登れ!!ケプルンキング!!
今回のお話で100話到達です。
「うわぁ~、おおきぃ~……」
キャロルが一足先にケプルンキングの傍まで行くと、その巨大な姿をまじまじと見つめた。その大きさは近くで見ると一層迫力が増し、高さは3m程度もあり横幅も相当なものである。
そんなケプルンキングを見上げているキャロルの元へ燐も到着すると、同じようにその巨大な姿を見上げ始めた。
「本当にでかいなー。これ破裂したりしないだろうな……」
「あはははは!!みてみてお兄ちゃん!!」
燐が見上げていると、笑い声が聞こえたのでキャロルの方を見てみる。すると、ケプルンキングの側面におもいっきりしがみついて笑っているキャロルの姿があった。
プルプルと揺れる透明度の高いケプルンキングに抱きついて上下に揺れている。どうやら大きくなっても害はないようなので、燐は一安心していた。
「……本当にぷるぷるだな。巨大なゼリーみたいだけど、食べれたり……するわけないよな……」
燐がそのゼリーのような体を見て突いて、食べられるのではないだろうかと思うのもしょうがない事かもしれない。見た目はどこをどうみても、ただのゼリーの壁なのだから。
さすがにキャロルでも食べようとは思わないだろうが、燐は一応注意喚起をしておいた。
「ねぇー、り~ん!!大丈夫なのぉ~~??」
遠くからセイラの声が聞こえたので、手を上げ大丈夫だと合図を送る。しかし燐は、大丈夫だと合図はしたが、このまま放置してもいいものかと悩んでいた。
今は害は無さそうだけど、忘れた時に突然襲い掛かってくるかもしれないからだ。燐はとりあえず、じっくりと周りを観察していると、微かに何か聞こえる。
音の正体を探ろうと聞き耳を立てていると、どうやらケプルンキングの中から響いている事でわかった。
「なんか聞こえるな……。まさか爆発のカウントダウンか!?」
合体出来るんだからはじけ飛ぶ事もないとは言えないと思った疑念が一気に燐の脳内を駆け巡る。合体した事に意味がないとすれば、破裂する事も意味がないといえるからだ。
燐は急いでキャロルの元へと戻ると、ぷるぷると揺れる側面をゆっくりと上へ上へと登っていた。
「キャキャキャ、キャロル!? 降りて来なさい!! さぁ、はやく!!」
「え? どうして? この子、大人しいよ?」
「いや、大人しいとかそういう問題じゃなくて破裂する!?」
その時、ケプルンキングの体が一層ぷるぷると震えだすと微かに響いていた音が大きくなっていくのを感じ、燐は覚悟を決める。
その音はキャロルにも聞こえているみたいで、なんだろうと耳をケプルンキングの表面に近づけた。そして、ついにその時がやってくる。
「うみゃぁぁぁぁぁ!!!!」
ケプルンキングから大きな音というか鳴き声が広場に響き渡った。
「……鳴いた?」
破裂はしなかったものの、燐は状況についていけていない。だが先程の鳴き声はケプルンキングが発したもので間違いはないようだ。
「みゃぁ?」
「みゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「みゃぁぁぁぁぁぁ!!」
燐が見上げている先でキャロルとケプルンキングが鳴き合っている。一瞬会話が出来るのかと思ったが、さすがにそんなわけはない。
キャロルとケプルンキングは互いに鳴き合って、じゃれついているだけようのだ。燐は今度こそ腰を抜かすかと思うほどの溜息を吐き安心しきる。
そんな様子を遠目に見ていたセイラ達もやってくると、燐の隣に並んだ。
「キャロ、なんだか楽しそうね。私も登ってみようかしら、これ」
「ん?どうぞどうぞ」
「止めないの?」
「止めません」
燐がセイラに好きな所からどうぞと言わんばかりに、道を指し示してくれる。そんな燐の態度に少しいらっとしたのか、セイラは燐の手を掴むと思いっきりケプルンキングに押し付けた。
