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久しぶりの我が家

「お兄ちゃんお帰り!!」


 最初に帰りを出迎えてくれたのはキャロルだった。その後ろにはセイラとアリアの姿が見える。燐はキャロルに手を引かれながら女王の間へと向う。


 なんだかキャロルに出迎えられるのは久しぶりのような気が燐にはした。そんな燐の思いはともかく、一行は女王の間へと集まり、侍女の方がお茶を準備してくれる。


 改めてメリスが、先程見てきた事を説明し始めた。被害は想像よりも大した事はなく、エルディアの活躍によってあっという間に消火してしまった一部始終を伝える。


「森の火災に関してはエルディア様の助力で、迅速に解決する事ができました。ですが、犯人と思われる者はどこにもありませんでした」

「それはどういう事ですか、お母様?これだけの事をしておいて、何もしてこないなんて……ただの火災だったって事?」


 セイラの質問にメリスは間違いなく魔法によって生み出された炎である事を告げた。勿論その事も問題なのだが、何もしてこない事が不気味でしょうがない。


 それでも犯人が見つからない以上、何も対処する手立てがないので警備を増員する事くらいしか出来ないのが現状だ。


 メリスの考えとしては、こちらから何か行動を起こせばそれを理由に国に攻め入られてしまう。それこそ、燐がいなければ近いうちに誰かが短慮な考えを起こしていた可能性は高い。


「きっとまた同じ事で起こるかもしれませんが、今は現状維持に努めましょう」

「わかりました」


 いつの間にか話に飽きたキャロルとエルディアが遊んでいた。良く見ると折り紙のような物を作っている。


 ぱっと見では気づかなかったが、キャロルの被っている冠や指輪は全て折り紙で作られた物で床にも大量の動物を模した物が折られている。


 それらを両手に持ちキャロルが目を輝かせながら、エルディアと遊んでいた。


 いつの間に仲良くなったのか、浮遊城にいるときはそこまででもなかったはずなのだがっと燐は首を傾げる。


 どうやらエルディアの背が相当気にいったらしく、いつの間にか2人で空の散歩の約束まで交わしていた。そんな姿を燐は愛おしそうにみていると、エルディアがそっと手を振ってくれる。


「話は終わったのかな?」

「はぃ、だいたい終わりました。俺達は今から家に帰ろうと思いますが、エルディアさんも来るんですよね?」

「うむ」


 燐はアリアとキャロルにエルディアを加え、家に帰る事にした。メリスの説明では家をあけている間は、信用出来る子を使いに出していて、掃除とかをしておいてもらってたはずなのだが。


 燐達が家に入ると、中は静まり返っていて誰かがいるようには思えない。


 気配はしないものの、燐が納得いく掃除が部屋の隅々まで行き届いてるようだった。しかし、気配がないというのは何故だろうと燐は不思議に思う。


 もう既に帰ったのかと思ったが、まだ日が沈むには早いし、メリスにも帰って来させる様にお願いされていた筈だったのだ。


 別にいないなら別段困る事はないので、燐はエルディアとの約束通り食事を作る事にした。ただ材料がそこまでないので、燐はいろんな意味で簡単な料理を作る事にする。


「燐さん、私も手伝いますよ?」

「ありがとうございます、アリアさん。それじゃあ、ご飯を炊いてもらえますか?」

「はい!!」


 アリアがご飯を炊いてくれている間に燐は揚げ物を作る予定だ。その間にキャロルがエルディアの手を引き寝室エリアに消えていった。


 燐はアリアと談笑を交えつつ、飛行訓練の事をからかったりしながら調理を進める。その間にもキャロルとエルディアの声が燐とアリアの耳にも届き、一層笑顔で調理は進んだ。


「お兄ちゃん、お母さん!! みてみて!! お姉ちゃんがこんなのくれたの!!」

「ミニチュアの家具に小さな服? へー、エルディアさんが昔使ってたおもちゃかな?」

「あぁー違う違う。これは、魔法で圧縮して保管しておいた私の子供の頃の家具や服だ」


 もうその程度の事では驚かない燐やキャロルだったが、アリアだけは興味深そうにそれを見つめている。エルディアも一応姫だけはあって、かわいい洋服が大量にあった。


 それをキャロルが自慢げに、アリアがそれをまじまじと見つめるという光景に燐とエルディアは吹き出しながら笑ってしまっている。


「アリアさんも、着たいんですか?」

「え? あっ、そんなことありませんよ!! もう私は大人ですから……こんな可愛い服なんて……」


 そう言いながらアリアの目線はキャロルの持っている洋服に目が釘付けだ。キャロルが持っているそれを右に動かせば右に、左に動かせば左にとアリアが目線が左右に動く。


 キャロルも確信したようで、アリアの目線の前で服をひらひらと舞わせている。何回かアリアの目の前で往復させると、その動きをとめた。


「お母さんも一緒に着る?」

「ななな、何を言っているの!? 私はいいから!! それは、キャロルが貰ったものでしょ?」

「……」


 明らかに同様しているアリアをキャロルはじっと見つめたかと思うと、エルディアの元に駆けていった。


「お姉ちゃん。これ、お母さんも着れるように出来る?」

「ん? ふふっ、問題ないよ。私にまかせておけ」


 エルディアがアリアに少し意地悪そうな顔を向けながら答える。キャロルは素直に喜んでいるようだが、エルディアは間違いなく楽しんでいるようだった。


 燐はそんな、ほのぼのとした時間がいつまでも続けばいいなと心の底から思っている。アリアとキャロルがいつまでも仲良く暮らしていける事こそが燐の望みでもあった。


 それに今はエルディアも一緒に住んでくれるというのだ。きっと、これからの毎日は更に騒がしく楽しいものになるであろう。


「もうそろそろご飯できるから、席についてまっててくれよ」

「え? あぁ、すいません。途中から全部お任せしちゃって」

「気にしませんよ、あとは簡単ですから」


 そういって燐は盛り付けるかかる。白米をよそい、その上にあつあつのてんぷらを乗せ、とろっとしたつゆをかけて完成だ。


 今日のメニューは山菜と白身魚の天丼。これを人数分作ると燐は、テーブルの前に持っていき順々に配っていく。


 キャロルは相変わらずだが、エルディアもノドを鳴らし待ての状態で待機させられている子犬のようだった。


 燐も席につくと、みんなでいただきますと言い遅い昼食を取り始める。白米にからまった、甘いつゆとさくさくのてんぷらの食感で更に食欲を増す。


 燐はおいしそうに食べてくれる皆を見ているだけで、幸福に包まれる。そんな時、ふいに‘ドボン!!’っという音が家中に響き渡った。


「なんだ!? まさか襲ってきたとか!?」


 燐の慌てる姿を見て、エルディアは落ち着くようにと促す。その後も断続的に響く音に皆が臨戦態勢を取り、どこから聞こえてくるか耳を澄ませた。


 どうやら音の発生源は、露天風呂だと気づいたキャロルがダガーを片手に駆けていく。それをエルディア・燐・アリアの順に追いかけ脱衣所の扉を勢い良く開いた。


 そこには何も変わったところはなかったので、露天風呂への入り口にエルディアが先陣を切って手をかけ勢い良く開いた。


 そこで起こっていた事は……。


いつも読んで下さり有難うございます。

感想・意見・誤字報告ありがとうございます。


梅雨ですね。

雨の影響で電車が動かなくなったり、渋滞がひどかったり

大変ですが、日曜日です!!

作者はこれからお昼ご飯の準備ですが

皆様はどんな休日を過ごしているでしょうか?


それでは次回更新でまたお会いしましょう。

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