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夕食会

※改稿作業中

 成り行きで夕食を作る事になった燐は調理に追われていた。というのも、皆が皆ばらばらのリクエストをしてきたからだ。まさかアリアやリアまでも便乗してくるとは思いもしなかったので、品目は10種類を超える。最初こそどれにしようかと議論していたのだが、全部作りましょうというリアの一声でこの有様だ。


 材料はいろいろと揃っているので調理する事は問題はないのだが、いかんせん量が多すぎる。一人暮らしだったせいもあるが、趣味で料理をしていた燐でもさすがに参っていた。


 手伝ってくれないかなって目線で合図を送ってみるが誰一人動こうとはせず、わくわくしながら燐を見つめる目が8つ。燐も悪いのだ。料理を作るなんて言うからこういうことになるのだ。


 次々と食卓の上にはグラタン・パスタ・サラダ・シチュー・揚げ物なんかが置かれていく。料理を作り終えて食卓に持っていくときに小物が4個単位で減っているのを確認したが、それはご愛嬌だ。燐の作業が、もうそろそろ終わるかという時に後ろから声がかけられた。


「ねぇ。甘いものも食べたいわ」


 そう声をかけてきたのはセイラだった。要はデザートも作れってことなのだが、準備をしていなかった事もあり何を作ろうか悩む燐。どうやら作らないって選択肢は既に根本から抜け落ちているようだった。


 アイスやゼリー、プリンといった物も作れないことはなかったが次回にまわす事にした。何を作ろうかと考えている燐はピッタリの物があるじゃないか!!っと手を打ち合わせた。ジャム作りで余ったフルーツと燐の固有魔法を使えば可能で見た目にも鮮やかなデザート……フルーツポンチだ。


 燐は、炭酸水を作りたいので魔法庫からいろいろ買い込んだ物を手早く取り出した。何をするかと言えば炭酸水素ナトリウムを作るのだ。作成方法はいくつかあるが、ここでは説明を省いておく。燐が自作しなくてもどこかで手に入るかもしれないが、今はないのだからしょうがない。


 燐の固有魔法のおかげで常識外のスピードで作成することができた。改めて魔法の便利さに燐は心の中で拍手喝采を送った。あとは簡単だ炭酸水を作りレモンとシロップ等で味を調えたら土台は完成だ。後は残ったフルーツをカットして中に入れ込むだけだ。


 そこでも燐は見た目を更に楽しめるように星型やキューブ型といろいろな形を切り揃えた。本当は器もフルーツの器にすればインパクトがあるのだろうが、残念ながらそんな大きなフルーツはこの世界に来てから燐は見た記憶がなかった。なのでアルメンティア製の器に盛りつけた。


「「「「きれい……」」」」


 フルーツポンチを食卓へと置いたときに4人が4人とも同じ感想をハモらせながら言った。燐も若干ドヤ顔をしていたが、誰もそこにはつっこみはしなかった。それどころか若干名尊敬のまなざしを向けている。


 キャロルなんかは先程以上のキラキラした目で燐を見つめていた。口は半開きで停止しているが、耳と尻尾は忙しく動いている。


 さあ食べようかと思ったとき、燐は今更ながら気付いた。取り皿が圧倒的にたりなかった。燐は苦笑いを浮かべつつ、魔法庫から取り出した拳大のアルメンティア2つを15枚程の皿に作り変えていった。完全に質量保存の法則は無視している。


「それじゃぁ、食べましょうか?」

「「「「「いただきますっ!!」」」」」


 皆一斉に好きな物へと手を伸ばし始めた。ただパンだけは在ったものを使っていて、コッペパンのようなものとブドウパンのようなものの2種類だ。残念な事はパンが少々固い事だ。おそらく無醗酵パンに近いのだろう。燐はこっそりと重曹も魔法庫の中にストックしているので、明日にでも使ってみようと考えた。