燐の体にぷるぷるとしていて、ねっとりとしたケプルンキングの触感が伝わる。最上級のウォーターベッドのような触感だが、吸着力も相当なものだった。
ちゃんと体から離れるし、ケプルまみれになるなんて事はないのだが少し粘着性のシートに張り付く虫のようでもあると燐は感じている。
「ふぅ……。セイラ?」
「何かな?」
「お前もくっつけ!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」
ケプルンキングに張り付いている燐を見て、にやにやしていたセイラだったが、燐に腕をつかまれ同じ末路を辿った。
燐とセイラが横並びでケプルンキングに張り付いたのを見ていたアリアは、さすがに無様な2人の姿を見てクスクスと笑っている。
そんなアリアをよそに燐とセイラはケプルンキングを登り始めた。
「先にキャロまで辿り着いた方が勝ち。妨害は勿論ありよ!!私に勝てたらさっきの事は許してあげる。でも燐は英雄様だから、そんな卑怯な事はしないと思うけどね」
「その勝負乗った!!で、俺が勝ったら覚えてろよ?」
「ふふん。どうせ私が勝つんだから問題ないわ!!」
燐とセイラが睨みあい、何かを感じてケプルンキング登りを再開する。しかし、セイラも大人気ないというか、宣言通り妨害を開始した。
妖精族が得意とする状態異常・幻惑魔法を駆使して燐の動きを止めようとする。そんな魔法をかけられた燐は断崖絶壁を登っている様に見えているはずだ。
さらにセイラは魔法を何種類もかける事によって、燐は幻覚だと分っていても逆さまの断崖絶壁を登っていると感じさせられていた。しかも突風吹きすさぶ演出までされている。
「セイラ……さすがにやりすぎじゃありませんかね?」
「これくらいいいじゃない!!普通にやったら私が勝てるわけないでしょ?」
単純な体力勝負なら、体格差でセイラが燐に勝てるはずもないのでしょうがないと言えばしょうがない。しかしこのままでは燐が惨敗してしまうのも事実だ。
そんな未来が確定しつつあっても燐にはセイラの魔法を打ち破る事ができない。セイラは知っているのだ。燐がその手の魔法を習得していない事を。
「これだったら余裕ね!!安心しなさい!!私が登ったらちゃんと魔法は解いてあげるから!!」
「……おーい!!キャロル!!」
「ん?お兄ちゃんよんだぁー?」
「おー、そこか!!すぐそっちにいくからな!!」
燐は魔法を解くという手段は最初っから放棄していたので、賭けに出ることにした。目に映るものや体感は完全に支配されているが、声は聞こえる。
セイラの声が聞こえるという事は、どこにいるかわからないキャロルの声も聞こえるという事だ。半分は賭けだったが、ちゃんとキャロルの声も燐に届いたので肉体強化を使いぷるぷるの表面を蹴り飛び上がった。
そしておおよそで飛び上がった燐だったが、キャロルが呼びかけてくれたので正確に着地することに成功する。その後、遅れること数分後にセイラが登りきってきた。
「ちょっと、燐!!反則よ、反則!!登ってないじゃない!!」
「いつ俺が反則したんだよ?セイラは確かにこう言ったじゃないか。『先にキャロまで辿り着いた方が勝ち』だって。地道に登らないといけないなんて一言も言ってないよな?」
「うぐっ!!確かにそうね……私の負けよ」
キャロルには何が何だか分らないといった感じで首を傾げている。そんなキャロルを尻目に燐とセイラは腕を握り合い、検討を称えあった。
そうここはケプルンキング頭部である。
いつも読んで下さり有難うございます。
感想・意見・誤字報告ありがとうございます。
おはようございます。
前書きで書いたとおり、100話目です!!
サイドストーリーや特別偏も書きましたが
100話到達です。
これからも、まだまだ続けていきますんで宜しくお願いします。
それでは次回更新でまたお会いしましょう。




