友達作り 其の一
朝、8時
朝日に照らされて、多くの人が自分の行くべき所へ動き出す。学生は学校へ、会社員は会社へ。皆、それぞれのルーティンに今日も入っていく。多くの人はだるい、行きたくないと心のなかで毒づきながらもなんだかんだいつもどおりの場所へ働きアリのように向かう。フフッフハハハフハハハフッハハハ実に愉快な気分だ!僕も昨日、何もなければ同じ働きアリのように高校へ向かっていただろう!しっかーし今日僕は学校を休む。理由は幼馴染みの女の子が昨日、亡くなったからだ。彼女のことを知らない人は僕のことを不謹慎だって思う人もいるだろう、では教えてあげよう。彼女は生きている。正確には死んでいるが僕と話すことができる、それに彼女は今の方が幸せだという。だから喜んでいいのだ、喜びなのだーアハハ… はぁやっぱり一睡もしていないとテンションが気持ち悪いな………。
彼女は今は、天国の方へ帰っている、あのユーレイ状態で過ごすのは一日でも最高10時間しかもたないらしい。だから10時間を過ぎると元いた世界に帰ってしまうらしい。彼女が帰るところを見守っていたが部屋の天井から突然金色の光が指してそしてその光に吸い込まれていった。成仏する時ってあんな感じなんだろうなぁ…。
今日は彼女の通夜がある、そして明後日が彼女の葬式だ。彼女としては早く焼いてほしいと言っていたがそこはちゃんとした方がいいと思う。今、母さんと兄と父さんはバタバタと通夜の準備をしている。父さんも昨日は一睡もしていないのだが、いつもどおりの顔できびきび動いていた。僕はと言えば目の下に隈をつくってリビングに出ていったらまだ休むように言われた、幼馴染みの女の子が死んだショックで寝れなかったと思われているのだろう。本当はその女の子と朝まで話をしていたせいなのだが、それとユーレイ状態の彼女の姿を家族は見ることができなかった、どうやら僕にしか見えないらしい。その後、部屋に戻って彼女の里帰りを見届けた僕は今に至るというわけだ。
まぁ特にすることもないので寝ることにしよう…
そうして僕はまどろみの中に落ちていく。
目が覚めたらもう夕方だった。寝ぼけ眼でリビングへ行くと母親がいてお風呂にはいって喪服を着るように言われた。僕は言われたとおりシャワーを浴び喪服を着て黒ネクタイをつけリビングへ戻った。しばらくしたら迎えの車がくるらしいのでそれまで自室でゆっくりすることにした。
階段を上り自室のドアを開けると、舞がいた。どうやらエネルギーの補給はすんだようだ。
「天国はどうだった?」
「最高だったわ、キレイだし空気も美味しいし。死んでよかったわ。」
「…そうか。今日、舞の通夜がこのあとあるんだ。どうする?」
「行くわよ………」
彼女は覚悟を決めたかのような、声で答えた。やっぱり両親に少しでもお礼が言いたいのだろうか。黙ってしまった彼女と僕は二人で部屋の沈黙に耐えることになった。天国が良いところなら本当に心配することはなにもないのだが…。彼女から死んでよかったと言われるとやっぱりまだ胸がチクッとする、彼女は幸せなのにどうしてだろうか。
しばらくして、タクシーが来た。母さんと僕の二人そして舞も入ってついていくことになった。
通夜の会場はとても小さかった。
兄と父さんと合流し僕も準備を手伝うことになった。手伝いと言ってもただ建物の前に立って来てくれた人に挨拶をして、場所を案内するというだけの仕事だった。舞は僕のとなりに立って一緒に手伝うと言った、まぁ彼女の姿は他の人には見えないので形だけになってしまうのだが。
少しして人が来た、彼女の父親だ。服装はくたびれたスーツを見にまとい黒ネクタイを閉めていた。舞の顔が少しこわばる。やっぱり父親は苦手なようだ。
僕は彼に挨拶をした。近づくと少し酒臭かった。彼は僕の挨拶を無視して会場へ入っていった。本当なら彼が通夜の運営をしなければならないのに。僕は少しムッとしたが気にしないことにした。
徐々に人がくる。中学校や小学校の同級生も来た。とりあえずお礼を言って場所を案内してあげる。こう見ると皆、大きくなった。雰囲気も大人びている。皆、挨拶すると僕だと気づいてくれて「渡辺くん」と名前を呼んでくれる人もいた。舞もとなりで頭を下げてお礼を言っていた。
しばらくすると、ショートカットのクールな印象の女の子が来た。
一瞬誰かわからなかったが、すぐに思い出した、女の子の名前は中野 秋。
小学校の頃の舞の親友だ。
「秋ちゃん、来てくれたんだ!中学校行ってから全然連絡くれないから私のこと嫌いになったのかと思っちゃったよ~!髪型も雰囲気も大人びたし変わったね~!」
舞はとても嬉しそうに話しかける。だが彼女にはなにも聞こえない、彼女は舞のことに気づかずに僕の前に立って
「こんばんは、渡辺くん。」
まるで僕の胸に氷をあてたかのような冷たい声だった。小学校の舞のとなりでいつも微笑んでいた女の子とは思えない。きっと彼女も色々思うところがあってショックを受けているのだろう。そりゃ小学校の頃の親友が死んだらショック受けるよな。
「うっうん、久しぶり中野さん」
よし、あんまりキョドってないぞ。やっぱり異性に声をかけられると緊張する
「どうして今日、学校を休んだの?舞は渡辺くんの家族じゃないでしょう?」
「それはそうだけど………」
えっ?
そろそろ会話をうまく使ったストーリー展開を意識していこうと思います。ご意見くださった方々本当にありがとうございますm(__)m大変参考になりました。
あと不定期な投稿はそろそろやめようと思います。日程はまだ決まってませんが次の話からは定期的に投稿するようにします。
ご意見ご感想お待ちしています、即時参考にさせていただきますね( ´∀`)