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芽生えた友情 ~Best Friends Forever~

 燐は今メリスの元へと向っていた。昨日約束した通り報告とこれからの対策について改めて相談する為だ。


「そういえばエルディアさん、昨日は帰ってこなかったな」


 燐は結局帰ってこなかったエルディアの事も心配していた。キャロルから出かけるというのは聞いたのだが、それでも帰ってこないとなると少しは心配してしまう。けれどその心配もすぐに解決する事になるのだが。


「メリスはいるかな?」


 燐はいつも通りメリスに謁見する為にお目通りをお願いした。普段ならば、直ぐにでも通してくれる時間帯なのだが先客がいるらしい。


 メリスはあんな感じではあるが、ちゃんと女王なのだから国務がある。と言っても年間通して来客は殆どないのが現状である。


 それでも今は来客中なのだから、燐は出直す旨を伝えたのだが、少し待っていて欲しいと言われた。とりあえず待てと言われたので、燐は扉の前の廊下の壁にもたれ掛かって待っていた。


 すると中からメリスの声が聞こえてくる。


「どうぞ燐様。入ってきてもらってかまいませんよ!!」

「メリス? 入っていいなら入るけど、誰か来てるんじゃないのか?」


 そう言いながら燐は女王の間へと入っていく。今では女王の間には、テーブルと机が常にあり、お茶を飲んでいる事が多い。


 流石に正式な式典であったり、昨日のような事があった時は片付けているのだが、女王の間でお茶会をするなんて変な話であろう。


 そんなメリスのお茶会相手、もとい来客者はエルディアだった。昨日から姿を見せなかったのは、メリスと語らっていたという事らしい。


「エルディアさんだったんですね。昨日は帰って来なかったから、皆心配していたんですよ?」

「そうなのか? それは、すまない。一応キャロルには、簡単に伝えていたのだが」


 そう言いながらエルディアは悪かったという顔をする。燐としても、何も無かったのでそれ以上言うつもりは無かった。


 燐がエルディアと話していると、メリスが椅子を勧めてくれる。燐は勧められた所へ座ると、侍女の一人が新しいお茶とお菓子を持ってやってきた。


「失礼致します。……どうぞ、燐様。」

「ありがとう」


 燐の目の前に良い匂いを放つお茶が淹れられる。香りを楽しんでいると、メリスとエルディアにも新しいお茶が淹れられていた。


 今日のお茶は爽やかで力強い、ローマン・カモミールティーのような感じだ。苦味が少し強いが、砂糖やハチミツも準備されているのでお好みという事らしい。


 お茶の香りを楽しんだ所で、燐は一先ず家の管理をしてもらっていた妖精3人組の報告をする。


 管理は問題なかった事、燐が夕食に誘い泊まっていく様に勧めた事をだ。勿論、風呂場でのバカ騒ぎに関しては一切触れずに報告を済ます。


 次は重要な話だと本腰を入れて燐はこれからの事を話そうと思ったのだが、エルディアがメリスを尋ねてきた理由も同じだったらしく大方の対策が決まっていた。


 燐も決まった内容を聞くと、エルディアが別段問題なさそうな魔法を教えたらしい。主に侵入者や異変を察知出来る様な魔法に加え、自動・手動発動可能な防衛壁の生成する魔法などだ。