 燐も久しぶりに家族団欒の様な雰囲気に心が温かいもので満たされていた。一人での食事が多かった燐は、専ら話し相手はリアだけだったのだから。


 気付けばあれだけあった料理が5人の胃袋に納まりデザートのフルーツポンチを残すだけだ。燐以外の4人もあれだけ食べたというのに、目線は食卓から離れず食欲が伝わってくるようだ。


 キャロル、アリア、セイラ、リア、燐の順に器に取り分けていった。アリアとリアは笑いながら注ぎ終わるのを待っていた。雰囲気も名前も似たせいか、姉妹のようである。キャロルとセイラはスプーンやフォークを片手に停止している。停止というよりも凝視をしたまま、待てをされた犬のようだ。


「食べましょうか?」

「「いただきます!!」」

「そんなに急いで食べなくても……」

「お兄ちゃん、これすごくおいしいよ!!星の形したこれとか、あとあとっ!!」


 最初の頃とは思えないほどキャロルが明るく振舞っている。燐としてはありがたいことなのだが、余りにも懐きがはやいので若干困っていた。楽しい夕食の時間はあっという間に過ぎて行き今度は大量の後片付けに追われていた。残念ながら誰一人動こうとはしなかったので一人での片づけだ。


 時間が過ぎ、闇が深まりだした頃リアはもうそろそろ帰るというのでセイラと共に城へ帰った。残ったのはこの家の主のアリアとキャロルと燐だ。燐はここで帰るべきかどうか悩んでいた。確かにここに住む予定ではあったんだが、絶賛悩み中だ。どうも顔に出るらしく悩んでいる燐にアリアが声をかけた。


「燐さん、泊まっていきますよね?私はキャロルと寝ますんで燐さんは私のベッドで寝てください」

「ん~……そうですね。ではそうします」


 あっという間に予定が決まってしまった燐はとりあえず水浴びをするべく近くの川に向った。気候はあったかいので水浴びをするくらいが丁度いいだが、やっぱり温かいお風呂は魅力的だ。寄り道をしながら小屋に戻ると2人とも水浴びを追え就寝の支度を済ませていた。


「では燐さん。寝ましょうか?」

「そうですね」


 ランプの明かりを消して3人はベッドに向った。キャロルとアリアは30分もせずに寝息が聞こえてくる。窓からは月明かりが差し込んできて部屋の一角を明るく照らしている。燐は気絶してせいもあり眠れずにいた。


 そっと1階に下りた燐はとある作業を始めた。いろいろと作ってはしまい作ってはしまいを繰り返す燐はどこか楽しそうだ。眠りについていたはずのアリアがそっと階段を降りてきた。


「燐さん。眠れないんですか?」

「アリアさん。ええ、昼間あれだけ寝てましたので目が冴えてしまって」


 そっと立ち上がった燐はカマドに近づき自家製のポットを取り出し何かを温めだした。あっという間に温め終わったそれをコップに注ぎアリアの前に差し出した。少し甘い香りが漂うそれはフルーツティーである。アリアはそっと、まだ熱いそれを冷ましながら飲んでいた。


 アリアはそっと燐に感謝の言葉をかけた。話を聞いてくれた事キャロルの事なんかだ。懐いてくれているようで安心したとも言うアリアの顔は母親のそれだった。


「もし、私がいなくなる事があったら……燐さん、あの子をお願いします」

「そんな悲しい事言わないでください。いつまでのあの子と一緒にいてあげてください」


 燐の真剣な対応にアリアは笑っていたが、そうなるかもしれないという不安はどこかにあるのだろう。ゆっくりとした時間が流れていき、やっと燐にも睡魔が襲ってきたので寝る為にアリアの共にベッドに戻った。


 ‘おやすみなさい’その声だけが静かな部屋に響き消えていった。 

いつも読んで下さり有難うございます。

感想・意見・誤字報告ありがとうございます。


いろいろしていたらこんな時間の更新になってしまいました。

それにしてもキャロルちゃんかわいいですね。

私もそんな娘がほしいです。


それではまた次回更新で。

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