から正解を探す。
「自信はないですが、見つけました!!ここから南南西の方角です!!」
「わかりました。それではブリッジに行きましょう。ここからじゃ、操縦は出来ませんから」
「はい!!!」
燐はブリッジに行き、メリスの指し示す方角へとゆっくりとユグドラシルを向かわせた。ゆっくりとユグドラシルを移動させていると、メリスの城が遠くに見えてくる。どうやら城から近い場所であるようだ。
ゆっくりと移動していると、展開されていた魔法陣が消えていくのが確認できた。どうやら完全に結界の再構築が完了したみたいである。
そのお陰でメリスは、朧気だった場所も正確に感じられるようになった。そして遂に目的の場所に到着する。
「エルディア様。燐様。このあたりが一番、魔力の流れを強く感じます。ですが常に動いているものなので、どこかに集まっているわけでもなさそうです」
「わかりました。エルディアさん、俺は乗せて地上に降りてください。あとは足で探すしかないでしょう」
「そうだな、私も手伝うよ」
どうやらエルディアも手伝ってくれるようだ。メリスも燐達と共に地上に降りたそうだったが、カナタが気を利かせて2人で待っていると言ってくれた。
「それでは行ってきますね」
「私も何かわかりましたら、すぐにお伝えしますから!!」
「はいっ!!」
そして燐は龍の化身へと姿を変えたエルディアの背に乗り、ユグドラシルを後にする。あっという間に地上へとエルディアが降り立ち、周囲を確認してみたけれど、これといって変化はない。
燐とエルディアは、地面に触れたり木に触れたりしながら探索するが、いつも見るシャークリアの森だった。どうやら取り越し苦労で終わりそうで燐はほっとする。
それでも念の為、じっくりと散歩がてら探索を続けていた。すると燐は、前にも来た事があるような、所謂デジャブという感覚に陥ってしまう。森なんてどこも一緒に見えるだろうが、実際は切り株があるとか、川があるとか、かわった形の木があるとかと案外違うものである。
燐は少しぞわぞわとする感覚を感じながら、歩き続ける事20分。やっと燐はどこを歩いているのかを理解した。そこは燐にとって、特別な意味を持つ場所。
「ここは……」
「どうした? 何か見つけたのか?」
エルディアは燐に問いかけるが、燐は半ば放心状態で目の前に広がる光景を見つめる。その場所は太陽の光を浴びて、すくすくと育った花々が咲き乱れる広大な花畑。
そして燐がこの世界に初めて来た場所。この花畑を抜けて歩いていけば、月灯り通りに辿り着くのだ。燐にとっては特別な思い入れがある場所に、動く何かを発見する。
2人は駆け出し、蹲るなにかを見ると燐が声を荒らげ叫ぶ。
「羚!?」
いつも読んで下さり有難うございます。
感想・意見・誤字報告ありがとうございます。
おはようございます。
ついにやってきました、7月29日。
ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて
買ってまいりました!!
仕事が休みの人は朝からがっつりしてるんでしょうね
いいですねー……
別にスクエニの回しものじゃないんで、宣伝じゃないですよ(汗
それでは次回更新でまたお会いしましょう。