 燐もいろいろと案は考えていたのだが、そんな便利な事が出来るならばそれでいいと思うと同時に‘便利な魔法’という言葉にドールタークの事を思い出してしまう。


 そして、もっと強力な防衛用の魔法が存在する事も燐は知っていた。魔力を永久的に生み出す『魔力の泉』やそれを使って生み出す魔力障壁。


 魔力の泉と称された魔法は、有限魔力とされていた魔法概念を根本から覆す大発明だった。あの浮遊城を何千年もの間維持し続け、それでも有り余る魔力を生み出す永久機関。


 もしそれを使ってしまえば、このシャークリアは第2のドールタークとして戦乱が絶えぬ土地となってしまうだろう。エルディアは元より燐もその事を世に出すつもりはない。


 若干気持ちが沈みかけている燐にエルディアはある物を放ってきた。


「ちょ!? あっとっ……危ないじゃないですか、エルディアさん!!」

「すまないすまない。せっかく美味しいお茶があるのに辛気臭い顔をしているものでな」

「別にいいですけど……。それで、この箱なんですか?」


 エルディアは笑いながら、放った箱について説明し始めた。どうやら、この箱は例のダンジョンで持って帰ってきた先人の遺産の1つらしい。


 開錠が出来なかった物のひとつだったのだが、メリスがエルディアに話のネタとして見せたと所、開錠方法を知っていたのだ。


 ただ開錠方法を知っているというだけで、開錠出来るわけではない。その開錠方法というのが、パズルを解く事なのだ。


 箱自体は魔法による施錠がされているのだが、一般的な開錠魔法で絶対に開かないらしい。使い方は簡単で、道具袋を扱う時と一緒で魔力を注ぐと頭の中で大小様々なピースが浮かび上がってくる。


 燐は普段から宝物庫を使っているので、慣れた扱いで浮かび上がったピースを見ていた。


「燐様。これは投影も出来ますので、やってみていただけませんか?」

「……おぉ~!! 空中にパズルのピースが出てきた!! メリスに見せてもらった資質ステータスみたいだな」

「恐らく根本原理は一緒だと思います」


 メリスが浮かび上がったピースを指で弾くと、それに応じて投影空間内を漂う。どうやら使用者以外でも干渉可能らしい。


 エルディアが帰ってこなかったのは、メリスとこれに挑戦していたという事を教えられた。そのピース数は百を超え、立体パズルな上、完成形がわからないとなると苦戦するのは当たり前だろう。


「どんな形になるのかも気になりますけど、これだけ厳重な施錠がされている中身も気になりますよね」

「うむ。私が知る中でも、こんな複雑なのは見たことがない!!胸が躍るではないか!!」


 メリスとエルディアは昨晩から挑戦していたせいか、謎の友情の様なものが芽生えようとしている。もしかしたら同じ国を治める女王同士、気が合うのかもしれない。


 そんな2人が頑張った事を分かち合っている横で、燐は見やすい大きさに投影空間を調整し中のパズルをくるくると回しながら見つめていた。


 ふいに燐は、くるくると回していた手を止めパズルが漂う空間を見つめる。そして、音もしないパズルをゆっくりと重ねていった。


 燐が何かをしている事は分かっていても、何をしているのか気付いていないメリスとエルディアはお茶のおかわりをいただき、ケーキを食べている。


 そして何かをしていた燐の動きが止まり、投影されていた映像も消える机の上に箱を置いた。


「あら、もういいんですか? 燐様も挑戦してみれば宜しいのに」

「そうだぞ?そして私達と一緒に、いつか完成させるのも悪くない」


 メリスとエルディアは共に頷いているが、もう2人が挑戦する事はないだろう。理由は燐が先程、完成させてしまったからに他ならない。


「楽しみを取ってしまって申し訳ないんですが……多分……開錠できました」

「ふぇ?」

「は?」


 燐の放った信じられない発言に、メリスとエルディアは気の抜けた返事をした。そりゃ、2人が夜通し挑戦して一向に進まなかった立体パズルを物の数分で完成させたのだから。


 実際問題、燐の得意分野なのだからしょうがない。元々この世界に来たのも、更に複雑で難解なパズルと言うには程遠い難易度の物を解き明かしここにいるのだ。


 そんな事とは露知らない2人はありえないと言った顔を燐に向ける。


「燐様って……なんというか、すごいですね?」

「私も改めて納得したよ。君の力は本当に計り知れないな……」

「あはははは」


 燐の渇いた笑いが響き、3人の関心は例の箱に注がれていく。


「私が開けても宜しいでしょうか?」

「いいよ。別に誰が開けたって一緒だし」


 エルディアが少しそわそわし始め、燐もなんだか落ち着かない。箱を手渡したメリスを見ると、こちらも緊張と興味が入り混じった顔で箱を凝視していた。


「では……開けます!!」

「「……」」


 3人が見つめる中で、小さな箱がゆっくりと開いていく。その中にある物とは……。

いつも読んで下さり有難うございます。

感想・意見・誤字報告ありがとうございます。


今日も雨がポツポツ降っています。

湿気がすごいです!!

なので、そっと部屋の隅に滅多に買わない湿気取りをおいてきました。

きっと、帰宅したらちゃぷちゃぷですね!!(笑)


それでは次回更新でまたお会いしましょう。

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